[P-RS-13-3] ICUリハビリテーションによるADL拡大と譫妄予防
Keywords:早期離床, 譫妄予防, 早期人工呼吸器離脱
【はじめに,目的】
ICU患者は,呼吸循環器系や骨格筋の廃用,呼吸器合併症,精神障害などの弊害を予防するために,早期離床が必要である。超急性期からリハビリテーション(以下リハ)を行うことは,人工呼吸器離脱までの期間を短縮し,身体機能やADL改善を早め,譫妄発症率を減少させ,入院期間の短縮やQOL向上に寄与する。米国集中治療医学会のガイドラインでも早期リハは推奨されている。今回,急性呼吸不全を呈し,超急性期からの介入によりICU内におけるADL改善・譫妄予防を図ることが出来たためここに報告する。
【方法】
70歳代男性,65.5kg,主病名は細菌性肺炎。基礎疾患に2型糖尿病・COPDがあるが日常生活は自立していた。今回,高熱及びWBC21900,CRP19.0と高度炎症所見認め,当院救急搬送となった。第1病日目,JCS clear,P/F170台,胸部XP・CT検査にて左上葉・右下葉に浸潤影を認め,6Lリザーバーマスク開始となるも,呼吸状態が保てず,NPPV開始。第2病日目よりNPPV/オキシマスク5Lのon/off管理開始となるが,会話・体動での頻呼吸・低酸素血症を繰り返し,第3病日目にICU転棟。同日より理学療法開始。初期評価時はJCS2,FIM:20点,FSS-ICU:1点,呼吸数25,斜角筋Grade:IV,左肺野rhonchi聴取,会話時や体動での呼吸苦・酸素化低下が著明であった。呼吸機能低下における制限が強く,呼吸苦や体動制限等から譫妄発症の危険を生じていた。理学療法はコンディショングから開始し,徐々に運動療法へ転化。ポジショニングや体位ドレナージは,リハ以外での時間帯も統一して行えるように看護師へ指導し,離床開始時はリスク管理の面から理学療法士と看護師の2名体制で行なった。並行してカレンダーや時計等の環境整備や車椅子離床等で譫妄予防に努めた。
【結果】
第9病日目NPPV離脱,第11病日目ICU退室。退室時は酸素4Lで管理し,JCS clear,HDS-R:28点,FIM:66点,FSS-ICU:24点,MRC筋力スコア:48点,呼吸数20~22,斜角筋Grade:IIに改善し,大腿周径も-0.5cmと廃用症候群の予防に努めることが出来た。
【結論】
早期人工呼吸器離脱・譫妄予防・ADL拡大が可能となった要因として超急性期からのリハ介入が有効であったと考える。本症例はCOPD急性増悪と,肥満による横隔膜運動の阻害で換気不全を呈していた。呼吸筋疲弊による挿管リスクも高かったが,早期より気道クリアランス改善やコンディショニングを行なうことで,呼吸仕事量の軽減が図れ,挿管の回避と早期NPPV離脱につながり,その後の早期離床につながったと考える。ADLに関してはFIM:20→66点に改善しているが,改善項目として食事・更衣・移乗動作の改善及び認知項目は全項目7点となっている。ICU入室において治療や環境要因等により譫妄等の精神障害を発症することが報告されているが,早期から他職種と連携し声掛けや環境整備など行なうことで認知項目の改善につながり譫妄予防につながったことが考えられる。
ICU患者は,呼吸循環器系や骨格筋の廃用,呼吸器合併症,精神障害などの弊害を予防するために,早期離床が必要である。超急性期からリハビリテーション(以下リハ)を行うことは,人工呼吸器離脱までの期間を短縮し,身体機能やADL改善を早め,譫妄発症率を減少させ,入院期間の短縮やQOL向上に寄与する。米国集中治療医学会のガイドラインでも早期リハは推奨されている。今回,急性呼吸不全を呈し,超急性期からの介入によりICU内におけるADL改善・譫妄予防を図ることが出来たためここに報告する。
【方法】
70歳代男性,65.5kg,主病名は細菌性肺炎。基礎疾患に2型糖尿病・COPDがあるが日常生活は自立していた。今回,高熱及びWBC21900,CRP19.0と高度炎症所見認め,当院救急搬送となった。第1病日目,JCS clear,P/F170台,胸部XP・CT検査にて左上葉・右下葉に浸潤影を認め,6Lリザーバーマスク開始となるも,呼吸状態が保てず,NPPV開始。第2病日目よりNPPV/オキシマスク5Lのon/off管理開始となるが,会話・体動での頻呼吸・低酸素血症を繰り返し,第3病日目にICU転棟。同日より理学療法開始。初期評価時はJCS2,FIM:20点,FSS-ICU:1点,呼吸数25,斜角筋Grade:IV,左肺野rhonchi聴取,会話時や体動での呼吸苦・酸素化低下が著明であった。呼吸機能低下における制限が強く,呼吸苦や体動制限等から譫妄発症の危険を生じていた。理学療法はコンディショングから開始し,徐々に運動療法へ転化。ポジショニングや体位ドレナージは,リハ以外での時間帯も統一して行えるように看護師へ指導し,離床開始時はリスク管理の面から理学療法士と看護師の2名体制で行なった。並行してカレンダーや時計等の環境整備や車椅子離床等で譫妄予防に努めた。
【結果】
第9病日目NPPV離脱,第11病日目ICU退室。退室時は酸素4Lで管理し,JCS clear,HDS-R:28点,FIM:66点,FSS-ICU:24点,MRC筋力スコア:48点,呼吸数20~22,斜角筋Grade:IIに改善し,大腿周径も-0.5cmと廃用症候群の予防に努めることが出来た。
【結論】
早期人工呼吸器離脱・譫妄予防・ADL拡大が可能となった要因として超急性期からのリハ介入が有効であったと考える。本症例はCOPD急性増悪と,肥満による横隔膜運動の阻害で換気不全を呈していた。呼吸筋疲弊による挿管リスクも高かったが,早期より気道クリアランス改善やコンディショニングを行なうことで,呼吸仕事量の軽減が図れ,挿管の回避と早期NPPV離脱につながり,その後の早期離床につながったと考える。ADLに関してはFIM:20→66点に改善しているが,改善項目として食事・更衣・移乗動作の改善及び認知項目は全項目7点となっている。ICU入室において治療や環境要因等により譫妄等の精神障害を発症することが報告されているが,早期から他職種と連携し声掛けや環境整備など行なうことで認知項目の改善につながり譫妄予防につながったことが考えられる。