[P-SN-01-3] 新生児仮死児における修正6ヶ月の発達予後
Keywords:新生児仮死, 新版K式発達検査, 発達予後
【はじめに,目的】
近年,新生児仮死における死亡率は,減少傾向にある。しかし,新生児仮死のある児は精神運動発達に問題を抱える可能性が高いと懸念されている。当院では早期から発達評価とフォローを実施し,適切な時期にリハや療育など介入ができるようにしている。今回,新生児仮死児の周産期因子および入院時所見と修正6ヶ月時の新版K式発達検査(K式検査)の結果について関係性を検討した。
【方法】
対象は当院新生児集中治療室(NICU)に入院した新生児仮死児27例(男児18例・女児9例)。対象児は先天性疾患がなく,出生体重1500g以上,出生5分後のアプガースコア(AS5)6点以下とした。周産期因子は在胎週数,出生体重,入院時所見は人工呼吸器管理期間,入院期間などとした。修正6ヶ月時に理学療法士がK式検査を行った。K式検査から発達を正常・境界・遅滞に分けた。検定はt検定,Pearson相関係数,一元配置分散分析を用い,危険率5%以下を統計学的有意とし検定した。
【結果】
対象児の在週数は平均38±2週,出生体重は平均2842±353g,であった。出生1分後のアプガースコア(AS1)は平均2.1±1.1,AS5は平均3.9±1.6であった。頭部MRIにて低酸素性虚血性脳症(HIE)であった症例は11例(41%)であった。NICU入院期間は平均23±13日,人工呼吸器装着管理は平均15±16日であった。修正6ヶ月時の新版K式検査の発達指数(DQ)は全領域平均105±13,姿勢-運動(P-M)平均92±13,認知-適応(C-A)平均110±14,言語-社会(L-S)平均111±16で,すべて正常域であった。発達予後は正常25例,境界1例,遅滞1例であった。K式のDQと在胎週数,出生体重,AS5では有意な相関関係はなかった。発達予後別での性別,HIEの有無,仮死の重症度には有意差はなかった。K式検査のDQではP-MとC-A,P-MとL-Sで有意差を認めた。
【結論】
新生児仮死児と周産期因子とK式検査のDQでは有意な相関関係はなかった。修正6ヶ月時では,精神運動発達の遅れを生じた症例は極めて少数であった。しかし,他領域に比し運動発達は低値であった。乳児期の運動発達の傾向は将来の発達障害との関係が指摘されており,新生児仮死児は,発達予後として脳性麻痺以上に発達障害も視野に入れながら,注意深く継続してフォローしていく必要があると考えられた。
近年,新生児仮死における死亡率は,減少傾向にある。しかし,新生児仮死のある児は精神運動発達に問題を抱える可能性が高いと懸念されている。当院では早期から発達評価とフォローを実施し,適切な時期にリハや療育など介入ができるようにしている。今回,新生児仮死児の周産期因子および入院時所見と修正6ヶ月時の新版K式発達検査(K式検査)の結果について関係性を検討した。
【方法】
対象は当院新生児集中治療室(NICU)に入院した新生児仮死児27例(男児18例・女児9例)。対象児は先天性疾患がなく,出生体重1500g以上,出生5分後のアプガースコア(AS5)6点以下とした。周産期因子は在胎週数,出生体重,入院時所見は人工呼吸器管理期間,入院期間などとした。修正6ヶ月時に理学療法士がK式検査を行った。K式検査から発達を正常・境界・遅滞に分けた。検定はt検定,Pearson相関係数,一元配置分散分析を用い,危険率5%以下を統計学的有意とし検定した。
【結果】
対象児の在週数は平均38±2週,出生体重は平均2842±353g,であった。出生1分後のアプガースコア(AS1)は平均2.1±1.1,AS5は平均3.9±1.6であった。頭部MRIにて低酸素性虚血性脳症(HIE)であった症例は11例(41%)であった。NICU入院期間は平均23±13日,人工呼吸器装着管理は平均15±16日であった。修正6ヶ月時の新版K式検査の発達指数(DQ)は全領域平均105±13,姿勢-運動(P-M)平均92±13,認知-適応(C-A)平均110±14,言語-社会(L-S)平均111±16で,すべて正常域であった。発達予後は正常25例,境界1例,遅滞1例であった。K式のDQと在胎週数,出生体重,AS5では有意な相関関係はなかった。発達予後別での性別,HIEの有無,仮死の重症度には有意差はなかった。K式検査のDQではP-MとC-A,P-MとL-Sで有意差を認めた。
【結論】
新生児仮死児と周産期因子とK式検査のDQでは有意な相関関係はなかった。修正6ヶ月時では,精神運動発達の遅れを生じた症例は極めて少数であった。しかし,他領域に比し運動発達は低値であった。乳児期の運動発達の傾向は将来の発達障害との関係が指摘されており,新生児仮死児は,発達予後として脳性麻痺以上に発達障害も視野に入れながら,注意深く継続してフォローしていく必要があると考えられた。