[P-SK-01-3] フォースプレートを用いない動力学歩行解析方法の提案と精度検証
Keywords:歩行, 歩行解析, 力学モデル
【はじめに,目的】
歩行における力学解析において,カメラとフォースプレートを併用して計測することが古典的で普及した方法であり,フォースプレートから得られた床反力を用いて立脚下肢の足部から運動方程式を解いていく。しかし,フォースプレートを踏まなければならない制約や,設置の費用が高い,時間を要するなどの問題が挙げられ,病院におけるこれらの解析装置の所有率は低い。そこで本研究では,フォースプレートを用いない歩行解析モデルを提案し,その精度検証を行うことを目的とする。
【方法】
藤沢市近隣に住む高齢者(71.6歳±7.2,男性5名,女性5名)を対象とした。実験方法は,モーションキャプチュアシステム(Vicon)のカメラ11台とフォースプレート(Kistler社製)2台を使用し,それぞれ200Hzで計測した。被験者には,2台のフォースプレートをそれぞれ右足,左足で踏むこと以外は何も指示をせず,普段の歩行を心掛けさせた。我々の提案する解析方法は,立脚下肢から運動方程式を解く従来の方法ではなく,両脚支持期を除く歩行周期で,立脚以外の末端の体節(頭部・手部・遊脚足部)から運動方程式を解き,立脚側の床反力を含む各関節の関節間力・筋トルクを算出するものである。精度検証には,フォースプレートからの「実測値」と,提案する方法により算出した「推定値」を比較した誤差を算出した。誤差の算出には,微小時間(1/200sec)ごとに次の式を用いた。Δ誤差(%)=(Δ推定値-Δ実測値)/(実測最大値-実測最小値)×100
【結果】
立脚以外の末端の関節から運動方程式を解き,立脚側の床反力を含む各関節の関節間力と筋トルクを,全31試技分算出した。床反力の誤差を算出したところ,全試技を平均して,x軸(左右方向)16.6%,y軸(前後方向)5.9%,z軸(上下方向)5.8%の誤差を示した。一番大きく誤差が現れたx軸において,算出した推定値と実測値の差の絶対値の平均値は12.1Nとなった。
【結論】
フォースプレートが無くとも,ある程度の範囲内で各関節の関節間力や筋トルクを推定できることを示唆している。フォースプレートを用いずに力学解析ができることは,フォースプレートを踏むことを意識させずに済み,自然歩行を測定できるということを意味しているほか,位置座標さえあれば,どんな場所でも歩行の力学解析ができることをも意味している。力学解析ができれば,運動の機序を知ることができ,力学的な知見から歩行の動態を語ることができ,歩行を評価するリハビリテーションにおいて有用であると考えられる。
歩行における力学解析において,カメラとフォースプレートを併用して計測することが古典的で普及した方法であり,フォースプレートから得られた床反力を用いて立脚下肢の足部から運動方程式を解いていく。しかし,フォースプレートを踏まなければならない制約や,設置の費用が高い,時間を要するなどの問題が挙げられ,病院におけるこれらの解析装置の所有率は低い。そこで本研究では,フォースプレートを用いない歩行解析モデルを提案し,その精度検証を行うことを目的とする。
【方法】
藤沢市近隣に住む高齢者(71.6歳±7.2,男性5名,女性5名)を対象とした。実験方法は,モーションキャプチュアシステム(Vicon)のカメラ11台とフォースプレート(Kistler社製)2台を使用し,それぞれ200Hzで計測した。被験者には,2台のフォースプレートをそれぞれ右足,左足で踏むこと以外は何も指示をせず,普段の歩行を心掛けさせた。我々の提案する解析方法は,立脚下肢から運動方程式を解く従来の方法ではなく,両脚支持期を除く歩行周期で,立脚以外の末端の体節(頭部・手部・遊脚足部)から運動方程式を解き,立脚側の床反力を含む各関節の関節間力・筋トルクを算出するものである。精度検証には,フォースプレートからの「実測値」と,提案する方法により算出した「推定値」を比較した誤差を算出した。誤差の算出には,微小時間(1/200sec)ごとに次の式を用いた。Δ誤差(%)=(Δ推定値-Δ実測値)/(実測最大値-実測最小値)×100
【結果】
立脚以外の末端の関節から運動方程式を解き,立脚側の床反力を含む各関節の関節間力と筋トルクを,全31試技分算出した。床反力の誤差を算出したところ,全試技を平均して,x軸(左右方向)16.6%,y軸(前後方向)5.9%,z軸(上下方向)5.8%の誤差を示した。一番大きく誤差が現れたx軸において,算出した推定値と実測値の差の絶対値の平均値は12.1Nとなった。
【結論】
フォースプレートが無くとも,ある程度の範囲内で各関節の関節間力や筋トルクを推定できることを示唆している。フォースプレートを用いずに力学解析ができることは,フォースプレートを踏むことを意識させずに済み,自然歩行を測定できるということを意味しているほか,位置座標さえあれば,どんな場所でも歩行の力学解析ができることをも意味している。力学解析ができれば,運動の機序を知ることができ,力学的な知見から歩行の動態を語ることができ,歩行を評価するリハビリテーションにおいて有用であると考えられる。