[P-SP-06] ポスター（スポーツ）P06

[P-SP-06-5] 動的バランス能力向上に対する足部・足関節エクササイズの即時効果について
エクササイズ前後のStar Excursion Balance Testでの比較

^○千葉 渉¹, 吉田 昌平², 黒木 薫³, 齋木 しゅう子³, 渡邉 好孝¹ (1.医療法人松田会松田病院リハビリテーション部, 2.京都がくさい病院運動器スポーツリハビリテーション科, 3.東北福祉大学健康科学部リハビリテーション学科)

Keywords:動的バランス能力, Star Excursion Balance Test, 足部・足関節エクササイズ

【はじめに，目的】

Star Excursion Balance Test（以下SEBT）は，先行研究において，動的バランス能力（以下バランス）の評価として広く用いられ，下向性運動連鎖からの検討による，体幹・股関節機能との関連を指摘する報告は散見される。しかしながら，足部・足関節からの介入による検討は我々が渉猟する限りない。そこで今回我々は，足部への介入前後の，SEBTのリーチ距離に対する即時効果を検討することとした。


【方法】

対象は，健常な大学生，男12名，女4名，両側下肢32肢，年齢20.7±0.6歳，身長169.9±6.4cm，体重62.6±6.5kgであり，足部・足関節エクササイズ実施前後にSEBTを実施した。

足部・足関節エクササイズは，非荷重下で自動運動にて，足関節最大背屈足趾最大屈曲位を保持させ，後足部固定位での前足部回内外自動運動（以下Ex）を実施した。

SEBTは，先行研究において，ACL損傷との関係が示唆されている前方，外方，内方の3方向とし，前方，外方，内方の順に1回ずつ最大限リーチさせ，これを左右ともに3回ずつ繰返し実施した。

各方向のリーチ距離の平均値を被験者の棘果長で除し，リーチ率を算出した。統計学的解析には，IBM SPSS Statistics Ver.23を用い，対応のあるt検定を行い，有意水準は5％とした。


【結果】

Ex前後でのリーチ率平均値は，

右前方は0.89±0.06vs.0.91±0.07（p=0.009），

右外方は0.90±0.06vs.0.93±0.06（p=0.012），

右内方は0.85±0.10vs.0.89±0.08（p=0.043），

左前方0.90±0.06vs. 0.92±0.08（p=0.002），

左外方0.92±0.08vs. 0.94±0.07（p=0.021），

左内方0.86±0.07vs. 0.90±0.07（p=0.003）で，

Ex後すべての方向で有意な増加を認めた。


【結論】

Ex後，ACL損傷と関連する3方向で，リーチ率延長という即時効果が認められ，バランスに対する足部・足関節への介入の必要性が示唆された。しかし，Exの持続効果や今研究で実施した方向以外への効果，Exによる足趾筋力や足部剛性への影響は不明であるため，ACL損傷者や再建術後・予防に対しては，今後の検討課題である。