[P-SK-02-4] 脳卒中片麻痺者の短下肢装具装着動作の分析
装具の構造および心身機能と装着時間の関係
Keywords:脳卒中片麻痺者, 短下肢装具, 動作分析
【はじめに,目的】
脳卒中治療ガイドライン2015において,短下肢装具の使用はエビデンスからみても推奨されている。しかし,臨床場面において片麻痺者は装具を着脱するのに時間を要する事が多く,装具に対して嫌悪感を抱き,装具自体を使用しなくなる片麻痺者も見受けられる。装具を装着する方法は,理学療法士の指導にもよるが,継続して使用するかは装具の構造の問題や,心身機能の問題が大きく関与していると考えた。しかし,それらと装具装着動作との関係は明らかになっていない。そこで,装具の構造による問題点を抽出し,心身機能と装具装着との関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,脳卒中片麻痺者14名(年齢67.0±10.0歳,男性8名,女性6名,麻痺側右5名,左9名,身長162.3±7.5cm,体重61.0±7.7kg,発症後日数4000.8±2929.9日)とした。また,対象者が使用している,または使用していた装具は靴べら型短下肢装具(SHB)1名,オルトップ1名,ドリームブレース1名,継手付プラスチック製短下肢装具(継手付AFO)6名,金属支柱付短下肢装具2名,Gait Solution Design(GSD)3名であった。方法は,装具装着動作を前額面と矢状面からビデオにて撮影した。使用した装具はSHBと継手付AFO,GSDとした。測定項目は,踵の装着時間,足関節と下腿ベルトの装着時間,装着するまでの総装着時間とし,装着する装具の順番はランダムに実施した。各装着時間の比較にはFriedman検定を実施し,有意差を認めたものに対してWilcoxonの符号付順位検定(Bonferroni法により有意水準を補正)を実施した。また,心身機能を評価して,各因子と装着時間でSpearmanの相関分析を実施し,有意水準は5%とした。
【結果】
踵の装着時間,足関節と下腿ベルトの装着時間の全てにおいて装具間に有意差を認めた。SHBはGSDより踵の装着時間が短かく,継手付AFOはSHBより足関節ベルトの装着時間が短かった。また,SHBと継手付AFOはGSDより下腿ベルトの装着時間が短かった。そして,総装着時間では3群間全てに有意差を認め,継手付AFOが最も装着時間が短く,SHB,GSDの順番であった。また,心身機能の中で臨床的体幹機能検査(FACT)と各総装着時間との間に負の相関を認め,座位バランスが良好な対象者は装着時間が短かった。
【結論】
継手付AFOの装着時間が最も短かった要因について考察する。SHBは全国的に処方件数が多く,本研究でも使用経験のある対象者が多かった。継手付AFOとSHBは足関節の可動性の違いのみで装着方法は同様である。足関節ベルトを装着するためには体幹を前傾する必要があり,その際に膝の位置が前方にずれることで足関節が相対的に背屈位となる。よって,可動性のある継手付AFOの方がSHBよりも早く装着できたと考える。GSDが遅かった理由としては踵の支えが不十分であり,背屈が遊動のため装着時に前方に倒れてしまうことが考えられる。
脳卒中治療ガイドライン2015において,短下肢装具の使用はエビデンスからみても推奨されている。しかし,臨床場面において片麻痺者は装具を着脱するのに時間を要する事が多く,装具に対して嫌悪感を抱き,装具自体を使用しなくなる片麻痺者も見受けられる。装具を装着する方法は,理学療法士の指導にもよるが,継続して使用するかは装具の構造の問題や,心身機能の問題が大きく関与していると考えた。しかし,それらと装具装着動作との関係は明らかになっていない。そこで,装具の構造による問題点を抽出し,心身機能と装具装着との関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,脳卒中片麻痺者14名(年齢67.0±10.0歳,男性8名,女性6名,麻痺側右5名,左9名,身長162.3±7.5cm,体重61.0±7.7kg,発症後日数4000.8±2929.9日)とした。また,対象者が使用している,または使用していた装具は靴べら型短下肢装具(SHB)1名,オルトップ1名,ドリームブレース1名,継手付プラスチック製短下肢装具(継手付AFO)6名,金属支柱付短下肢装具2名,Gait Solution Design(GSD)3名であった。方法は,装具装着動作を前額面と矢状面からビデオにて撮影した。使用した装具はSHBと継手付AFO,GSDとした。測定項目は,踵の装着時間,足関節と下腿ベルトの装着時間,装着するまでの総装着時間とし,装着する装具の順番はランダムに実施した。各装着時間の比較にはFriedman検定を実施し,有意差を認めたものに対してWilcoxonの符号付順位検定(Bonferroni法により有意水準を補正)を実施した。また,心身機能を評価して,各因子と装着時間でSpearmanの相関分析を実施し,有意水準は5%とした。
【結果】
踵の装着時間,足関節と下腿ベルトの装着時間の全てにおいて装具間に有意差を認めた。SHBはGSDより踵の装着時間が短かく,継手付AFOはSHBより足関節ベルトの装着時間が短かった。また,SHBと継手付AFOはGSDより下腿ベルトの装着時間が短かった。そして,総装着時間では3群間全てに有意差を認め,継手付AFOが最も装着時間が短く,SHB,GSDの順番であった。また,心身機能の中で臨床的体幹機能検査(FACT)と各総装着時間との間に負の相関を認め,座位バランスが良好な対象者は装着時間が短かった。
【結論】
継手付AFOの装着時間が最も短かった要因について考察する。SHBは全国的に処方件数が多く,本研究でも使用経験のある対象者が多かった。継手付AFOとSHBは足関節の可動性の違いのみで装着方法は同様である。足関節ベルトを装着するためには体幹を前傾する必要があり,その際に膝の位置が前方にずれることで足関節が相対的に背屈位となる。よって,可動性のある継手付AFOの方がSHBよりも早く装着できたと考える。GSDが遅かった理由としては踵の支えが不十分であり,背屈が遊動のため装着時に前方に倒れてしまうことが考えられる。