The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-05] ポスター(地域)P05

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-05-4] 要支援,要介護者における骨盤底筋群トレーニング効果の検証
高齢者集団体操,自主トレーニングの提供による効果

菊池 奏恵1, 講内 源太2, 佐藤 斎3, 高島 恵4 (1.社会福祉法人若竹大寿会介護老人保健施設リハリゾート青葉, 2.医療法人社団愛友会訪問看護ステーションゆーらっぷ, 3.合同会社リハビリコンパス地域リハビリケアセンターこんぱす春日部, 4.学校法人康学舎上尾中央医療専門学校教育部理学療法学科)

Keywords:骨盤底筋, 尿失禁, 集団体操

【はじめに,目的】高齢者において尿失禁の問題を抱えている者は多く,尿失禁ガイドラインによれば在宅高齢者の10%に尿失禁があると言われている。しかしながら,年齢のせいにし諦めていたり,尿失禁の種類によっては改善が可能であることを知らなかったりする者も多い。また,改善の方法があることは知っているが,具体的な方法がわからない者もいる。このような状態に関して骨盤底筋体操を含む行動療法は,合併症を生じることなく溢流性尿失禁を除く尿失禁の頻度を減らすことができると言われているが,要支援ならびに要介護高齢者に限定した報告は少ない為,要支援ならびに要介護高齢者の集団体操にて骨盤底筋群を中心とした体操と自主トレーニングを実施し,その効果を検証することを目的とした。

【方法】対象は通所サービスを利用している要支援および要介護高齢者で,本研究の趣旨を説明し,同意を得られた16名(男性7名,女性9名),年齢は83.19±5.73歳,平均介護度は1.24,HDS-Rは26.38±3.04点である。対象者に週1回骨盤底筋を中心とした集団体操を10週間実施し,骨盤底筋体操のリーフレットを制作し配布したうえで自主トレーニングを行うように指導をした。また,初回体操前と最終日にアンケートを実施した。アンケートは,国際失禁会議質問票短縮版(International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form,以下:ICIQ-SF),キング健康調査票(King's Health Question,以下:KHQ),生活満足度-K(Life Satisfaction Index-K,以下:LSI-K)の3種類を実施。最終日に自主トレーニングの頻度,効果の実感についても合わせてアンケートを実施した。途中で体操への参加を中断した者や,データに不備があった者を除く10名(男性4名,女性6名)を,自主トレーニングを週3回以上実施した群と,3回未満の2群に分け,体操参加前後のICIQ-SF,KHQ,LSI-Kの結果について,Mann WhitneyのU検定を実施した。統計処理はR version2.8.1を使用した。

【結果】ICIQ-SFにおいて,P=0.0361(P<0.05)となり,自主トレーニングを週3回以上した群の方が,週3回未満の群に比べてICIQ-SFのスコア改善に有意な差が見られた。KHQ,LSI-Kについては2群間で有意差が見られなかった。

【結論】今回の結果から要支援ならびに要介護者においても骨盤底筋の体操を中心とした集団体操と自主トレーニングを実施することで,尿失禁の改善に効果が出る可能性が示唆された。今回の体操では骨盤底筋群収縮の効果を実感できるようになるまで個人差はあるが,数週間かかっていた。実施期間が10週間と短かった為,体操,自主トレーニングを継続することでより効果が得られる可能性もあると考えられた。また,今回少人数での調査であった為,今後は対象者を増やし,要支援ならびに要介護高齢者の尿失禁への効果について更に検討をしていく必要があると考える。