The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-05] ポスター(地域)P05

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-05-5] 前期高齢者時期の運動習慣と後期高齢者時期の介護保険の認定調査の「基本調査」の得点との関連について

小菅 汐莉, 田村 瑞季, 鈴木 学 (群馬パース大学保健科学部理学療法学科)

Keywords:運動習慣, 後期高齢者, 介護認定

【はじめに,目的】

日本の高齢化率は,戦後より年々増加しているが,「健康寿命」が延びていると一概に言えない。加齢に伴う生活機能低下に対して運動が有効なことがわかっており,古名らは,筋力維持活動を習慣的に4年間実施している地域在住高齢者は,4年前の運動機能水準の維持が可能,といい,村田らは,運動習慣のない高齢者群と比して,ある群で身体機能が有意に高い,と報告している。しかし,過去の運動習慣が現在の能力に与える影響についての縦断的な研究は少ない。本研究では,前期高齢者時代の運動習慣が現在の基本動作やADLの能力に与える影響について検討し,今後の高齢者の生活指導の一助とし,生活の質を向上させることを目的とした。

【方法】

対象は,通所サービスを利用する32名の後期高齢者とした。

研究方法は,前期高齢者時代の運動習慣の調査はアンケートを独自に作成し,10項目の運動内容と各々の頻度・実施時間を選択式,実施期間を自由記載とした。現在のADL能力については介護保険の「基本調査」による介護度判定を行った。これは5つの中間項目について各々10問前後の質問とし,2~5段階評価で結果は得点化した。

統計処理は運動習慣の有無による介護度の相違をクラスカル・ウォリス検定にて検討した。また運動の時間と中間項目得点との関係を,スピアマンの順位相関分析を用いて検討した。統計ソフトはSPSSstatistics23を用い,有意確率は5%未満とした。

【結果】

32名中32名(男性11名,女性22名)から回答を得て,平均年齢は84.9±4.4歳,介護度は要支援2が最も多かった。運動習慣の内容分布は,散歩が31%と最も多く,体操・太極拳は3%と最も少なかった。運動習慣の有無による介護度に有意差は認めみられなかった。運動内容と介護度判定との関係ではグランドゴルフの実施時間のみ有意差が認められた(ρ=0.49)が,その他には認められなかった。

【結論】

運動習慣の有無は介護度に影響しないことが示唆された。また,運動時間も中間項目得点の差に影響しないことが示唆された。しかし,運動習慣の中でも特にグランドゴルフの実施時間により介護度判定に差が生じた。グランドゴルフは全力を出す場面と,集中力や調整力を発揮する場面を組み合わせた運動であり,また競技性も高い為,楽しみながら全力で取り組むことができる活動であることが現在の能力に影響し,更に介護度判定に差が生じた一因であると考える。