The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-01] ポスター(地域)P01

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-01-1] 通所介護事業所におけるリハビリテーション専門職が提供する生活リハビリテーションが居宅でのADLに与える影響
要介護度軽度群・中重度群別での検討

若井 陽香1, 上野 貴大2, 山口 大輔2, 成尾 豊1, 田中 俊一1, 堀切 康平3 (1.越谷リハビリケアセンター, 2.松伏町訪問リハビリ看護ステーション, 3.越谷リハけあまねステーション)

Keywords:通所介護, 生活リハビリテーション, 中重度要介護者

【はじめに,目的】平成27年の介護報酬改定では,通所系サービスに中重度ケア体制加算が新設され,中重度要介護者の居宅生活継続へ向けた取り組みが課題となっている。当事業所では,生活リハビリテーション(以下生活リハ)にリハ専門職が従事しており,中重度要介護者に対して立位・歩行活動を盛り込んだ生活リハを提供している。我々は第51回日本理学療法学術大会にて,リハ専門職による生活リハが利用者の居宅でのしているADLを有意に改善させることを報告したが,症例数の不足のため詳細な検討に至っていない。そこで本研究では,通所介護事業所においてリハ専門職が提供する生活リハが利用者の12ヶ月後の居宅でのしているADLに与える影響について,要介護度に着目し検討することを目的とした。

【方法】対象は当事業所の利用を開始してから12ヶ月が経過した利用者56名(男性34名,女性22名)とした。対象者の特性として,基礎疾患,要介護度,通所頻度を調査した。当事業所は,7時間以上9時間未満のサービス提供時間を有する通常規模の通所介護事業所であり個別機能訓練加算IとII,生活相談員に常勤・非常勤の理学療法士を配置している。生活リハの主な支援内容は,サービス提供時間を通じて必要場面における最大能力での移動介助,居宅環境を想定しての入浴介助やトイレ介助,送迎車への乗降介助等であった。対象において利用開始時と開始12ヶ月後の機能的自立度評価法(以下,FIM)を調査した。サービス開始時の要介護度により軽度群(要介護2以下),中重度群(要介護3以上)へ群分けを実施した。基本特性についてMann-WhitneyのU検定,χ2独立性の検定のいずれかを用い群間で比較した。各群および全体において利用開始時と開始12ヶ月後のFIM得点について,Wilcoxonの符号付順位和検定を用い比較した。FIM得点の比較は総得点に加え下位項目に対しても実施した。利用開始時と開始12ヶ月後のFIM得点の比較において,両群共に有意な差が確認された項目に対し,FIM利得の群間比較をMann-WhitneyのU検定を用い実施した。統計的検討にはSPSS for windows 10を用い,有意水準5%とした。

【結果】基本特性の各項目については群間において有意な差は認めなかった。対象全体のFIM得点の推移ではセルフケア,移乗,移動,運動FIM,総得点の項目で有意な改善を認めた。中重度群ではセルフケア,移乗,移動,運動FIM,総得点で有意な改善を認めた。軽度群では移動,運動FIM,総得点で有意な改善を認めた。両群ともに有意な改善を認めた3項目のFIM利得は,全ての項目において中重度群の方が有意に高値であった。

【結論】生活リハの提供の効果は軽度群と中重度群では現れ方が異なっていた。改善項目が多くFIM利得が高いことから,通所介護事業所におけるリハ専門職が提供する生活リハは,社会課題となっている中重度者の居宅生活の継続へ向けた取り組みとして有用であると考える。