The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-07] ポスター(地域)P07

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-07-5] 病院勤務するセラピストの地域包括ケアシステムに対する意識調査

久住 治彦, 西郡 亨, 半沢 嘉基, 原 泰裕, 岩佐 健示 (医療法人社団愛友会津田沼中央総合病院リハビリテーション科)

Keywords:地域包括ケアシステム, セラピスト, 意識

【はじめに】

現在,リハビリ専門職は総合事業への参画や介護予防の推進など,地域包括ケアシステムに対する積極的な関わりが求められている。しかし,地域の活動においては介護保険下で従事するセラピストの割合が多い印象を受ける。先行研究では医療・介護施設に勤務する理学療法士を対象に,地域への推進意識に影響する要因を調査。報告では『経験年数5年未満』,『介護予防事業や組織との関わり』が強く影響した要因としているが,病院勤務するセラピストのみを対象とした報告は見受けられない。そこで,本研究では病院勤務するセラピストを対象に地域包括ケアシステムに対する意識調査を実施。また先行研究の結果より参画の意識に関わる要因として,介護予防事業の経験に着目し,調査結果の検討を行った。

【方法】

対象はA病院に勤務するセラピスト85名(男性32名,女性53名)とした。調査方法はアンケート調査にて行い,対象者の情報は職種・経験年数・介護予防事業の経験を調査した。アンケート構成は2つの設問分類とし,①地域包括ケアシステムへの興味,言葉の理解・②地域包括ケアシステム・介護予防への参画意識を調査した。興味・言葉の理解については設問3項目に,はい・いいえの2択の構成,参画意識については設問7項目に「全く思わない=1」から「非常に思う=4」の4段階にて共感度を指数化した。アンケート結果より①興味・言葉の理解は単純集計にて傾向を調査,②参画意識は介護予防事業の経験にて対象者を群分けし,指数化した共感度の合計点を比較した。統計学的手法はMann-WhitneyのU検定を用い,解析にはR2.8.1を使用した(有意水準5%)。

【結果】

アンケートは85名中62名(PT45名,OT11名,ST6名,平均経験年数4.4年)に解答が得られ,回収率は72.9%であった。アンケート結果は,『地域分野に興味がある』88.7%,『地域活動の情報を知るツールがある』14.5%,『フレイルと言う言葉を知っている』38.7%であった。また,介護予防事業の経験の有無(有6名,無56名)にて,地域包括ケアシステム・介護予防への参画意識を比較した結果は有意差を認めなかった(n.s)。

【結論】

解答者の88.7%が地域分野に興味があり,参画意識を介護予防事業の経験にて二群比較した結果は有意差を認めなかった。この結果は職場外研修の経験に関わらず,病院勤務するセラピストの多数は地域の活動に意識が向いている事を示唆した。しかし,地域活動を知るツールの周知度は14.5%と低値であった。この事から,『関わり方がわからない』と言った問題があり,活動に繋がりにくい現状があると考える。また,フレイルへの理解も38.7%と不十分であり,組織的に地域に関わるため,共通の認識や知識を習得できる科内研修等も必要と考える。今後は,病院勤務するセラピストが地域の活動へ円滑に参画できるよう,活動報告等にて具体的な方法を提示する事を課題とした。