[P-SP-10-1] 高校バスケットボール選手の下肢アライメントの特徴および性差
Keywords:バスケットボール, メディカルチェック, 外傷・障がい予防
【はじめに,目的】
バスケットボールは,急激なストップとダッシュ,ジャンプの繰り返しなどにより,足関節捻挫や膝関節靭帯損傷など,下肢での外傷,障がいの発生頻度が高い。下肢で外傷や障がいが発生する原因として,下肢のマルアライメントがあげられる。下肢の代表的なマルアライメントは,knee-in &toe-out,偏平足,外反母趾などがある。バスケットボール選手の下肢マルアライメントについて,性差に着目し調査した研究は少ない。今回,高校生を対象として大規模な調査を行う機会を得た。本研究では,高校生バスケットボール選手の下肢アライメントの特徴を明らかにし,その傾向から今後の外傷や障がいに対する予防策を探ることを目的とする。
【方法】
平成28年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技(広島県開催)にあたり,7月30日~8月5日の7日間で測定を実施した。対象は高校バスケットボール選手(男子166名,女子343名)とした。評価項目は,静的アライメントには立位時の内反膝の有無,大腿骨内側上顆間距離,膝関節過伸展,外反母趾,knee-in,toe-outを評価した。knee-inとknee-outは,荷重時に前額面上にて膝関節中央が明らかに正中位より内方に位置する場合をknee-in,外方に位置する場合をknee-outとした。toe-in,toe-outは第2足趾が正中位より外方に位置するものをtoe-out,内方に位置するものをtoe-inとした。膝関節過伸展は5°以上を陽性とし,15°以上は重度過伸展とした。統計学的解析にはEZR ver1.33を使用し,2群間の比率の差の検定を行った。危険率は5%未満を有意とした。
【結果】
内反膝は,男子が143名(86.1%),女子が268名(78.1%)であった。大腿骨内側上顆距離は,男子で平均2.5±1.0横指,女子で平均2.1±1.1横指であり,男子で大きかった(p<0.05)。膝関節過伸展を有する者は,男子61名(37.5%),女子209名(59.5%)であり,女子で多かった(p<0.05)。そのうち重度の膝過伸展を有するものは,男子で15名(9.0%),女子で72名(20.7%)であり,女子で多かった(p<0.05)。外反母趾は男子の右下肢外反母趾が31名(18.7%),左下肢外反母趾が36名(21.7%),女子の右下肢外反母趾が55名(19.7%),左下肢外反母趾が62名(21.2%)であり,男女および下肢間で差はなかった。knee-inを呈する者は男子右下肢で15脚(9.0%),男子左下肢で11脚(6.7%),女子右下肢は20脚(6.0%),女子左下肢は21脚(6.1%)であり男女間および下肢間で差はなかった。toe-outを有する者は,男子右下肢で48脚(28.9%),男子左下肢で54脚(32.6%),女子右下肢は24脚(7.0%),女子左下肢は22脚(6.4%)であり,両下肢で男子で多かった(p<0.05)。
【結論】
高校バスケットボール選手では女子に反張膝が多く,左外反母趾傾向を認めた。男女それぞれ性差に着目した予防プログラムを実施することが必要である。
バスケットボールは,急激なストップとダッシュ,ジャンプの繰り返しなどにより,足関節捻挫や膝関節靭帯損傷など,下肢での外傷,障がいの発生頻度が高い。下肢で外傷や障がいが発生する原因として,下肢のマルアライメントがあげられる。下肢の代表的なマルアライメントは,knee-in &toe-out,偏平足,外反母趾などがある。バスケットボール選手の下肢マルアライメントについて,性差に着目し調査した研究は少ない。今回,高校生を対象として大規模な調査を行う機会を得た。本研究では,高校生バスケットボール選手の下肢アライメントの特徴を明らかにし,その傾向から今後の外傷や障がいに対する予防策を探ることを目的とする。
【方法】
平成28年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技(広島県開催)にあたり,7月30日~8月5日の7日間で測定を実施した。対象は高校バスケットボール選手(男子166名,女子343名)とした。評価項目は,静的アライメントには立位時の内反膝の有無,大腿骨内側上顆間距離,膝関節過伸展,外反母趾,knee-in,toe-outを評価した。knee-inとknee-outは,荷重時に前額面上にて膝関節中央が明らかに正中位より内方に位置する場合をknee-in,外方に位置する場合をknee-outとした。toe-in,toe-outは第2足趾が正中位より外方に位置するものをtoe-out,内方に位置するものをtoe-inとした。膝関節過伸展は5°以上を陽性とし,15°以上は重度過伸展とした。統計学的解析にはEZR ver1.33を使用し,2群間の比率の差の検定を行った。危険率は5%未満を有意とした。
【結果】
内反膝は,男子が143名(86.1%),女子が268名(78.1%)であった。大腿骨内側上顆距離は,男子で平均2.5±1.0横指,女子で平均2.1±1.1横指であり,男子で大きかった(p<0.05)。膝関節過伸展を有する者は,男子61名(37.5%),女子209名(59.5%)であり,女子で多かった(p<0.05)。そのうち重度の膝過伸展を有するものは,男子で15名(9.0%),女子で72名(20.7%)であり,女子で多かった(p<0.05)。外反母趾は男子の右下肢外反母趾が31名(18.7%),左下肢外反母趾が36名(21.7%),女子の右下肢外反母趾が55名(19.7%),左下肢外反母趾が62名(21.2%)であり,男女および下肢間で差はなかった。knee-inを呈する者は男子右下肢で15脚(9.0%),男子左下肢で11脚(6.7%),女子右下肢は20脚(6.0%),女子左下肢は21脚(6.1%)であり男女間および下肢間で差はなかった。toe-outを有する者は,男子右下肢で48脚(28.9%),男子左下肢で54脚(32.6%),女子右下肢は24脚(7.0%),女子左下肢は22脚(6.4%)であり,両下肢で男子で多かった(p<0.05)。
【結論】
高校バスケットボール選手では女子に反張膝が多く,左外反母趾傾向を認めた。男女それぞれ性差に着目した予防プログラムを実施することが必要である。