第52回日本理学療法学術大会

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[P-TK-21] ポスター(地域)P21

2017年5月14日(日) 11:40 〜 12:40 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-21-2] 地域在住高齢者に対する段差昇段トレーニングの違いが段差昇段時間および運動機能に及ぼす効果
無作為化比較対照試験

正木 光裕1, 神谷 碧2, 荒木 浩二郎3, 磯野 凌2, 佐藤 駿介2, 本村 芳樹2, 近藤 勇太2, 中尾 彩佳2, 山縣 桃子2, 田中 真砂世2, 沖田 祐介4, 北 潔5, 池添 冬芽2, 坪山 直生2, 市橋 則明2 (1.新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所, 2.京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻, 3.札幌徳洲会病院リハビリテーション科, 4.国立障害者リハビリテーションセンター研究所義肢装具技術研究部, 5.北整形外科)

キーワード:高齢者, 段差昇段トレーニング, 段差昇段時間

【はじめに,目的】

中高齢者において,段差型荷重測定機器で評価した段差昇段動作中の下段荷重量は段差昇段時間やADLと関連することが報告されている。しかし,段差昇段動作における上段側または下段側トレーニングのどちらが,段差昇段動作中の下段荷重量や段差昇段時間,その他の運動機能の向上に効果的であるかは明らかでない。

したがって,本研究の目的は,地域在住高齢者に対する段差昇段トレーニングの違いが段差昇段時間といった動作能力に及ぼす効果を,段差昇段動作中の荷重量,下肢機能,バランス能力への効果と合わせて検討することとした。

【方法】

対象は地域在住高齢者38名(年齢76.2±4.7歳)とした。年齢,性別による層化ランダムブロック割り付けにより,対象者を上段側トレーニング群(UT群)19名と下段側トレーニング群(LT群)19名に群分けした。両群とも理学療法士が実施する60分間の運動教室に週2回,3ヵ月間継続して参加した。UT群には30cm段差を上段側下肢で強く踏みこむように意識して昇段する上段側段差昇段トレーニングの他,下肢筋力トレーニング(膝関節伸展運動,ブリッジ運動),バランストレーニングを実施した。LT群には30cm段差を下段側下肢で強く蹴るように意識して昇段する下段側段差昇段トレーニングの他,下肢筋力トレーニング(カーフレイズ,ブリッジ運動),バランストレーニングを実施した。

介入前後に,動作能力として通常・最大段差昇段時間,通常・最大歩行速度,TUG,5回立ち座り時間を測定した。段差昇段動作中の荷重量として,段差型荷重測定機器(協立電子工業社製)を用い,手すりを使用しないで30cm段差を1段素早く昇段した時の上段・下段の最大荷重量を測定した。また,下肢機能の評価において,筋力として股関節伸展・外転筋力,膝関節伸展筋力,筋パワーとして垂直跳び,敏捷性として立位ステッピング回数を測定した。バランス能力として開眼片脚立位時間を測定した。上段・下段の荷重量,下肢筋力,バランス能力は左右測定し,平均値を算出した。

統計解析では,群と期間を要因とした分割プロットデザイン二元配置分散分析を行った。

【結果】

介入途中でUT群は3名,LT群は4名が離脱した。

二元配置分散分析の結果,有意な交互作用は段差昇段時間にみられなかったが,段差昇段動作中の上段荷重量,股関節伸展筋力にみられ,事後検定の結果,LT群のみ上段荷重量が有意に減少し,股関節伸展筋力が有意に増加した。また,事後検定の結果,UT群,LT群ともに,通常・最大段差昇段時間,TUG,5回立ち座り時間,下段荷重量,立位ステッピング回数が有意に向上した。さらに,介入後にUT群では垂直跳びが有意に向上した。

【結論】

段差昇段トレーニングの違いによる効果の差は,段差昇段動作中の上段荷重量,股関節伸展筋力のみにしかみられなかったが,地域在住高齢者に対するトレーニングは,段差昇段時間といった移動能力,段差昇段動作中の下段荷重量および下肢機能を向上させることが示唆された。