The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-08] ポスター(地域)P08

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-08-5] リハ実施単位数増加の効果

舟橋 宏樹, 田上 裕記, 生駒 直人, 佐々木 ゆき, 中井 智博 (愛知県厚生連足助病院)

Keywords:地域包括ケア病棟, 単位数, 退院時FIM

【はじめに,目的】

当院では平成27年4月に地域包括ケア病棟が開始された。地域包括ケア病棟の施設基準に『リハビリテーションを提供する患者については1日平均2単位以上提供している』とあり,急性期後から回復期を担い,リハビリを行い在宅・生活復帰の支援を行っていく病棟である。当院でも病棟の機能転換に伴ってリハ提供単位数を増加している。

リハ提供時間と効果に関する報告は様々あるが,病棟の機能転換で同様の対象者の単位数が増加した効果を検証した報告は少ない。本研究は,地域包括ケア病棟開始前と地域包括ケア病棟に入院した整形患者において,リハ提供単位数の増加の効果を検証する。

【方法】

対象は平成26年9月~12月に退院した整形疾患患者(以下開始前)82名。および平成27年4月~平成28年3月に地域包括ケア病棟へ入退院した整形疾患患者(以下開始後)104名である。このうちデータに欠損のあったもの,増悪・合併症等により転院転棟となったもの,運動器不安定症のものは除外とした。対象の転帰先,1日当たりの平均リハ実施単位数(以下単位数),在院日数,退院時FIM各項目をカルテより後方視的に抽出した。統計処理には転帰先はχ2乗検定を用い,単位数・在院日数・退院時FIM各項目はMann-WhitneyのU検定を用い統計学的有意水準は5%未満とした。

【結果】

対象者の属性は開始前が男性26名女性56名・平均年齢81.80±8.5歳。開始後が男性36名女性68名・平均年齢79.27±14.1歳であった。開始前後の比較で転帰先は自宅退院が開始前82名中77名で,開始後104名中99名で有意差はみられなかった。単位数が開始前1.51単位から開始後2.28単位,在院日数が開始前37.01日から開始後53.08日と有意に増加した(P<0.01)。FIMでは階段が開始前4.67から開始後3.53で有意差がみられた(P>0.05)。その他の項目の結果(開始前vs開始後)は食事(6.82vs6.81)・整容(6.15vs6.42)・清拭(6.15vs6.42)・更衣上半身(6.28vs6.30)下半身(6.15vs6.21)・トイレ動作(6.30vs6.36)・排尿管理(6.29vs6.52)・排便管理(6.34vs6.45)・移乗ベッド椅子車いす(6.40vs6.50)トイレ(6.32vs6.44)浴槽シャワー(5.59vs5.91)・移動(5.90vs6.31)・理解(6.26vs6.33)・表出(6.5vs6.63)・社会的交流(6.30vs6.41)・問題解決(6.01vs6.16)・記憶(6.22vs6.13)・合計(110.54vs111.53)で有意差がみられなかった。

【結論】

地域包括ケア病棟の開始前後の比較により,リハ実施単位数は有意に増加した。しかし,在院日数は有意に長くなり,退院時FIMでは階段が有意に低下し,転帰先や階段以外のFIM項目には有意差はみられなかった。先行研究においても単位数と各アウトカムには関連性がないとの報告が多く,今回も同様の結果となった。

しかし,有意差はみられなかったものの,転帰先やFIMの項目の多くが改善傾向を示していたため,今後は単位数の増加に足して病棟生活の質の向上に努めることにより更なる改善を求めていきたい。