The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-19] ポスター(地域)P19

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-19-1] 急性期外傷センター病棟における病棟専任療法士配置が大腿骨近位部骨折患者に与える影響

菅原 亮太, 小野寺 智亮, 荒木 浩二郎, 谷口 達也, 千田 佑太 (医療法人徳洲会札幌徳洲会病院整形外科外傷センター)

Keywords:急性期, 病棟専任, 大腿骨近位部骨折

【はじめに,目的】

2014年度診療報酬改定により,急性期病棟におけるリハビリテーション(以下,リハ)専門職の配置に対しADL維持向上等体制加算(以下,加算)が新設され,入院早期からの予防リハが促進されている。当院外傷センターは四肢外傷患者の専門治療施設であり大腿骨近位部骨折患者が多い。外傷患者は入院翌日には手術を施行し手術翌日には疾患別リハが始まる。当院では2016年度より病棟専任療法士を配置し,加算は算定せず術後の早期離床,ADL獲得等を目的とした疾患別リハ業務を実施している。今回,大腿骨近位部骨折患者における療法士配置の効果について配置前後で比較検討し,スタッフの意識調査も行なったので報告する。


【方法】

当院外傷病棟(40床)に理学療法士1名を専従配置し,患者担当療法士による機能回復とは別に専従療法士による病棟でのADL練習を実施した。他にも病棟カンファレンスへの参加,看護師との情報共有を行ない多職種協働に努めた。比較検討は大腿骨近位部骨折患者を対象とし,療法士配置後の2016年5月1日より8月31日までに入院した79例を介入群,配置前の2015年5月1日より8月31日までに入院した68例を対照群とした。調査項目は在院日数,歩行器歩行獲得日数とし,外傷データベースより後方視的に調査した。歩行器歩行獲得日数は連続20mの歩行器歩行が自立レベルとなるまでの術後経過日数とし,理学療法士2名で自立の判定をした。統計学的検討は,2群間の比較には2標本t検定を用い,有意水準は5%とした。また,差の大きさを表す効果量(Cohen's d)を算出した。療法士配置後の意識調査として外傷病棟所属看護師20名にアンケート調査も行なった。


【結果】

介入群のうち専従療法士によるリハを実施した患者の割合は60.8%であった。在院日数は介入群25.3±12.6日,対照群32.3±26.9日であり(p=0.04),効果量d=0.33であった。歩行器歩行獲得日数は介入群9.8±5.2日,対照群13.1±8.4日であり(p=0.065),効果量d=0.47であった。看護師へのアンケート調査では,療法士の病棟配置について「良いと思う」が100%で,今後の病棟配置については「継続したほうが良い」が100%であった。困ったときすぐに相談できる,カンファレンスで情報共有できる点が良い,等の意見が多く得られた。


【結論】

専従療法士配置後,大腿骨近位部骨折患者の在院日数は有意に短縮した。また,歩行器歩行獲得日数も短縮傾向を示し効果量において中等度の効果を認めた。これは専従療法士配置によりリハ実施時間が増加したこと,病棟での実践的な歩行練習を行なえたことで,早期の歩行能力向上に繋がった可能性がある。それに加えカンファレンスで患者のADL能力等についての情報提供を行なったことが退院までの流れを円滑化し在院日数短縮に影響したと考える。アンケート結果から療法士の病棟配置は看護師からの需要が高く,多職種協働の面でも必要性が高いと思われる。