[P-SK-04-2] HALⓇ自立支援用単関節タイプを併用し,上肢機能の改善を認めた脳血管障害の一症例
Keywords:脳血管障害, 上肢機能, HAL
【はじめに】
脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションにおいて,急性期かつ高頻度のロボットリハビリテーションは集中的なリハビリテーションと同様の効果を示すとされ,ロボットを併用した治療は近年ますます期待されている。そこで今回,利き手である麻痺手に対しHALⓇ自立支援用単関節タイプ(以下,HAL単関節)を併用し治療効果を認めた症例を経験したため報告する。
【症例】
被殻梗塞により片麻痺を呈した60歳代男性。感覚障害は深部感覚が軽度鈍麻レベルで,病棟内ADLは非麻痺側上肢を使用し自立。発症から約1ヶ月後に回復期病棟に入棟し,約2カ月目よりHAL単関節併用を開始した。
【方法】
ABABデザインを用い,機能的電気刺激や振動刺激を併用した介入をA期,A期の内容にHAL20分を追加した介入をB期とした(B期後期は物品操作を追加)。A期B期の期間は各々5日間1クール計4週とし1日1時間実施した。治療効果としてFugl-Meyer Assessment(以下,FMA;A:Shoulder/Elbow/Forearm.B:Wrist.C:Finger.D:Coordination/Speed),Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS;上肢近位/遠位テスト),Brunnstrom stage(以下,Brs),Modified Ashworth Scale(以下,MAS),Action Research Arm Test(以下,ARAT;A. Grasp/B. Grip/C. Pinch/D. Gross movement),Motor Activity Log(MAL)のAmount of Use(AOU),Quality of Movement(QOM)を用いた。各々の評価は開始,A1期,B1期,A2期,B2期後に実施した。また箸とコップ操作について一定の条件下で動画による観察評価を行った。
【結果】
FMAは,A1期:48(A:28),B1期:47(A:32),A2期:48(A:30,)B2期:51(A:32)と肩関節や肘関節操作にて点数の向上した。ARATは,A1期39(A:13/B:7/C:12/D:7),:B1期:40(A:12/B:8/C:12/D:8),A2期:42(A:12/B:8/C:14/D:8),B2期:46(A:16/B:8/C:13/D:9)で,総計やA. Graspの点数が向上した。介入前には肩甲帯下制/肩関節内転内旋固定して,前腕部中間位にて箸やコップ操作を行い,手に対して口からリーチする傾向が見られていた。介入後は肩関節安定に伴い,肩甲帯固定が軽減し,肩関節外転位を保持をしたまま,前腕や手関節の分離操作が可能となり,福祉用具を使用しながら右手で食事を摂取することが可能となった。各期で,FMAのB,C,DとSIAS,Brs,MAS,AOU/QOMには,介入前後で著変を認めなかった。
【考察】
今回,脳卒中片麻痺患者に対してHAL単関節を使用することで,肩関節や肘関節の機能向上や質的な変化を認めた。HAL単関節は,肘関節のAssistが中心であり,動作中も生体電位波形を客観的に観察できることから,出力状況や過剰努力の有無について確認しながら運動-感覚システムに繋がる修正を同時に反復できたことから,運動学習に奏功したと考える。ただし前腕や手部に関しては電気刺激との併用が困難であったことや,動きに変化がみられてもADLへの汎化が不十分であった。このように末梢部位における効果には結びつきにくいことも想定し,麻痺の段階に合わせた上肢への介入方法を検討する必要があると考える。
脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションにおいて,急性期かつ高頻度のロボットリハビリテーションは集中的なリハビリテーションと同様の効果を示すとされ,ロボットを併用した治療は近年ますます期待されている。そこで今回,利き手である麻痺手に対しHALⓇ自立支援用単関節タイプ(以下,HAL単関節)を併用し治療効果を認めた症例を経験したため報告する。
【症例】
被殻梗塞により片麻痺を呈した60歳代男性。感覚障害は深部感覚が軽度鈍麻レベルで,病棟内ADLは非麻痺側上肢を使用し自立。発症から約1ヶ月後に回復期病棟に入棟し,約2カ月目よりHAL単関節併用を開始した。
【方法】
ABABデザインを用い,機能的電気刺激や振動刺激を併用した介入をA期,A期の内容にHAL20分を追加した介入をB期とした(B期後期は物品操作を追加)。A期B期の期間は各々5日間1クール計4週とし1日1時間実施した。治療効果としてFugl-Meyer Assessment(以下,FMA;A:Shoulder/Elbow/Forearm.B:Wrist.C:Finger.D:Coordination/Speed),Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS;上肢近位/遠位テスト),Brunnstrom stage(以下,Brs),Modified Ashworth Scale(以下,MAS),Action Research Arm Test(以下,ARAT;A. Grasp/B. Grip/C. Pinch/D. Gross movement),Motor Activity Log(MAL)のAmount of Use(AOU),Quality of Movement(QOM)を用いた。各々の評価は開始,A1期,B1期,A2期,B2期後に実施した。また箸とコップ操作について一定の条件下で動画による観察評価を行った。
【結果】
FMAは,A1期:48(A:28),B1期:47(A:32),A2期:48(A:30,)B2期:51(A:32)と肩関節や肘関節操作にて点数の向上した。ARATは,A1期39(A:13/B:7/C:12/D:7),:B1期:40(A:12/B:8/C:12/D:8),A2期:42(A:12/B:8/C:14/D:8),B2期:46(A:16/B:8/C:13/D:9)で,総計やA. Graspの点数が向上した。介入前には肩甲帯下制/肩関節内転内旋固定して,前腕部中間位にて箸やコップ操作を行い,手に対して口からリーチする傾向が見られていた。介入後は肩関節安定に伴い,肩甲帯固定が軽減し,肩関節外転位を保持をしたまま,前腕や手関節の分離操作が可能となり,福祉用具を使用しながら右手で食事を摂取することが可能となった。各期で,FMAのB,C,DとSIAS,Brs,MAS,AOU/QOMには,介入前後で著変を認めなかった。
【考察】
今回,脳卒中片麻痺患者に対してHAL単関節を使用することで,肩関節や肘関節の機能向上や質的な変化を認めた。HAL単関節は,肘関節のAssistが中心であり,動作中も生体電位波形を客観的に観察できることから,出力状況や過剰努力の有無について確認しながら運動-感覚システムに繋がる修正を同時に反復できたことから,運動学習に奏功したと考える。ただし前腕や手部に関しては電気刺激との併用が困難であったことや,動きに変化がみられてもADLへの汎化が不十分であった。このように末梢部位における効果には結びつきにくいことも想定し,麻痺の段階に合わせた上肢への介入方法を検討する必要があると考える。