[P-SP-12-5] 振り向きテストにおける足関節不安定症の定量的評価の再現性
Keywords:慢性的足関節不安定症, 振り向きテスト, 加速度
【目的】足関節外側靭帯損傷は,スポーツ外傷の中で多くみられる傷害の1つである。損傷の程度によっては長期間の固定や手術が必要なことがある。足関節不安定性を残したまま競技復帰した場合,スポーツ活動時のパフォーマンスの低下や再受傷率が高く,50%程度が慢性的足関節不安定症(Chronic ankle instability:CAI)に移行するとされている(van Rijin, et al., 2008)。この足関節不安定性を荷重位で評価する方法として,川野による振り向きテストなどの検査が知られている。しかし,患者の不安感の有無をもって判断をする検査であり,定量化や再現性について検討が必要になる。近年,膝関節回旋不安定性を三軸の加速度計を用いて定量化が試みられている(Berruto, 2013. Zaffagnin, 2014.)。そのため,三軸の加速度計を用いることで振り向きテストでの不安定性を定量化できると考えた。そこで,本研究の目的は,三軸の加速度計を用いて,振り向きテスト時の足関節不安定性を定量化することとした。
【方法】対象は健常成人17名34足(男性3名,女性14名,平均年齢20.8±0.94)とした。被験者は,複数回の足関節捻挫の既往があり,日常生活でのgiving wayがあるものをCAI群(12名17足),それ以外のものをcontrol群(12名17足)とした。三軸の加速度計(Microstone社)を6G,100Hzに設定し,計測側の外果上方に,下腿に対して平行になるようにアンダーラップで固定した。振り向きテストの方法は川野の方法に準じて,片足ずつ3回実施した。振り向きテスト時の加速度計の波形からx軸(前後),z軸(側方)の負のpeak値をAx,Azとして求めた。またy軸(垂直軸)周りの回転速度(Gy)のピーク値も算出した。Ax,Az,Gyの3回の平均値を代表値とし,CAI群,control群の違いを検討した。さらに,AxとAzの合成ベクトルAc後外側方向への動揺として算出した。統計学的処理は,unpaired t-testを用い,有意水準5%未満とした。
【結果】Axは,CAI群-4.19±0.65m/sec2,control群-3.03±0.93 m/sec2であり,CAI群とcontrol群に有意差を認めた(P<0.05)。Azは,CAI群-2.53±0.95 m/sec2,control群-1.74±0.40 m/sec2であり,有意差を認めた(P<0.05)。Gyは,CAI群-140.07±53.1 deg/sec,control群-84.64±32.89 deg/secであり,有意差を認めた(P<0.05)。Acは,CAI群-4.82±0.76 m/sec2,control群-3.68±0.93 m/sec2であり,有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】本研究の結果,CAI群はcontrol群に比べて,側方,後方,後外側への加速度波形のピークが大きい値を示していた。Zaffagninらは膝ACL損傷例において,Pivot shit test時の動的安定性の欠如時には下腿近位部につけた加速度のピークが大きくなることを示している。つまり,本研究の結果は足関節後外側方向への不安定性を示していると考えた。後外側方向への不安定性を定量化することは,足関節内反捻挫後の競技復帰に向けた効果判定に有用と考えられる。
【方法】対象は健常成人17名34足(男性3名,女性14名,平均年齢20.8±0.94)とした。被験者は,複数回の足関節捻挫の既往があり,日常生活でのgiving wayがあるものをCAI群(12名17足),それ以外のものをcontrol群(12名17足)とした。三軸の加速度計(Microstone社)を6G,100Hzに設定し,計測側の外果上方に,下腿に対して平行になるようにアンダーラップで固定した。振り向きテストの方法は川野の方法に準じて,片足ずつ3回実施した。振り向きテスト時の加速度計の波形からx軸(前後),z軸(側方)の負のpeak値をAx,Azとして求めた。またy軸(垂直軸)周りの回転速度(Gy)のピーク値も算出した。Ax,Az,Gyの3回の平均値を代表値とし,CAI群,control群の違いを検討した。さらに,AxとAzの合成ベクトルAc後外側方向への動揺として算出した。統計学的処理は,unpaired t-testを用い,有意水準5%未満とした。
【結果】Axは,CAI群-4.19±0.65m/sec2,control群-3.03±0.93 m/sec2であり,CAI群とcontrol群に有意差を認めた(P<0.05)。Azは,CAI群-2.53±0.95 m/sec2,control群-1.74±0.40 m/sec2であり,有意差を認めた(P<0.05)。Gyは,CAI群-140.07±53.1 deg/sec,control群-84.64±32.89 deg/secであり,有意差を認めた(P<0.05)。Acは,CAI群-4.82±0.76 m/sec2,control群-3.68±0.93 m/sec2であり,有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】本研究の結果,CAI群はcontrol群に比べて,側方,後方,後外側への加速度波形のピークが大きい値を示していた。Zaffagninらは膝ACL損傷例において,Pivot shit test時の動的安定性の欠如時には下腿近位部につけた加速度のピークが大きくなることを示している。つまり,本研究の結果は足関節後外側方向への不安定性を示していると考えた。後外側方向への不安定性を定量化することは,足関節内反捻挫後の競技復帰に向けた効果判定に有用と考えられる。