[P-SP-11-3] 高校生バスケットボール選手の静的バランスに影響を与える身体的要因
Keywords:バスケットボール, メディカルチェック, 外傷・障がい予防
【はじめに,目的】
バスケットボールは,急激なストップとダッシュなどが求められる。そのため足関節捻挫や膝前十字靭帯(Anterior cruciate ligament;ACL)損傷など,外傷や障がいの発生頻度が高い。かねてより筆者らはACL損傷予防に取り組んできた。このACL損傷予防プログラムには筋力やバランス能力の改善,動的な下肢アライメントの修正を取り入れている。しかし,実際のバスケットボールプレイヤーのバランス能力について調査した研究は少なく,現状は不明な点が多い。今回,大規模な調査の機会を得たので高校生男女バスケットボール選手での現状を報告し,外傷や障がい予防プログラムの進展にさらに役立てたいと考える。
【方法】
平成28年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技(広島県)の開催にあたり,7月30日~8月5日の7日間で測定を実施した。対象は高校バスケットボール選手(男子150名,女子283名)である。測定項目は,閉眼片脚立位保持時間,全身関節弛緩性,外反母趾,舟状骨アーチ高,knee-in,knee-out,toe-in,toe-outなどとした。統計学的解析にはEZR ver1.32を使用した。静的バランス能力について,対象を閉眼片脚立位保持時間の結果から30秒未満群(低値群)と30秒以上(高値群)の2群に分け,閉眼片脚立位保持時間に影響を与える身体的要因として,全身関節弛緩性,外反母趾,舟状骨アーチ高,knee-in,knee-out,toe-in,toe-outとの関連を検討した。knee-inとknee-outは荷重時に前額面上において膝関節中央が明らかに正中位より内方に位置する場合をknee-in,外方に位置する場合をknee-outとした。toe-in,toe-outは第2足趾が正中位より外方に位置するものをtoe-out,内方に位置するものをtoe-inとした。閉眼片脚立位保持時間を従属変数,身体的要因を独立変数として単変量解析を行い,さらに関連を認めた項目を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。危険率は5%未満とした。
【結果】
閉眼片脚立位保持時間について,男子は低値群82名であり,閉眼片脚立位保持時間は(平均±SD)10.7±7.5秒,高値群62名で53.3±10.2秒,女子は低値群160名で12.4±7.7秒で,高値群123名で54.0±9.9秒だった。knee-inは男子で16名,女子で40名,knee-outは男子で31名,女子で23名であった。toe-inは男子で3名,女子は9名,toe-outは男子で50名,女子は51名であった。単変量解析の結果,片脚立位時間と関連を認めたのは,男子では,GJLのうち膝関節と足関節の項目,外反母趾,女子ではアーチ高だった。ロジスティック回帰分析の結果,男女とも片脚立位時間に影響を与える因子は抽出されなかった。
【結論】
下肢アライメントが静的バランスに影響するか検討した。knee-inとtoe-outというACL損傷のリスク要因はバランス能力とは関係しないことが示された。抽出された下肢アライメントについてバランス能力との関係をさらに注意深く分析したい。
バスケットボールは,急激なストップとダッシュなどが求められる。そのため足関節捻挫や膝前十字靭帯(Anterior cruciate ligament;ACL)損傷など,外傷や障がいの発生頻度が高い。かねてより筆者らはACL損傷予防に取り組んできた。このACL損傷予防プログラムには筋力やバランス能力の改善,動的な下肢アライメントの修正を取り入れている。しかし,実際のバスケットボールプレイヤーのバランス能力について調査した研究は少なく,現状は不明な点が多い。今回,大規模な調査の機会を得たので高校生男女バスケットボール選手での現状を報告し,外傷や障がい予防プログラムの進展にさらに役立てたいと考える。
【方法】
平成28年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技(広島県)の開催にあたり,7月30日~8月5日の7日間で測定を実施した。対象は高校バスケットボール選手(男子150名,女子283名)である。測定項目は,閉眼片脚立位保持時間,全身関節弛緩性,外反母趾,舟状骨アーチ高,knee-in,knee-out,toe-in,toe-outなどとした。統計学的解析にはEZR ver1.32を使用した。静的バランス能力について,対象を閉眼片脚立位保持時間の結果から30秒未満群(低値群)と30秒以上(高値群)の2群に分け,閉眼片脚立位保持時間に影響を与える身体的要因として,全身関節弛緩性,外反母趾,舟状骨アーチ高,knee-in,knee-out,toe-in,toe-outとの関連を検討した。knee-inとknee-outは荷重時に前額面上において膝関節中央が明らかに正中位より内方に位置する場合をknee-in,外方に位置する場合をknee-outとした。toe-in,toe-outは第2足趾が正中位より外方に位置するものをtoe-out,内方に位置するものをtoe-inとした。閉眼片脚立位保持時間を従属変数,身体的要因を独立変数として単変量解析を行い,さらに関連を認めた項目を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。危険率は5%未満とした。
【結果】
閉眼片脚立位保持時間について,男子は低値群82名であり,閉眼片脚立位保持時間は(平均±SD)10.7±7.5秒,高値群62名で53.3±10.2秒,女子は低値群160名で12.4±7.7秒で,高値群123名で54.0±9.9秒だった。knee-inは男子で16名,女子で40名,knee-outは男子で31名,女子で23名であった。toe-inは男子で3名,女子は9名,toe-outは男子で50名,女子は51名であった。単変量解析の結果,片脚立位時間と関連を認めたのは,男子では,GJLのうち膝関節と足関節の項目,外反母趾,女子ではアーチ高だった。ロジスティック回帰分析の結果,男女とも片脚立位時間に影響を与える因子は抽出されなかった。
【結論】
下肢アライメントが静的バランスに影響するか検討した。knee-inとtoe-outというACL損傷のリスク要因はバランス能力とは関係しないことが示された。抽出された下肢アライメントについてバランス能力との関係をさらに注意深く分析したい。