The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-07] ポスター(地域)P07

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-07-3] 当院回復期リハビリテーション病棟入棟患者における栄養障害の実態調査

寺井 正樹1, 与儀 貴美子2, 馬庭 義徳1, 松田 充弘1, 岩田 辰夫1 (1.総合犬山中央病院リハビリテーション科, 2.総合犬山中央病院栄養科)

Keywords:GNRI, 回復期リハビリテーション, 骨粗鬆症

【はじめに,目的】回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ)入棟患者の栄養障害の報告は多々ある。西岡ら(2015)によると,回復期リハ9施設において,入棟時に栄養障害を有する患者の割合は43.5%であった。当院は急性期病棟と回復期リハを併設しており,管理栄養士が継続的な栄養評価を行っている。その際には主にBody mass index(以下BMI),血清Alb値を用いて,必要エネルギー量の調整を行っている。一方,Bouillanneら(2005)が発表した,Geriatric Nutritional Risk Index(以下GNRI)は,血清Alb値,体重,理想体重の3項目により算出される栄養指標であり,死亡率や合併症発症率,握力などの身体指標との関連が報告されている。今回,GNRIを用いて当院回復期リハにおける栄養障害の実態を調査するとともに,これまでの栄養評価との関連を調査する事とした。

【方法】対象は,平成28年1月1日から9月30日の間に当院回復期リハに入棟した患者115名のうち,データ欠損例,他院からの入棟患者を除いた70名(脳血管疾患37名,整形疾患33名)とした。回復期リハ入棟時の調査項目は,基礎情報(年齢,性別,身長,現疾患),栄養指標(GNRI,体重,BMI,血清Alb値,栄養摂取状況(栄養管理法,摂取エネルギー量)とした。栄養指標と栄養摂取状況については,急性期入院時データと比較した。2変量の差の検定にはt検定またはMann-WhitneyのU検定,wilcoxon順位和検定を,相関関係の検定にはPearson積率相関係数またはSpearmanの順位相関係数を用いた。統計解析にはR2.8.1を使用し,有意水準は5%未満とした。

【結果】平均年齢80.4±7.5歳,男性27名(38.6%),女性43名(61.4%),身長は154.5±9.0cm,脳梗塞23名,脳出血10名,硬膜下血腫4名,骨粗鬆症関連32名,変形性関節症1名であった。急性期入院時から回復期リハ入棟時における栄養指標の変化は,GNRI96.4±10.1→86.2±8.7,体重52.6±10.6→49.6±8.9kg,BMI21.9±3.1→20.7±2.8 kg/m2,血清Alb値3.7±0.5→3.2±0.4g/dl(いずれもp<0.01)であった。摂取エネルギーは,941.2±405.6kcal→1176.2±315.7kcal(p<0.01)であった。GNRIについて,死亡率が増加するとされている92未満の患者は,急性期入院時24名(34.3%)から,回復期入棟時49名(70.0%)と有意に増加した。なかでも骨粗鬆症関連の患者が多く(27名,84.4%),さらに急性期入院時においても他疾患よりも有意に多かった(14名,48.3%)。血清Alb値3.5未満の患者は,19名(27.1%)から50名(71.4%),BMI18.5未満は10名(14.3%)から15名(21.4%)に増加した。血清Alb値の変化がGNRIの変化と類似していた。

【結論】

栄養指標としてGNRIを用いたところ,回復期リハ入棟患者の多くが低栄養状態である事がわかった。なかでも骨粗鬆症関連の患者に多く,急性期入院時から低栄養状態であった。Alb値の経過でも栄養障害の検出は可能であることが示唆されたが,当院では急性期から積極的な栄養療法の介入が必要であると考えられた。