The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-21] ポスター(地域)P21

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-21-3] 地域在住高齢者の座位姿勢と立ち上がり動作時の脊柱アライメントの性差

伊藤 晃洋1, 安部 泰広1, 飯島 進乃1, 大藤 範之1, 塩見 誠2, 上田 清史1 (1.国際医療福祉大学病院診療技術部リハビリテーション室, 2.西那須野マロニエ訪問看護ステーション)

Keywords:高齢者, 立ち上がり, 脊柱アライメント

【はじめに,目的】

立ち上がりは殿部から足部のみの狭い支持基底面へ重心移動させ,重心を立位まで上昇させるという動作であり,重心の移動には体幹の動きが重要である。体幹部の動きは全体の前傾角度を調査したものが多く脊柱を胸椎・腰椎・仙骨に分けたものは少ない。また,加齢の影響は男女で異なることから高齢者での性差についても調査する必要があると考える。そこで本研究では地域在住高齢者における椅子座位と立ち上がりの離殿直前での脊柱アライメントを男女別に調査し,比較することとした。

【方法】

対象は当院主催の健康事業に参加した59名の内,神経疾患を有するもの,計測項目に欠損がある者,立ち上がりが不可の者,60歳未満の者を除いた47名で男性15名(年齢:70.4±5.0歳 身長:160±4.4cm 体重:61.3±8.4kg),女性32名(年齢70.4±5.7歳 身長151.4±6.0cm 体重:52.3±9.9kg)とした。測定肢位は椅子座位における直立位・脱力位,立ち上がりの離殿直前の3条件とした。脊柱アライメントの計測にはスパイナルマウス(Idiag AG. Switzerland)を使用し,各条件で胸椎後彎角(後彎+ 前彎-)・腰椎前彎角(後彎+ 前彎-)・仙骨傾斜角(前傾+ 後傾-)・全体の傾斜角(前傾+ 後傾-)を測定した。また,筋力・体脂肪率の性差を調査するために徒手筋力計mobie(酒井医療)を用いて膝伸展筋力,体組成計(In Body社)を用いて体脂肪率を測定した。統計処理は各指標において男女間で差があるかを検討することを目的としてt検定を行った。有意水準は5%とした。

【結果】

各条件における角度で男女間では直立位:腰椎前彎角男性-5.2±6.1°女性―10.1±9.8°・仙骨傾斜角男性-5.5±6.0°女性-0.4±7.2°,脱力位:仙骨傾斜角男性-13.1±7.2°女性-7.5±7.4°,離殿直前:腰椎前彎角男性9.5±10.8°女性1.2±15.5°・仙骨傾斜角男性19.1±9.1°女性28.3±15.5°に有意差が得られた。また,膝伸展筋力:男性37.1±13.9N 女性24.4±5.4N,体脂肪率:男性23.6±5.4% 女性30.0±8.2%ともに男女間で有意差が得られた。

【結論】

本研究の結果より,直立位,脱力位,離殿直前のすべてで仙骨傾斜角は女性が男性より前傾し,正中位と離殿直前で腰椎前彎角は女性が男性より大きかった。また,全体の傾斜角には差がなく,各肢位間の変化量は変わりなかった。このことから,筋力・体脂肪率の差はあるものの座位~離殿直前までの動作で男女差はない。しかし,脊柱アライメントは異なる点に注意する必要があることが示唆された。