第52回日本理学療法学術大会

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-02] ポスター(予防)P02

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-02-4] 地域在住高齢者の骨密度・体力・QOLおよび食事内容の検討

藤縄 理1, 菊本 東陽1, 須永 康代1, 村田 健児1, 善生 まり子2, 内山 真理3, 萱場 一則3, 廣瀬 圭子4, 遠藤 直人5 (1.埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科, 2.埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科, 3.埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科, 4.東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科, 5.新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻機能再建医学講座整形外科分野)

キーワード:健康増進, 地域保健, 高齢者保健

【はじめに,目的】我々は平成20年から地域住民が主体となって運営する骨粗鬆症と転倒の予防教室を支援し,骨密度と体力およびQOLを調査測定してきた。教室参加者の体力とQOLは長期にわたり高い水準を維持していたが,骨密度は年齢とともに低下傾向があった。骨粗鬆症予防には運動と食事が重要とされている。本研究の目的は,地域在住高齢者の骨密度,体力,QOL測定に加えて食事内容を調査分析して,教室支援の一助とすることである。

【方法】対象は平成27年9月に骨密度,体力,QOL,食事の調査測定に参加した197名とした。骨密度と体力,QOLは欠損値の無かった男性25名,女性166名,計192名を分析対象とした。骨密度は超音波法で踵骨の音響的評価値(OSI)を測定し,若年成人平均値(YAM%)および同年齢平均値(同年齢%)を求めた。体力は握力,開眼片脚起立時間,6分間歩行,10m障害物歩行,長座位体前屈,起き上がり回数を文部科学省の新体力テスト(65歳~79歳対象)により,Time up and go test(TUG)は一般化している方法で測定した。QOL調査は日本骨代謝学会骨粗鬆症患者QOL評価表を用いた。食事はBDHQ(簡易型自記式食事歴質問票)による1ヶ月以内の食事調査を実施し,エネルギーの申告誤差±50%以上を除外した男性23名,女性151名,計174名を分析した。エネルギー,栄養素の過不足は,日本人の食事摂取基準(2015年版)を用いて判定した。

【結果】骨密度は男女ともYAM%が80%かそれ以上,同年齢%で100%以上であった。体力テストの項目は男女とも6~9点(10点満点),TUGは普通(3/5),QOLは80点以上(100点満点)であった。食事調査の結果,エネルギー産生栄養素の摂取状況では,たんぱく質は十分に摂取できていたが,炭水化物は摂取割合が低く,総脂質,飽和脂肪酸は高かった。カルシウムに関しては,平均値は骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)の摂取量範囲にあったが,推定平均必要量を満たしていないものがいた。また,ビタミンD,Kの摂取量は問題ない水準であった。食塩摂取量は,目標量を超えて摂取している割合が男性95.7%,女性98.0%であった。

【結論】地域在住高齢者の骨密度,体力,QOL,食事内容を調査測定した。骨密度はYAM%では80%以上,同年齢%は100%以上であった。体力とQOLは良い状態を維持しており,調査測定に参加した住民は運動を習慣化していたと推察できた。栄養摂取状態は,たんぱく質は十分だったが,炭水化物は低く脂質が高かった。カルシウムは,推定平均必要量を満していないものがいた。ビタミンD,Kは問題なかったが,食塩摂取量は目標量より高い住民が多かった。高齢者への骨粗鬆症予防の支援には,運動指導だけでなく,栄養素や食塩摂取量に対するきめ細やかな食事指導の必要性が示唆された。