[P-SP-10-3] ラグビーの競技特性が高校ラグビー初心者の身体特性に与える影響
Keywords:高校生, ラグビー, 障害予防
【はじめに,目的】
ラグビーはコンタクトを伴い,筋力,スピード,体格などの高い身体能力が求められる。高校ラグビー経験者の身体特性に関する報告は散見され,昨年度の本学会で高校ラグビー初心者の身体特性について報告した。しかし初心者と経験者の比較に関する報告は少なく,競技特性の身体特性への影響は明らかでない。そこで,競技特性の身体特性への影響を明らかにし,障害予防の一助とするため,高校ラグビー初心者と経験者の身体特性について検証した。
【方法】
対象は健康な高校ラグビー部の生徒(平成27年4月に入部,平成28年9月時点で活動している19名)とし,ポジション別にフォワード(FW:11名)とバックス(BK:8名)の2群に分けた。測定期間は平成27年(1年次),28年(2年次)の9月下旬とした。
測定項目は身体計測,筋力,柔軟性,瞬発力,敏捷性,バランス能力,スピード,持久力とした。統計学的検討として各年次でのポジション間の比較は対応のないt検定,ポジション内の各年次の比較は対応のあるt検定を行った(有意水準は5%未満)。
【結果】
各年次のポジション間の比較では,各年次ともFWは体重,BMI,体脂肪率,除脂肪体重,ベンチプレス(BP)・パワークリーン(PC)の1RM,1000m走,300m走が有意に大きく,BKはスクワット(SQ)・頚部伸展の筋力-体重比が有意に大きい値を示した。2年次では上記項目に加えて,FWは頚部伸展・屈曲筋力,BKはSQ・PCの筋力-体重比が有意に大きい値を示した。
ポジション内での各年次の比較では,FW・BKの体重,BMI,体脂肪率,除脂肪体重,BP・SQ・PCの1RM・筋力-体重比,FWの頚部伸展・屈曲筋力,筋力-体重比が2年次で有意に大きく,300m走が2年次で有意に小さい値を示した。
【結論】
FWはBKと比べて各年次ともBMI,体脂肪率,除脂肪体重が大きく,肥満体型で筋量が多いと示され,BP・PCの1RMが大きく,上肢筋力と全身パワーが大きいと示された。2年次は加えて頚部伸展・屈曲筋力が大きいと示された。各年次の比較においても,FWの2年次は頚部伸展・屈曲等尺性筋力,筋力-体重比が大きいと示された。FWはボールの争奪に関わり密集で組み合う局面が多い競技特性の影響が考えられる。
BKはFWと比べて各年次とも1000m走,300m走で小さく,持久力,スピードに優れていると示された。2年次は加えてSQ・PCの筋力-体重比が大きいと示された。高校ラグビー経験者の特徴としてBKは下肢・全身パワーの筋力-体重比が大きいと報告されており(光武ら,2002),競争局面に多く関わる競技特性の影響が考えられる。
ポジション内の各年次の比較では,2年次でFW・BKともBMI・体脂肪率・除脂肪体重が大きく,300m走の値が小さい。体重・体脂肪率・筋量・スピードの増加を示し,ラグビー特有の強いコンタクトを伴う競技特性の影響が考えられる。
ラグビーはコンタクトを伴い,筋力,スピード,体格などの高い身体能力が求められる。高校ラグビー経験者の身体特性に関する報告は散見され,昨年度の本学会で高校ラグビー初心者の身体特性について報告した。しかし初心者と経験者の比較に関する報告は少なく,競技特性の身体特性への影響は明らかでない。そこで,競技特性の身体特性への影響を明らかにし,障害予防の一助とするため,高校ラグビー初心者と経験者の身体特性について検証した。
【方法】
対象は健康な高校ラグビー部の生徒(平成27年4月に入部,平成28年9月時点で活動している19名)とし,ポジション別にフォワード(FW:11名)とバックス(BK:8名)の2群に分けた。測定期間は平成27年(1年次),28年(2年次)の9月下旬とした。
測定項目は身体計測,筋力,柔軟性,瞬発力,敏捷性,バランス能力,スピード,持久力とした。統計学的検討として各年次でのポジション間の比較は対応のないt検定,ポジション内の各年次の比較は対応のあるt検定を行った(有意水準は5%未満)。
【結果】
各年次のポジション間の比較では,各年次ともFWは体重,BMI,体脂肪率,除脂肪体重,ベンチプレス(BP)・パワークリーン(PC)の1RM,1000m走,300m走が有意に大きく,BKはスクワット(SQ)・頚部伸展の筋力-体重比が有意に大きい値を示した。2年次では上記項目に加えて,FWは頚部伸展・屈曲筋力,BKはSQ・PCの筋力-体重比が有意に大きい値を示した。
ポジション内での各年次の比較では,FW・BKの体重,BMI,体脂肪率,除脂肪体重,BP・SQ・PCの1RM・筋力-体重比,FWの頚部伸展・屈曲筋力,筋力-体重比が2年次で有意に大きく,300m走が2年次で有意に小さい値を示した。
【結論】
FWはBKと比べて各年次ともBMI,体脂肪率,除脂肪体重が大きく,肥満体型で筋量が多いと示され,BP・PCの1RMが大きく,上肢筋力と全身パワーが大きいと示された。2年次は加えて頚部伸展・屈曲筋力が大きいと示された。各年次の比較においても,FWの2年次は頚部伸展・屈曲等尺性筋力,筋力-体重比が大きいと示された。FWはボールの争奪に関わり密集で組み合う局面が多い競技特性の影響が考えられる。
BKはFWと比べて各年次とも1000m走,300m走で小さく,持久力,スピードに優れていると示された。2年次は加えてSQ・PCの筋力-体重比が大きいと示された。高校ラグビー経験者の特徴としてBKは下肢・全身パワーの筋力-体重比が大きいと報告されており(光武ら,2002),競争局面に多く関わる競技特性の影響が考えられる。
ポジション内の各年次の比較では,2年次でFW・BKともBMI・体脂肪率・除脂肪体重が大きく,300m走の値が小さい。体重・体脂肪率・筋量・スピードの増加を示し,ラグビー特有の強いコンタクトを伴う競技特性の影響が考えられる。