The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-04] ポスター(地域)P04

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-04-1] 軽度要介護者の骨密度に関連する過去の生活習慣の要因について

安藤 卓, 樋口 由美, 藤堂 恵美子, 上田 哲也, 北川 智美, 高尾 耕平, 村上 達典 (大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科)

Keywords:軽度要介護者, 骨密度, 生活習慣

【はじめに,目的】

高齢者の健康寿命の延伸の妨げとなる要因として,骨密度の減少に起因する骨折後の寝たきりがある。骨密度は加齢によって減少することが報告されているが,軽度要介護者の現状は不明な部分が多い。また,高齢者の骨密度は,過去の生活習慣に影響を受けると報告されている。要介護者の過去の生活習慣を調査し,骨密度との関連を明らかにすることは,健康寿命の延伸を考える上で大きな意義があると考える。そこで本研究では,軽度要介護者の骨密度に関連する過去の生活習慣を明らかにすることを目的とした。

【方法】

大阪府内3ヶ所の通所介護施設を利用する65歳以上の高齢者を対象とした。取り込み基準は,要支援2~要介護2の認定を受けた者,屋内歩行自立している者,本研究課題を理解できる認知機能のある者とした。基準を満たした35名(平均年齢80.4±8.0歳,女性20名,57.1%)を分析対象とした。対象者に10代からの生活習慣の聞き取り調査,骨密度測定を実施した。聞き取り内容は運動歴,職業歴(形態,通勤手段,通勤時間,勤続年数),カフェイン摂取歴,アルコール摂取歴,喫煙歴を聴取した。形態は立ち仕事あるいはデスクワークで,通勤手段は徒歩主体あるいは自動車主体で,通勤時間および勤続年数はそれぞれ平均値と中央値で2群化した。嗜好品に関しては,有無や摂取量の違いで2群化した。年齢は65~74歳,75歳以上で2群化した。骨密度は,超音波骨密度測定装置を用い,座位にて踵部の若年成人平均値(young adult mean値:以下YAM値)を測定した。統計学的分析は,YAM値の性差にt検定を用いて比較した。次に,YAM値を平均値で2群化し,YAM値に対する年齢,性別,生活習慣項目の単変量解析をχ2検定またはFisherの正確確率検定にて行った。さらにYAM値の増加の関連要因を明らかにするために,目的変数としてYAM値,説明変数として探索的にp値が0.2未満であった変数を強制投入したロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%未満とした。

【結果】

対象者のYAM値の平均値は63.0±10.0%,男性66.2%,女性60.6%で性差を認めなかった(p=0.13)。対象者は全員自宅外での勤務をしており,専業主婦や在宅勤務の者はいなかった。ロジスティック回帰分析では,YAM値の説明変数として運動歴,職業歴(通勤時間),職業歴(勤続年数),カフェイン摂取歴を探索的に強制投入した。その結果,通勤時間が長いこと(オッズ比8.9,95%信頼区間1.2-63.7)がYAM値を平均値以上にさせる独立関連因子であった。通勤手段における2群の通勤時間の比較を行ったところ,徒歩主体74.2分,自動車主体36.4分であり,徒歩主体の通勤は有意に時間を要していた(p=0.007)。

【結論】

軽度要介護者の骨密度は,男性でも顕著な低下を認めた。過去の生活習慣では,運動歴より長時間の徒歩を主とした通勤スタイルが有意に影響していた。