The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本小児理学療法学会 » ポスター発表

[P-SN-05] ポスター(小児)P05

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本小児理学療法学会

[P-SN-05-1] 脳性麻痺児の非言語的知能の発達
レーヴン色彩マトリックス検査による分析

浅野 大喜1, 信迫 悟志2, 森岡 周2 (1.日本バプテスト病院リハビリテーション科, 2.畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)

Keywords:脳性麻痺, 非言語的知能, レーヴン色彩マトリックス検査

【はじめに,目的】

レーヴン色彩マトリックス検査(以下RCPM)は,非言語的知能を測定する簡便な検査であり,信頼性,妥当性ともに高く国際的に広く用いられている。このRCPMは回答するのに言語や運動技能への依存が低いことから,障害の重度な子どもに対して適しているといわれている。しかしながら本邦では,障害児に対する知能検査としてRCPMが十分に活用されているとは言い難い。今回,脳性麻痺(以下,CP)児に対しRCPMを実施し,得点とエラーの種類,非言語的知能の発達について,定型発達児との比較を行ったので報告する。


【方法】

対象はCP児17名(以下,CP群:年齢幅3-11歳,平均年齢6.2±2.6歳,GMFCSレベルI-III)と定型発達児21名(以下,TD群:年齢幅3-9歳,平均年齢5.2±1.8歳)である。RCPMは,セットA,AB,Bそれぞれ12項目,合計36項目から構成され,最高得点は36点となる。RCPMの実施は個別に対面にて行った。なお除外基準は,検査の理解度を確認するためRCPMの最初の5項目(A1-A5)に正答できない場合とした。データ分析は,RCPMの各項目の正答率,セット別得点,総得点,エラーの種類(相違,不適切な個別性,模様の反復,不完全な関係)の割合について2群間で比較した。また目的変数をRCPM総得点,年齢,群を説明変数とし,年齢と群の交互作用項を追加投入する階層的重回帰分析を実施し,下位検定として単純傾斜分析により回帰直線の傾きを比較した。統計学的有意水準は5%とした。


【結果】

2群間の年齢に有意差はなかったが,CP群のほうが平均年齢は高かった。RCPMの結果,セットB,総得点においてTD群で有意に得点が高かった(p<0.05)。項目別の正答率は,項目A9,A11,B2,B5,B6において有意にCP群の正答率がTD群より低かった。エラー分析の結果,TD群は“模様の反復”のエラーの割合がCP群よりも高く(p<0.05),CP群は“不完全な関係”のエラーの割合がTD群よりも高かった(p<0.05)。また,回帰分析の結果,両群とも年齢に伴いRCPM得点は向上していた(TD群:R2=.83,CP群:R2=.49)が,2群の回帰直線の傾きはTD群の傾きが有意に大きかった(p<0.05)。


【結論】

CP群はTD群よりも非言語的知能が低い傾向にあり,エラーの種類も異なっていた。TD児は“模様の反復”エラーが多く,CP児は“不完全な関係”エラーが多かった。両群とも年齢とともに非言語的知能は向上していたが,CP群はTD群と比較して緩やかに発達することが示された。