[P-SP-04-1] 膝前十字靭帯再建術後患者の術後1ヶ月の伸展制限に術前の恐怖心が与える影響
キーワード：前十字靭帯再建術, 伸展可動域, 術前の恐怖心
【はじめに，目的】前十字靭帯（以下：ACL）再建術後の伸展制限は疼痛や大腿四頭筋筋力低下の遷延に繋がると報告されている。術後早期の伸展制限に影響する要因を明らかにすることは，術前および術後早期から積極的なリハビリテーションを行う上で重要となる。ACL再建術後の膝機能に影響を与える要因として恐怖心が挙げられており，術後1～3ヶ月の膝機能と関連すると報告されている。一方で術前の恐怖心と術後早期の膝機能との関連は明らかにされておらず，術前の恐怖心が術後早期の伸展制限に影響するかは不明である。本研究の目的はACL再建術後患者の術前の恐怖心が術後1ヶ月の伸展制限に与える影響を明らかにすることとした。
【方法】対象は当院にて半腱様筋・薄筋腱による解剖学的一重束再建法によるACL再建術を施行された31名（男性12名，女性19名，平均年齢17.6±1.8歳，Body Mass Index 22.4±1.9 kgm2，Tegner activity score7以上）とした。除外基準は複合靭帯損傷例，両側再建例，再々建例とした。評価時期は術前1週，術後1ヶ月とした。術前の評価項目は，恐怖心の評価であるTampa Scale for Kinesiophobia-11（TSK-11），膝関節伸展筋力健患比，Heel Height Difference（HHD），半月板操作の有無とし，術後1ヶ月の評価はHHDを測定した。統計学的解析は，Spearmanの相関係数を用いて術前の評価項目および年齢，性別，BMIと術後1ヶ月のHHDとの関連を検討した。術後1ヶ月のHHDを従属変数，単変量解析で相関を認めた項目を独立変数に投入した重回帰分析（ステップワイズ法）を行った。有意水準はいずれも5％とした。
【結果】術前のTSK-11は22.2±5.2点，筋力は85.2±1.4%，HHDは1.5±1.5 cm，術後1ヶ月のHHDは3.5±2.8 cm。術後1ヶ月のHHDと各項目の相関関係はTSK-11（r=0.41），半月板縫合の有無（r=-0.37）で有意な相関を認めた。重回帰分析の結果，術後1ヶ月のHHDには術前のTSK-11が抽出された。（β=0.45，R2=0.20）
【結論】本研究より，術前の恐怖心がACL術後1ヶ月の伸展制限に影響することが示唆された。この要因として，恐怖心により疼痛域値が低下し屈筋群の筋spasmが強く生じたこと，また患肢への荷重量が低下し，膝屈曲位での歩行につながったことが考えられる。今後は術前からの恐怖心への介入が術後1ヶ月の伸展制限改善に繋がるかを検討していく必要があると考える。
【方法】対象は当院にて半腱様筋・薄筋腱による解剖学的一重束再建法によるACL再建術を施行された31名（男性12名，女性19名，平均年齢17.6±1.8歳，Body Mass Index 22.4±1.9 kgm2，Tegner activity score7以上）とした。除外基準は複合靭帯損傷例，両側再建例，再々建例とした。評価時期は術前1週，術後1ヶ月とした。術前の評価項目は，恐怖心の評価であるTampa Scale for Kinesiophobia-11（TSK-11），膝関節伸展筋力健患比，Heel Height Difference（HHD），半月板操作の有無とし，術後1ヶ月の評価はHHDを測定した。統計学的解析は，Spearmanの相関係数を用いて術前の評価項目および年齢，性別，BMIと術後1ヶ月のHHDとの関連を検討した。術後1ヶ月のHHDを従属変数，単変量解析で相関を認めた項目を独立変数に投入した重回帰分析（ステップワイズ法）を行った。有意水準はいずれも5％とした。
【結果】術前のTSK-11は22.2±5.2点，筋力は85.2±1.4%，HHDは1.5±1.5 cm，術後1ヶ月のHHDは3.5±2.8 cm。術後1ヶ月のHHDと各項目の相関関係はTSK-11（r=0.41），半月板縫合の有無（r=-0.37）で有意な相関を認めた。重回帰分析の結果，術後1ヶ月のHHDには術前のTSK-11が抽出された。（β=0.45，R2=0.20）
【結論】本研究より，術前の恐怖心がACL術後1ヶ月の伸展制限に影響することが示唆された。この要因として，恐怖心により疼痛域値が低下し屈筋群の筋spasmが強く生じたこと，また患肢への荷重量が低下し，膝屈曲位での歩行につながったことが考えられる。今後は術前からの恐怖心への介入が術後1ヶ月の伸展制限改善に繋がるかを検討していく必要があると考える。