[P-TK-07-2] 回復期病棟入院患者における集団起立練習の効果
Keywords:回復期, FIM, 集団起立練習
【はじめに,目的】
当院では個別リハビリテーションに加え,病棟看護師と連携し自主練習を促しており,その一環として集団起立練習を実施している。当院での集団起立練習は日曜祝日を除いた曜日で実施し,1日150回を限度としている。先行研究で集団起立練習に関する効果を明確に検証しているものは少ない。本研究は当院で実施した集団起立練習が効果的であったのかを後方視的に調査した。
【方法】
過去2年間に当院回復期病棟に入院した患者データ165名分のうち,集団起立練習を実施した1年間分(81名)と,集団起立練習を実施しなかった1年間分(84名)のデータを使用した。このうち,欠損データを除いた111名分が解析対象であった(集団起立練習群:75名分,対照群:36名分)。解析データは,年齢,性別,疾患分類,入院期間,集団起立練習実施回数,入退院時の機能的自立度評価表(Functional Independence Measure:FIM)の運動項目得点であった。また集団起立練習群に関しては週3日以上かつ1日30回以上という条件を満たす群(44名分)と満たさない群(31名分)で2群に分けた。統計学的解析はFIMの運動項目得点の群間比較にMann-WhitneyのU検定を用いた実施した。また,集団起立練習群のFIMの運動項目得点に関連する因子の検討に重回帰分析を用いて実施した。統計解析にはEZR(バージョン1.33)を使用した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
集団起立練習群と対照群の入院時と退院時のFIMの運動項目得点を比較したところ,両群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。また,集団起立練習群の条件を満たす群と対照群の入院時と退院時のFIMの運動項目得点を比較したところ,両群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。次に,集団起立練習群の条件を満たす群と満たさない群の入院時と退院時のFIMの運動項目得点を比較したところ,入院時では有意差が認められなかったが(p>0.05),退院時では有意差が認められた(p=0.03)。集団起立練習群のFIMの運動項目得点に関連する因子の検討を行ったところ,年齢,性別,疾患分類,入院期間,集団起立練習の条件(週3日以上,1日30回以上)が挙がった(p=0.00,R2=0.36)。
【結論】
当院回復期病棟入院患者における集団起立練習の効果をFIMの運動項目得点を用いて調査した。集団起立練習の実施状況(回数,頻度)の影響を考慮しても,集団起立練習導入の前後でFIMの運動項目得点に変化は無かった。また,集団起立練習実施群のFIMの運動項目得点に関連する因子の検討を行ったところ,年齢,性別,疾患分類,入院期間,集団起立練習の条件(週3日以上,1日30回以上)が挙がったが,これらの因子は予測精度が低かった。以上の結果から,当院で実施した集団起立練習は効果的ではなかったと考えられる。そしてFIMの運動項目得点には様々な因子が関連していることが示唆され,今後はその因子を明らかにする必要性があると考えられる。
当院では個別リハビリテーションに加え,病棟看護師と連携し自主練習を促しており,その一環として集団起立練習を実施している。当院での集団起立練習は日曜祝日を除いた曜日で実施し,1日150回を限度としている。先行研究で集団起立練習に関する効果を明確に検証しているものは少ない。本研究は当院で実施した集団起立練習が効果的であったのかを後方視的に調査した。
【方法】
過去2年間に当院回復期病棟に入院した患者データ165名分のうち,集団起立練習を実施した1年間分(81名)と,集団起立練習を実施しなかった1年間分(84名)のデータを使用した。このうち,欠損データを除いた111名分が解析対象であった(集団起立練習群:75名分,対照群:36名分)。解析データは,年齢,性別,疾患分類,入院期間,集団起立練習実施回数,入退院時の機能的自立度評価表(Functional Independence Measure:FIM)の運動項目得点であった。また集団起立練習群に関しては週3日以上かつ1日30回以上という条件を満たす群(44名分)と満たさない群(31名分)で2群に分けた。統計学的解析はFIMの運動項目得点の群間比較にMann-WhitneyのU検定を用いた実施した。また,集団起立練習群のFIMの運動項目得点に関連する因子の検討に重回帰分析を用いて実施した。統計解析にはEZR(バージョン1.33)を使用した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
集団起立練習群と対照群の入院時と退院時のFIMの運動項目得点を比較したところ,両群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。また,集団起立練習群の条件を満たす群と対照群の入院時と退院時のFIMの運動項目得点を比較したところ,両群間に有意差は認められなかった(p>0.05)。次に,集団起立練習群の条件を満たす群と満たさない群の入院時と退院時のFIMの運動項目得点を比較したところ,入院時では有意差が認められなかったが(p>0.05),退院時では有意差が認められた(p=0.03)。集団起立練習群のFIMの運動項目得点に関連する因子の検討を行ったところ,年齢,性別,疾患分類,入院期間,集団起立練習の条件(週3日以上,1日30回以上)が挙がった(p=0.00,R2=0.36)。
【結論】
当院回復期病棟入院患者における集団起立練習の効果をFIMの運動項目得点を用いて調査した。集団起立練習の実施状況(回数,頻度)の影響を考慮しても,集団起立練習導入の前後でFIMの運動項目得点に変化は無かった。また,集団起立練習実施群のFIMの運動項目得点に関連する因子の検討を行ったところ,年齢,性別,疾患分類,入院期間,集団起立練習の条件(週3日以上,1日30回以上)が挙がったが,これらの因子は予測精度が低かった。以上の結果から,当院で実施した集団起立練習は効果的ではなかったと考えられる。そしてFIMの運動項目得点には様々な因子が関連していることが示唆され,今後はその因子を明らかにする必要性があると考えられる。