The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本スポーツ理学療法学会 » ポスター発表

[P-SP-14] ポスター(スポーツ)P14

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本スポーツ理学療法学会

[P-SP-14-3] 高校サッカー選手の傷害既往とActive Straight Leg Raise,Hurdle step,Inline lunge動作の特徴

遠藤 康裕1,2, 武井 健児2, 小保方 祐貴2, 猪股 伸晃2, 大河原 和也2, 奥井 友香2, 佐々木 沙織2, 中川 和昌2,3 (1.医療法人一羊会上武呼吸器科内科病院, 2.PsLab., 3.高崎健康福祉大学理学療法学科)

Keywords:スポーツ傷害, 評価, 予防

【はじめに,目的】

スポーツ傷害の要因として,筋力や筋柔軟性,関節可動域と同等に姿勢,動作の安定性,適切さは重要である。スポーツ選手の基本的な動作の評価としてCookはFunctional Movement Screen(以下FMS)を提唱している。我々もFMSを使用し,高校サッカー選手,陸上選手の障害要因,フィールドテストとの関連を検討してきた。しかし,課題としてFMSの各項目の左右差や項目間の関連を詳細に検討することが挙げられた。今回は,FMSのうちActive Straight Leg Raise(以下ASLR),Hurdle step,Inline lungeの動作を評価し,左右差,項目の組み合わせから傷害要因を検討した。

【方法】

高校生サッカー部員164名を対象とし,定期的に実施しているコンディションチェックの結果から傷害歴とASLR,Hurdle step,Inline lungeの結果を抽出した。傷害歴はIOCの基準を基に傷害の部位・種類・原因を精査し分類した。ASLR,Hurdle step,Inline lungeはCookらが提唱しているFMSの方法に準じて実施し,0~3点で判定した。各項目内で左右の点数が異なる場合は陽性,左右とも同じ点数の場合は陰性と判定した。尚,左右とも1点の場合,0点を含む場合は解析対象から除外した。その後,3つの項目の左右差陽性,陰性の組み合わせで8グループに分類し,各グループ内で下肢傷害を有する者,有さない者の人数を比較した。


【結果】

164名のうち,下肢傷害の既往を有する者は103名いた。解析対象者についてASLR,Hurdle step,Inline lungeの結果をみると,ASLR陽性は36名,Hurdle step陽性は45名,Inline lunge陽性は54名であった。項目の組み合わせでASLR陽性,Hurdle step陰性,Inline lunge陰性の者は15名であった。この群のうち14名が既往あり,1名は既往なしで明らかに下肢傷害を有する者が多かった。それ以外の組み合わせでは明らかな傾向はみられなかった。

【結論】

ASLRは大腿後面の筋柔軟性,Hurdle stepは下肢・体幹の安定性,Inline lungeは足・股関節・体幹の可動性,筋力,安定性を評価できる。その点で今回の結果は,柔軟性に左右差があり,下肢・体幹の筋力,安定性に左右差がないことが,サッカーに必要な動作のなかで過剰な負荷を生じさせ,下肢傷害の一要因となることが示唆された。FMSの結果と傷害の関連については,総合点とは有意な関連がないといった報告があり,Cook自身も左右差の有無が重要であると述べている。今回,左右差,項目間の組み合わせと傷害の関連がみられたことは新しい評価基準となるだろう。