The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本小児理学療法学会 » ポスター発表

[P-SN-02] ポスター(小児)P02

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本小児理学療法学会

[P-SN-02-1] 「保育所等訪問支援事業」を用いた学校との連携の取り組み

伊藤 かおり, 木下 義博, 田中 亮, 山下 雅代 (こぐま福祉会こぐま学園)

Keywords:連携, 訪問, 特別支援学校

【はじめに,目的】

平成24年に児童福祉法の改正が行われ,児童福祉法に基づく福祉サービスの障害児通所支援である「保育所等訪問支援事業」が創設された。これまでも支援が必要な児への学校生活へのアプローチや学校との連携が重要視され,就学時の情報提供,理学療法場面の見学,電話や保護者を介しての情報交換,研修会など様々な方法で情報共有が行われてきたが,それだけでは不十分であった。そこで当園では平成26年7月よりアウトリーチ型支援である「保育所等訪問支援事業」を用いた理学療法士による学校訪問を開始した。今回,2年半の取り組みについて報告し,今後の課題について発表する。

【方法】

対象は当園で理学療法を受けている児。「保育所等訪問支援事業」を希望している児が在籍する特別支援学校にて支援を行った。実施時間は1人につき1時間程度。実施後に個別支援計画書を作成し保護者に説明を行った。期間は平成26年7月から平成28年10月現在の約2年間。これまでの契約者数,実施回数,実施内容から分析を行った。

【結果】

契約者数は平成26年度が14名であったのに対し平成27年度は32名,平成28年度41名と増加が認められた。実施回数は平成26年度14回,平成27年度72回,平成28年度70回であった。1人当たりの実施回数では平成26年度は1回であったが,それ以降は1~4回と増加してきている。

支援内容では平成26年度は座位保持装置など所有している姿勢保持や移動器具の調整が主であったが,それ以降は個々の身体状況に合わせた授業や食事の姿勢設定,実際のADLや移動・移乗の介助方法の確認やアドバイスを行うようになった。その他,重症児が抱える骨折や窒息などのリスクについての説明や具体的対応も行った。また,複数回の支援の中で担任教諭からの質問や相談も増えていった。平成28年現在では実施回数,実施内容ともに児に合わせた必要な支援の提供が行えている。保護者は口頭での説明,個別支援計画書を通して具体的な学校の様子が分かり,継続的な利用の希望が多かった。

【結論】

補装具の調整から始まり,手探りのなか進めてきた事業であったが契約児数・実施回数ともに増えてきている。このことは実際の活動,生活の場である学校へ訪問し支援することで児のみならず,担任教諭など携わる支援者も含めた“悩み”や“困り”に対してアプローチでき,改めて児への理解が深まったためであると考える。

「保育所等訪問支援事業」は保育所・幼稚園・学校・事業所などでの児の生活を把握し支援していくことが可能である事業である。そのため児を中心とした支援の実現のためにセラピストからの一方向な情報提供のみにならない児に関わる全ての人たちとの情報共有の視点も重要であると考える。