[P-TK-15-1] 在宅脳卒中者の活動性向上を支援する行動変容型介入プログラムの試行
通所リハビリテーション利用者を対象として
Keywords:脳卒中, 活動・参加, 行動変容
【はじめに,目的】
リハビリテーション(以下,リハ)の目標は,生活の質(以下,QOL)の向上である(上田,2013)。しかしながら,現在のリハにおいては,身体機能や日常生活動作能力の向上に偏った介入が展開されている(厚生労働省,2013)。いかにして,社会生活における「活動および参加(以下,活動性)」を向上させていくかは,わが国のリハの課題である(厚生労働省,2015)。筆者らは,自ら活動性を向上させていくこと,すなわち行動変容に着目し,脳卒中者の活動性向上を支援する行動変容型介入プログラムを開発した。本研究の目的は,通所リハ利用者を対象に,本プログラムの試行的介入をおこない,活動性およびQOLの変化を明らかにすることである。
【方法】
〈プログラムの概要〉本プログラムは,健康行動変容を目的とした介入に用いられている「意図」,「計画」,および「行動」の関係に焦点を当てている。冊子を用いた個別介入にて,活動実施意図の向上,および活動に対する具体的な計画の立案を促し,活動性の向上を目指す。さらに活動性の向上がQOLに肯定的な影響を与えることを狙っている。
〈対象者〉通所リハ利用者のうち,脳卒中の既往があり,質問紙への回答が可能,かつ,口頭でのコミュニケーションが可能な者とした。
〈手続き〉介入前(T1)の質問紙調査後,対面にて20分程度介入をおこなった。介入後の調査は,介入直後(T2),介入1ヵ月後(T3),および介入3ヵ月後(T4)に質問紙調査をおこなった。
〈調査項目〉調査項目は,属性,活動実施意図,計画,活動性,およびQOLであった。
〈分析〉各時期の得点について,一元配置分散分析およびBonferroniの多重比較検定を用いて比較した。効果量の大きさを明らかにするため,Cohen's fを算出した。解析には,PASW Statistics22.0およびR version3.2.5を使用した。
【結果】
分析対象者は24名(男性11名,平均年齢73.7±9.9歳,発症からの期間7.3±7.1年)であった。活動実施意図はT1から天井効果が確認され,介入前後の変化は確認できなかった(f=.27,p>.05)。計画は,T1からT2にかけて向上し,T4まで維持した(f=.65,p<.01)。活動性は,T1からT4にかけて時間の経過とともに向上した(f=.61,p<.01)。QOLは,T1とT4の得点の間に有意な差が確認された(f=.43,p<.01)。
【結論】
本介入プログラムの試行後,通所リハを利用している脳卒中者の活動性およびQOLの向上が確認された。本研究では,統制群を設けていないため,介入の効果については言及できない。しかしながら,発症から1年以上経過した脳卒中者の活動性は変化しにくい(Aziz, et al., 2008;Jansen, 2011)中で,発症から平均7年が経過した対象者の活動性において向上が得られたことは肯定的な結果と解釈できる。本研究の結果は,いかにして社会生活における活動性を向上させていくかというリハビリテーションの課題解決において有益な知見である。
リハビリテーション(以下,リハ)の目標は,生活の質(以下,QOL)の向上である(上田,2013)。しかしながら,現在のリハにおいては,身体機能や日常生活動作能力の向上に偏った介入が展開されている(厚生労働省,2013)。いかにして,社会生活における「活動および参加(以下,活動性)」を向上させていくかは,わが国のリハの課題である(厚生労働省,2015)。筆者らは,自ら活動性を向上させていくこと,すなわち行動変容に着目し,脳卒中者の活動性向上を支援する行動変容型介入プログラムを開発した。本研究の目的は,通所リハ利用者を対象に,本プログラムの試行的介入をおこない,活動性およびQOLの変化を明らかにすることである。
【方法】
〈プログラムの概要〉本プログラムは,健康行動変容を目的とした介入に用いられている「意図」,「計画」,および「行動」の関係に焦点を当てている。冊子を用いた個別介入にて,活動実施意図の向上,および活動に対する具体的な計画の立案を促し,活動性の向上を目指す。さらに活動性の向上がQOLに肯定的な影響を与えることを狙っている。
〈対象者〉通所リハ利用者のうち,脳卒中の既往があり,質問紙への回答が可能,かつ,口頭でのコミュニケーションが可能な者とした。
〈手続き〉介入前(T1)の質問紙調査後,対面にて20分程度介入をおこなった。介入後の調査は,介入直後(T2),介入1ヵ月後(T3),および介入3ヵ月後(T4)に質問紙調査をおこなった。
〈調査項目〉調査項目は,属性,活動実施意図,計画,活動性,およびQOLであった。
〈分析〉各時期の得点について,一元配置分散分析およびBonferroniの多重比較検定を用いて比較した。効果量の大きさを明らかにするため,Cohen's fを算出した。解析には,PASW Statistics22.0およびR version3.2.5を使用した。
【結果】
分析対象者は24名(男性11名,平均年齢73.7±9.9歳,発症からの期間7.3±7.1年)であった。活動実施意図はT1から天井効果が確認され,介入前後の変化は確認できなかった(f=.27,p>.05)。計画は,T1からT2にかけて向上し,T4まで維持した(f=.65,p<.01)。活動性は,T1からT4にかけて時間の経過とともに向上した(f=.61,p<.01)。QOLは,T1とT4の得点の間に有意な差が確認された(f=.43,p<.01)。
【結論】
本介入プログラムの試行後,通所リハを利用している脳卒中者の活動性およびQOLの向上が確認された。本研究では,統制群を設けていないため,介入の効果については言及できない。しかしながら,発症から1年以上経過した脳卒中者の活動性は変化しにくい(Aziz, et al., 2008;Jansen, 2011)中で,発症から平均7年が経過した対象者の活動性において向上が得られたことは肯定的な結果と解釈できる。本研究の結果は,いかにして社会生活における活動性を向上させていくかというリハビリテーションの課題解決において有益な知見である。