第52回日本理学療法学術大会

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-01] ポスター(地域)P01

2017年5月12日(金) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-01-5] 通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションの併用介入により活動範囲が拡大した一症例
意識変化に着目して

田牧 恭一1, 澤田 智司1, 南出 光章1, 柳瀬 仁2 (1.しおりの里デイケアセンター, 2.医療法人碧会)

キーワード:訪問リハビリテーション, 通所リハビリテーション, 活動範囲

【目的】通所リハビリテーション(以下,通所リハ)と訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)併用介入により本人,夫の意識が変化し活動範囲が拡大した症例を経験したので報告する。

【症例提示】夫と二人暮らしの60歳代女性。平成24年8月に髄膜腫瘍摘出術施行も部分摘出となり残存腫瘍により脳梗塞を合併し左片麻痺を呈す。その後入退院を繰り返したが,病状安定したため平成25年3月にリハビリテーション(以下,リハビリ)目的で入院,同年6月に退院される。退院後,週3回の通所サービスを利用。在宅での自宅環境調整を目的に平成27年7月より訪問リハ開始に至る。

【経過】訪問リハ介入時のBrunnstrom recovery stageは左上肢,手指,下肢ともにstage II。FIMは64点であった。自宅での生活は日中ベッド上臥床中心であり,外出機会は通所サービスや受診のみであった。介入当初,通所リハでは明確な目的を持てないまま本人の希望に沿い歩行を中心に行っていた。そこで,まず本人の意識を変化させ身体機能に対するリハビリから外出課題に対するリハビリに変更することを目標とした。訪問リハでは自宅環境調整に加え,本人や夫からの希望を聞き出すことで,自宅から30分圏内の商業施設への外出という明確な目的を設定し,自発的に活動意欲を持つことを目指した。また,歩く姿を夫に見せたいという本人の目的が通所リハ利用にも好影響を与え,リハビリに励む時間の増加に繋がった。介入時の4点杖歩行は中等度であったが平成28年5月には軽介助となり,FIMも68点と向上がみられた。また,トイレ動作や自動車への移乗,歩行に取り組む本人の姿を夫に見せることで,夫の関心も次第に高くなった。平成28年7月に,夫との外出時には車椅子でなく自家用車の助手席に乗車し商業施設まで外出をされるようになった。また,移乗動作も安定したことから障害者用トイレ使用の不安も次第に減少し,遠方への外出も実施されるようになった。

【考察】通所リハでは明確な目的が持てないまま歩行を中心とした訓練を行っていたが,訪問リハとの併用介入後は夫を巻き込んだ話し合いができ,外出における課題を引き出し,訪問リハ,通所リハにて統一した目的を持つことで双方から前向きな姿勢でリハビリを行う事が出来た。結果,外出に向けて自動車助手席への乗車が可能になり,本人のみならず夫の「以前のように妻を外出させてやりたい」「助手席からの景色を見せたい」という希望も聞き出すこともでき,二人そろっての目的を設け活動範囲の拡大を達成する事が出来た。