The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本スポーツ理学療法学会 » ポスター発表

[P-SP-14] ポスター(スポーツ)P14

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本スポーツ理学療法学会

[P-SP-14-1] 呼気ガス分析指標とフィールドテストの関係
12分間走とYo-Yo testの走行距離とスピードについて

吉田 昌平1, 原 邦夫2 (1.京都がくさい病院運動器スポーツリハビリテーション科, 2.鞍馬口医療センター整形外科)

Keywords:フィールドテスト, 呼気ガス分析指標, 全身持久力

【はじめに,目的】12分間走やYo-Yoテストは,全身持久力の評価が行えるフィールドテストとして広く用いられている。今回我々は12分間走,Yo-Yo testの各走行距離と呼気ガス分析指標で得られる換気性作業閾値(AT),呼吸性代償開始点(RCP),最大酸素摂取量(VO2max)の関係について検討すること。

【対象】高校生男子サッカー選手18名(年齢:16.8±0.5歳,身長:169.7±7.8cm,体重:65.2±7.4kg)とした。

【方法】12分間走は,1周200mのトラックを用いて10m単位で走行距離を測定した。Yo-Yo testは,intermittent recovery testレベル2を用いて走行距離を評価した。呼気ガス分析(ミナト社製:AE-300S)を用いた各指標の測定は,トレッドミル(ミナト社製AR-200)を用いた多段階漸増運動負荷試験を症候限界性に行った。呼気ガス分析指標は,呼気終末二酸化炭素濃度(ETco2)が一定で,呼気終末酸素濃度(ETo2)が上昇し始める点をATとして求めた。RCPは主に,AT以降ETco2が低下し始める点として求めた。VO2maxは,30秒間の平均を体重比で求めた。フィールドテストで求めた各走行距離と呼気ガス分析で得られた各指標の相関関係を求めた。さらに12分間走の平均スピード,Yo-Yo testの最高スピードを求め,AT,RCPの各指標との関係について考察を加えた。

【結果】12分間走の走行距離は,3007.2±132.4m,平均スピードは15.0±0.7km/hであった。Yo-Yo testの走行距離は,629.3±142.0mであり最高スピードは17.6±0.2km/hであった。呼気ガス分析指標で求められた各指標はAT12.8±0.8km/h,RCP16.4±1.1km/h,VO2maxは66.9±4.1mil/kg/minであった。12分間走の走行距離と呼気ガス分析指標との関係は,AT r=0.57,RCP r=0.75,VO2max r=0.69とそれぞれ有意な関係を認めたが,RCPが最も高い相関を認めた。Yo-Yo testの走行距離と呼気ガス分析の各指標との関係はAT r=0.29,RCP r=0.64,VO2max r=0.27とRCPのみ有意な相関を認めた。12分間走の平均スピードはRCPよりもやや低い走速度であった。一方,Yo-Yo testの最高スピードはRCPよりも高い走速度を認めた。

【結語】トレッドミルを用いた漸増運動負荷試験では,持続的な運動中の換気応答を分析し全身持久力を評価する。そのため,持続的な運動をフィールドテストとして行う12分間走においては,持久的指標とされているAT,RCP,VO2maxとそれぞれ優位な相関関係を認めた。一方,間欠的な運動をフィールドテストとして行うYo-Yo testでは,RCPのみ優位な相関関係を認めた。呼気ガス分析指標で得られるRCPは,その走速度以上の持続的な運動では不可逆的な乳酸の上昇が始まる点とされている。つまりRCPの走速度は,乳酸を除去しながら運動を可能とする最大スピードと考える。したがって,乳酸の産生と除去を繰り返し行う間欠的な全身持久力の評価として用いるYo-Yo testの走行距離とRCPに最も高い相関を認めたと考えた。