[P-SP-12-2] 新たな方法による足部内側縦アーチ計測の信頼性と妥当性
Keywords:足部内側縦アーチ, 舟状骨, 信頼性
【はじめに,目的】下肢スポーツ傷害のリスクファクターの一つに足部内側縦アーチの低下が挙げられる。足部内側縦アーチを客観的に評価する方法には主に画像評価法とNavicular drop(ND)法がある。前者は信頼性が高く,デジタル写真とX線画像法との高い相関関係が示されている。ND法は臨床で簡便に用いることができるが,この信頼性は研究間で異なる。理由の一つとして,立位では対側下肢が骨指標の確認を遮ってしまうということがある。解決策として,タンデム肢位での計測方法が考案されているが,走行などの肢位よりも歩隔が狭く,また計測肢の股関節が屈曲・内転位となることが問題となる。以上の問題点を解消するために,我々は立位で非計測肢を片膝立位にすることで,計測肢の股関節中間位で骨指標の確認が容易な独自の方法を考案した。本研究の目的は,我々の方法による計測値の信頼性を確認することとND法との基準関連妥当性を検討し,足部アーチの新たな測定方法を示すことである。
【方法】対象は健常成人12名と女性アスリート17名とした。検者は臨床経験8年目の理学療法士(検者A)と理学療法士養成学校生とした。被検者の足部(舟状骨結節,第一中足骨骨頭,踵内側部)にマーカを貼付し,50%荷重時(50%PWB)と100%荷重時(FWB)の計測肢足部内側面をデジタルカメラで撮影した。50%PWBの姿勢は,非計測肢の膝関節屈曲・股関節中間位,骨盤水平位,体幹直立位での立位とした。FWBの姿勢では,50%PWBの姿勢から非計測肢を軽度挙上させた。両側,各3回測定した。撮影した画像から,Image Jを用いて舟状骨結節と第一中足骨骨頭,舟状骨結節と踵内側部とを結ぶ線でなす角度(MLA角)と,舟状骨結節から床までの垂線の距離(NH)を計測した。さらにND法を健常成人のみ実施した。統計学的解析は,各検者が測定したデータから,級内相関係数(ICC)を求め,検者内信頼性ICC(1,3)と検者間信頼性ICC(2,3)を算出した。50%PWBとFWBのMLA角およびNHの差とND法測定値の間で相関分析をおこなった(Spearmanの順位相関係数)。女性アスリートの測定は検者Aのみが行い,検者内信頼性ICC(1,3)を算出した。統計はSPSS23.0 Jを用い,有意水準5%とした
【結果】健常成人を対象としたMLA角,NHのICC(1,3)は,両検者とも0.95から0.99であった。同様にICC(2,3)は0.74から0.88であった。MLA角差とNH差のICC(1,3)は,0.78から0.91であり,ICC(2,3)は0.63と0.56であった。MLA差,NH差とND法測定値の相関係数はそれぞれ,r=0.43(p=0.04),r=0.41(p=0.06)であった。女性アスリートを対象としたMLA角,NHとMLA角差,NH差のICC(1,3)は0.99,0.98,0.90,0.87であった。
【結論】我々が考案した足部内側縦アーチ計測法において良好から優秀レベルの信頼性が確認できた。NDとの関連も確認され,足部内側縦アーチの評価として有用である可能性が示唆された。
【方法】対象は健常成人12名と女性アスリート17名とした。検者は臨床経験8年目の理学療法士(検者A)と理学療法士養成学校生とした。被検者の足部(舟状骨結節,第一中足骨骨頭,踵内側部)にマーカを貼付し,50%荷重時(50%PWB)と100%荷重時(FWB)の計測肢足部内側面をデジタルカメラで撮影した。50%PWBの姿勢は,非計測肢の膝関節屈曲・股関節中間位,骨盤水平位,体幹直立位での立位とした。FWBの姿勢では,50%PWBの姿勢から非計測肢を軽度挙上させた。両側,各3回測定した。撮影した画像から,Image Jを用いて舟状骨結節と第一中足骨骨頭,舟状骨結節と踵内側部とを結ぶ線でなす角度(MLA角)と,舟状骨結節から床までの垂線の距離(NH)を計測した。さらにND法を健常成人のみ実施した。統計学的解析は,各検者が測定したデータから,級内相関係数(ICC)を求め,検者内信頼性ICC(1,3)と検者間信頼性ICC(2,3)を算出した。50%PWBとFWBのMLA角およびNHの差とND法測定値の間で相関分析をおこなった(Spearmanの順位相関係数)。女性アスリートの測定は検者Aのみが行い,検者内信頼性ICC(1,3)を算出した。統計はSPSS23.0 Jを用い,有意水準5%とした
【結果】健常成人を対象としたMLA角,NHのICC(1,3)は,両検者とも0.95から0.99であった。同様にICC(2,3)は0.74から0.88であった。MLA角差とNH差のICC(1,3)は,0.78から0.91であり,ICC(2,3)は0.63と0.56であった。MLA差,NH差とND法測定値の相関係数はそれぞれ,r=0.43(p=0.04),r=0.41(p=0.06)であった。女性アスリートを対象としたMLA角,NHとMLA角差,NH差のICC(1,3)は0.99,0.98,0.90,0.87であった。
【結論】我々が考案した足部内側縦アーチ計測法において良好から優秀レベルの信頼性が確認できた。NDとの関連も確認され,足部内側縦アーチの評価として有用である可能性が示唆された。