[P-TK-12-1] 地域住民の介護予防(一次予防)に向けた体操教室開催の効果について
Keywords:介護予防, 体操教室, 基本チェックリスト
【はじめに,目的】
地域包括ケアシステム構築に向けて,介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)が展開される中,介護予防の機能を強化するために,理学療法士等リハビリテーション専門職の関与が促進されている。従来,一次予防,二次予防は主に自治体の介護予防事業として取り組まれてきたが,新たな総合事業の発展のためには,自助・互助の促進,多様な資源が必要である。当社では平成28年5月より,地域住民を対象とした体操教室を開催し,地域の介護予防促進に取り組んでいる。今回,総合事業におけるアセスメントとして活用される基本チェックリストおよび運動機能の変化から,体操教室での運動介入効果について検討したので報告する。
【方法】
体操教室に参加した地域住民24名のうち,初回と終了時の運動機能および基本チェックリストの調査が実施できた20名(男性2名,女性18名,平均年齢73.5±9.1歳)を分析対象とした。体操教室はデイサービスの空き時間を活用して開催し,理学療法士が作成した運動プログラム1回40分を,週1回,全8回実施した。運動内容は,椅座位での筋力トレーニング,エロンゲーショントレーニング,サスペンショントレーニングとした。運動実施に際しては,DVDの映像を模倣させ,理学療法士が運動指導やリスク管理を行なった。調査項目は,握力,5m最大歩行時間,片足立ちバランス(OFS),Timed Up & Go Test(TUG),Functional reach test(FRT),2ステップ値,立ち上がりテスト,基本チェックリスト,終了時のアンケート調査(運動の効果,運動の継続)とした。各項目における初回と終了時の変化について,対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位検定を用いた。
【結果】
初回と終了時の運動機能の変化について,握力,立ち上がりテスト以外の項目で有意な向上を認めた(p<0.05)。また,基本チェックリストの総得点およびうつ傾向の項目において有意な改善を認めた(p<0.05)。終了時のアンケート結果は,体力がついた(9名),今後も運動を継続したい(19名),であった。
【結論】
介護予防において,運動介入の効果は数々の報告で明らかになっており,今回の体操教室においても,参加者の歩行やバランスなどの運動機能の向上が認められ,体操教室の効果が示された。また,基本チェックリストの改善がみられたことで,要支援・要介護への移行を防ぎ,介護予防の推進に寄与できることが示唆された。介護予防の考え方として,個々の気づきや主体的かつ継続的な取り組みが重要である。今回の体操教室では,運動機能評価や基本チェックリストによる気づきを促し,スタッフや参加者同士の交流を深めながら楽しんで参加できたこと,運動効果が感じられたことで,運動継続の意識が高まったと思われるが,今後は地域住民が,主体的かつ長期的に運動習慣を維持するための支援へ発展させていくことが課題である。
地域包括ケアシステム構築に向けて,介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)が展開される中,介護予防の機能を強化するために,理学療法士等リハビリテーション専門職の関与が促進されている。従来,一次予防,二次予防は主に自治体の介護予防事業として取り組まれてきたが,新たな総合事業の発展のためには,自助・互助の促進,多様な資源が必要である。当社では平成28年5月より,地域住民を対象とした体操教室を開催し,地域の介護予防促進に取り組んでいる。今回,総合事業におけるアセスメントとして活用される基本チェックリストおよび運動機能の変化から,体操教室での運動介入効果について検討したので報告する。
【方法】
体操教室に参加した地域住民24名のうち,初回と終了時の運動機能および基本チェックリストの調査が実施できた20名(男性2名,女性18名,平均年齢73.5±9.1歳)を分析対象とした。体操教室はデイサービスの空き時間を活用して開催し,理学療法士が作成した運動プログラム1回40分を,週1回,全8回実施した。運動内容は,椅座位での筋力トレーニング,エロンゲーショントレーニング,サスペンショントレーニングとした。運動実施に際しては,DVDの映像を模倣させ,理学療法士が運動指導やリスク管理を行なった。調査項目は,握力,5m最大歩行時間,片足立ちバランス(OFS),Timed Up & Go Test(TUG),Functional reach test(FRT),2ステップ値,立ち上がりテスト,基本チェックリスト,終了時のアンケート調査(運動の効果,運動の継続)とした。各項目における初回と終了時の変化について,対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位検定を用いた。
【結果】
初回と終了時の運動機能の変化について,握力,立ち上がりテスト以外の項目で有意な向上を認めた(p<0.05)。また,基本チェックリストの総得点およびうつ傾向の項目において有意な改善を認めた(p<0.05)。終了時のアンケート結果は,体力がついた(9名),今後も運動を継続したい(19名),であった。
【結論】
介護予防において,運動介入の効果は数々の報告で明らかになっており,今回の体操教室においても,参加者の歩行やバランスなどの運動機能の向上が認められ,体操教室の効果が示された。また,基本チェックリストの改善がみられたことで,要支援・要介護への移行を防ぎ,介護予防の推進に寄与できることが示唆された。介護予防の考え方として,個々の気づきや主体的かつ継続的な取り組みが重要である。今回の体操教室では,運動機能評価や基本チェックリストによる気づきを促し,スタッフや参加者同士の交流を深めながら楽しんで参加できたこと,運動効果が感じられたことで,運動継続の意識が高まったと思われるが,今後は地域住民が,主体的かつ長期的に運動習慣を維持するための支援へ発展させていくことが課題である。