[P-SN-04-4] 知的障害児に必要な支援について
~理学療法士の立場から~
Keywords:知的障害児, 支援, 理学療法士
【はじめに,目的】
理学療法士(以下PT)は主に肢体不自由児の療育に関わる事が多いが,発達遅滞などの知的障害を持つ子どもたちも対象となることが少なくない。今回,PTにどのような支援ができるのかを検討するため,知的障害児の療育状況について調査したので報告する。
【方法】
対象は香川県立中部養護学校幼稚部・小学部・中学部・高等部に在籍する児童・生徒の保護者である。調査は療育状況についてのアンケート調査票を作成し,質問紙法にて実施した。調査内容は①基本的情報②障害について③就学前の療育状況④現在の療育状況⑤求めている支援⑥PTや療育に対する希望,とした。回答は選択方式とし複数回答も可とした。⑥については自由記載も設定した。
【結果】
回収率は52.5%(189名)であった。身体的な問題では姿勢の問題49件,歩行の問題42件,体力の問題33件,道具使用の問題77件,全身運動の問題72件であった。就学前より療育を受けていたのは174名,受けた施設は医療機関が最も多く163件,次いで民間療育施設65件であり,頻度は週1回と月1回が最も多く共に49名であった。PTは70名に関わっていたが,身体的な問題があると答えた児童の中で理学療法士に療育を受けていた者は47.3%であった。ダウン症・てんかんなど原因疾患が明らかな子供では56.0%が0~1歳代で療育を開始していた。広汎性発達障害など原因が明らかでない発達遅滞児は2歳から開始が29.4%,3歳から開始が42.0%と遅れる傾向にあった。療育についての負担では負担無し44件,時間の負担99件,人的負担33件,金銭的負担26名,期待した効果が得られなかった18件であった。就学後に療育を受けているのは92名,受けている施設は民間療育施設が76件で最も多く,PTに療育を受けているのは9名にであった。保護者が望む支援は発達に対する支援86件,障害に対する支援68件,専門スタッフの充実67件,行政サービスの充実79件,教育プログラムの充実25件,家族の負担軽減60件であった。またPTによる支援を118名が望んでいた。療育に対する希望では「就学しても療育が受けられるようにしてほしい」「頻度・回数を多くしてほしかった」などの意見がみられた。
【結論】
知的障害児においても身体的問題を抱えている児童が多く存在することが分かった。就学前にはPTを始めとする専門職による療育が行われているが,問題がある児童全てが受けられたわけではなく,開始時期・頻度についても不足しており,保護者も機会の増加や継続的に行えることを望んでいた。就学後は専門職による支援が減少しているが,身体的な問題は残存していた。香川県ではPTによる支援はほとんどが医療機関で行われており,保護者や民間療育施設職員へのアドバイスなど,何らかの対策を行い,療育環境を整える必要性がある。
理学療法士(以下PT)は主に肢体不自由児の療育に関わる事が多いが,発達遅滞などの知的障害を持つ子どもたちも対象となることが少なくない。今回,PTにどのような支援ができるのかを検討するため,知的障害児の療育状況について調査したので報告する。
【方法】
対象は香川県立中部養護学校幼稚部・小学部・中学部・高等部に在籍する児童・生徒の保護者である。調査は療育状況についてのアンケート調査票を作成し,質問紙法にて実施した。調査内容は①基本的情報②障害について③就学前の療育状況④現在の療育状況⑤求めている支援⑥PTや療育に対する希望,とした。回答は選択方式とし複数回答も可とした。⑥については自由記載も設定した。
【結果】
回収率は52.5%(189名)であった。身体的な問題では姿勢の問題49件,歩行の問題42件,体力の問題33件,道具使用の問題77件,全身運動の問題72件であった。就学前より療育を受けていたのは174名,受けた施設は医療機関が最も多く163件,次いで民間療育施設65件であり,頻度は週1回と月1回が最も多く共に49名であった。PTは70名に関わっていたが,身体的な問題があると答えた児童の中で理学療法士に療育を受けていた者は47.3%であった。ダウン症・てんかんなど原因疾患が明らかな子供では56.0%が0~1歳代で療育を開始していた。広汎性発達障害など原因が明らかでない発達遅滞児は2歳から開始が29.4%,3歳から開始が42.0%と遅れる傾向にあった。療育についての負担では負担無し44件,時間の負担99件,人的負担33件,金銭的負担26名,期待した効果が得られなかった18件であった。就学後に療育を受けているのは92名,受けている施設は民間療育施設が76件で最も多く,PTに療育を受けているのは9名にであった。保護者が望む支援は発達に対する支援86件,障害に対する支援68件,専門スタッフの充実67件,行政サービスの充実79件,教育プログラムの充実25件,家族の負担軽減60件であった。またPTによる支援を118名が望んでいた。療育に対する希望では「就学しても療育が受けられるようにしてほしい」「頻度・回数を多くしてほしかった」などの意見がみられた。
【結論】
知的障害児においても身体的問題を抱えている児童が多く存在することが分かった。就学前にはPTを始めとする専門職による療育が行われているが,問題がある児童全てが受けられたわけではなく,開始時期・頻度についても不足しており,保護者も機会の増加や継続的に行えることを望んでいた。就学後は専門職による支援が減少しているが,身体的な問題は残存していた。香川県ではPTによる支援はほとんどが医療機関で行われており,保護者や民間療育施設職員へのアドバイスなど,何らかの対策を行い,療育環境を整える必要性がある。