The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本スポーツ理学療法学会 » ポスター発表

[P-SP-05] ポスター(スポーツ)P05

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本スポーツ理学療法学会

[P-SP-05-4] バドミントンにおけるランジ動作の分析
―ランジ方向と打ち分け方向による運動力学的差異―

福永 みなみ1, 木山 良二2, 川田 将之2, 米 和徳2 (1.鹿児島大学大学院保健学研究科, 2.鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻)

Keywords:バドミントン, ランジ, フリーモーメント

【はじめに,目的】

ランジ動作は,バドミントン競技の中で最も基本的な技術であり,シングルスの試合の全動作の15%を占めるとされる。急激なブレーキと方向転換を伴うランジ動作は競技者の下肢に大きな負担を生じ,傷害が誘発される。先行研究では,特に左前方へのランジ動作で,床反力の鉛直成分と前後成分が大きいことが報告されている。

しかし,バドミントンのランジ動作中の関節運動や関節モーメントを分析した報告は少ない。また,ランジの方向や打ち分け方向による運動力学的差異を分析した報告は見当たらず,その特性は明らかになっていない。本研究の目的はバドミントンのランジ動作において,ランジの方向や打ち分け方向が下肢関節に与える運動力学的な影響を明らかにすることである。

【方法】

測定には,三次元動作解析装置(Oxford Metrics社,VICON MX3),床反力計(AMTI社,BP400600)を使用した。反射マーカーを胸郭,骨盤,左右下肢29カ所のランドマークに貼付した。ランジ動作の方向は,右前方向(フォアハンド)と左前方向(バックハンド)とし,それぞれ右側,左側へ返球する動作,計4パターンを分析対象とした。なお,全被験者は効き手が右であり,ラケットは右手で保持している。ランジ動作は右下肢から開始し,3回目の右ステップで床反力計を踏むように実施した。ランジの方向については,対象者が練習で通常行っている角度とし,左右への返球を模擬させた。動作の速度は,リスクを考慮し,最大速度のおおよそ80%とした。なお,測定前にウォーミングアップとして,フットワーク練習を5分間実施した。各動作を7回ずつ反復して計測し,欠損のない3回のデータを分析した。

右下肢の関節角度,内的関節モーメントを算出した。先行研究を参考に,右膝関節が最大屈曲位となるまでの区間をブレーキング区間とし分析した。3回のランジ動作の各最大値の平均値を代表値として採用した。統計学的検定には,ランジ方向と打ち分け方向を要因とした,反復測定の二元配置分散分析を用いた。


【結果】

フォアハンドに比べ,バックハンドのランジ動作では,股関節外転角度(P<0.001),膝関節内転角度(P=0.023),股関節伸展モーメント(P=0.047)が有意に小さく,膝関節内旋モーメント(P=0.002)が有意に大きかった。また,右側への返球に比べ,左側へ返球するランジ動作では,股関節外転角度(P<0.001),膝関節内旋モーメント(P=0.002),足関節外反・内転モーメント(P=0.010,P=0.002)が有意に大きかった。


【結論】

ランジ方向については,股関節の内外転,膝関節などの水平面におけるモーメントで制御しており,返球の方向はさらに足関節モーメントで全身重心の運動方向を制御していると考えられた。ランジ動作のブレーキング区間では,特に膝関節および足関節周囲筋の機能が重要であり,負荷が大きいことが示唆された。