[P-SP-12-3] 足趾かみが下腿前傾角度に与える影響
キーワード:足趾かみ, 下腿前傾角度, 足部アーチ
【はじめに,目的】
スポーツ外傷の発生に関係する問題として,下腿前傾角度の減少がある。下腿前傾角度の減少には,足関節背屈可動域制限などの機能的要因の問題に加え,動作時の足趾かみも関係すると言われている。本研究は,下腿前傾時の足趾かみの有無が下腿前傾角度に与える影響を確認することを目的とした。
【方法】
対象は,高校生女子バスケットボール選手18名で,測定側は左下肢とした。対象に,安静立位から下腿前傾を伴う前方への踏み込み動作を行わせ,側方よりデジタルビデオカメラ(日本ビクター株式会社製)で撮影した。踏み込み動作は,第3趾が骨盤幅になるように立ち,ステップ幅は50%転子果長とした。最大下腿前傾時の足関節背屈角度を,最大下腿前傾角度としてゴニオメーターで測定した。画像よりダートフィッシュ(ダートフィッシュジャパン社製)を用いて,安静立位時と最大下腿前傾時における母趾趾節間関節(以下,母趾IP関節)屈曲角度と舟状骨高,アーチ長を測定した。安静立位時と最大下腿前傾時のアーチ高率を算出し,アーチ沈降率(安静立位時から最大下腿前傾時のアーチ高率の変化率)を求めた。機能的要因として,足関節背屈,母趾中足趾節間関節(以下,母趾MP関節)伸展の各可動域を測定した。最大下腿前傾時,視覚的に母趾IP関節屈曲位と判断した屈曲群(9名)と,中間位と判断した中間群(9名)に分類し,測定項目を2群間で比較した。統計学的解析は,対応のないt検定を用い有意水準は5%未満とした。
【結果】
最大下腿前傾時の母趾IP関節屈曲角度は,屈曲群(7.7±4.6度)が中間群(1.3±2.0度)より有意に大きかった(p<0.01)。最大下腿前傾角度は,屈曲群(36.2±3.6度)が中間群(39.8±3.0度)に比べて有意に小さく(p<0.05),アーチ沈降率は,屈曲群(9.9±6.1%)が中間群(4.2±2.4%)に比べて有意に大きい(p<0.05)結果となった。母趾MP関節伸展可動域は,屈曲群(77.2±13.9度)が中間群(65.6±8.5度)に比べて有意に大きかった(p<0.05)。
【結論】
最大下腿前傾時の母趾IP関節屈曲角度における2群間の有意差は,足趾かみと判断した対象の足趾が実際に屈曲位であったことを示している。屈曲群では,中間群に比べて最大下腿前傾角度が小さく,アーチ沈降率が大きかった。動作時の足趾かみと,下腿前傾角度の減少や足部アーチ降下との関連が確認され,踏み込み動作などで足趾かみの有無を確認する必要性が示された。また,屈曲群で母趾MP関節伸展可動域が大きかったことは,足底腱膜の緊張低下を示すものと考えられ,代償として足趾屈曲筋の収縮により足部の剛性を高めた結果,足趾かみを呈した可能性が考えられる。足趾かみに関係する機能的要因として,足底腱膜の緊張低下の確認が必要となることが示された。
スポーツ外傷の発生に関係する問題として,下腿前傾角度の減少がある。下腿前傾角度の減少には,足関節背屈可動域制限などの機能的要因の問題に加え,動作時の足趾かみも関係すると言われている。本研究は,下腿前傾時の足趾かみの有無が下腿前傾角度に与える影響を確認することを目的とした。
【方法】
対象は,高校生女子バスケットボール選手18名で,測定側は左下肢とした。対象に,安静立位から下腿前傾を伴う前方への踏み込み動作を行わせ,側方よりデジタルビデオカメラ(日本ビクター株式会社製)で撮影した。踏み込み動作は,第3趾が骨盤幅になるように立ち,ステップ幅は50%転子果長とした。最大下腿前傾時の足関節背屈角度を,最大下腿前傾角度としてゴニオメーターで測定した。画像よりダートフィッシュ(ダートフィッシュジャパン社製)を用いて,安静立位時と最大下腿前傾時における母趾趾節間関節(以下,母趾IP関節)屈曲角度と舟状骨高,アーチ長を測定した。安静立位時と最大下腿前傾時のアーチ高率を算出し,アーチ沈降率(安静立位時から最大下腿前傾時のアーチ高率の変化率)を求めた。機能的要因として,足関節背屈,母趾中足趾節間関節(以下,母趾MP関節)伸展の各可動域を測定した。最大下腿前傾時,視覚的に母趾IP関節屈曲位と判断した屈曲群(9名)と,中間位と判断した中間群(9名)に分類し,測定項目を2群間で比較した。統計学的解析は,対応のないt検定を用い有意水準は5%未満とした。
【結果】
最大下腿前傾時の母趾IP関節屈曲角度は,屈曲群(7.7±4.6度)が中間群(1.3±2.0度)より有意に大きかった(p<0.01)。最大下腿前傾角度は,屈曲群(36.2±3.6度)が中間群(39.8±3.0度)に比べて有意に小さく(p<0.05),アーチ沈降率は,屈曲群(9.9±6.1%)が中間群(4.2±2.4%)に比べて有意に大きい(p<0.05)結果となった。母趾MP関節伸展可動域は,屈曲群(77.2±13.9度)が中間群(65.6±8.5度)に比べて有意に大きかった(p<0.05)。
【結論】
最大下腿前傾時の母趾IP関節屈曲角度における2群間の有意差は,足趾かみと判断した対象の足趾が実際に屈曲位であったことを示している。屈曲群では,中間群に比べて最大下腿前傾角度が小さく,アーチ沈降率が大きかった。動作時の足趾かみと,下腿前傾角度の減少や足部アーチ降下との関連が確認され,踏み込み動作などで足趾かみの有無を確認する必要性が示された。また,屈曲群で母趾MP関節伸展可動域が大きかったことは,足底腱膜の緊張低下を示すものと考えられ,代償として足趾屈曲筋の収縮により足部の剛性を高めた結果,足趾かみを呈した可能性が考えられる。足趾かみに関係する機能的要因として,足底腱膜の緊張低下の確認が必要となることが示された。