第52回日本理学療法学術大会

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-02] ポスター(予防)P02

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-02-5] 中年期から運動習慣を有する地域在住高齢者は高齢期の身体機能低下に影響する

柳下 貴士1, 植田 拓也2, 中村 諒太郎3, 畠山 浩太郎4, 前田 悠紀人5, 柴 喜崇1 (1.北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻, 2.医療法人社団涓泉会山王リハビリ・クリニック, 3.医療法人和会武蔵台病院リハビリテーション部, 4.農協共済中伊豆リハビリテーションセンター伊東の丘いずみ, 5.医療法人財団天翁会あい訪問看護ステーション)

キーワード:地域在住高齢者, 運動習慣, 運動継続

【はじめに,目的】我が国では,急速な高齢化に伴い,高齢者の身体機能及び健康寿命の延伸が重要な課題となっている。それに対し近年,地域在住高齢者における中年期の運動習慣と身体機能や認知機能の関連については多くの報告がある。しかし,中年期からの運動継続の有無と高齢期の身体機能,精神的健康度および社会的紐帯の関係を調査しているものは少ない。そこで本研究では,中年期の運動習慣の有無と,高齢期の身体機能,精神的健康および社会的紐帯の低下の関連を横断的に検討することを目的とした。

【方法】対象は神奈川県内R公園でのラジオ体操会会員から募集し,2016年の身体機能測定及び質問紙調査に参加した地域在住高齢者79名(男性:43名,女性36:名,平均年齢:76.64±8.01歳)とした。調査項目は基本属性として年齢,性別,体格指数を調査した。身体機能測定は5m快適・最大歩行速度,Timed Up and Go Test(TUG),開眼片脚立位時間,握力,立位体前屈,膝伸展筋力を実施した。精神的健康度の指標として,WHO-5精神的健康状態表,社会的紐帯の指標としてLubben social network scale短縮版(LSNS6)を調査した。中年期以降の運動習慣については独自に作成した調査表(30歳代・40歳代・50歳代の各運動歴の有無・頻度)を用いて調査した。中年期以降の運動習慣を,30歳代以降のすべてにおいて週1回以上運動していたと答えた群を運動継続群(継続群),30歳代以降の3期において少なくとも1つの年代で週1回以上運動していなかったと答えた群を非運動継続群(非継続群)と分類した。そして,身体機能・精神的健康度・LSNS6の各項目について2群間の比較に対応のないt検定を用いた。

【結果】調査に参加した者のうち,継続群は36名(45.6%),非継続群は43名(54.4%)であり,基本属性に有意差は認められなかった。対応のないt検定の結果,継続群は非継続群に比較し5m最大歩行時間(継続群:2.29±0.28秒,非継続群:2.45±4.11秒,p<0.05)とTUG(継続群:4.70±0.64秒,非継続群:5.15±1.15秒,p<0.05)の2項目で有意に成績がよかった。その他の項目には2群間で有意な差は確認されなかった。

【結論】本研究では地域在住高齢者を対象に,中年期からの運動継続の有無と身体機能,精神的健康・社会的紐帯の関係を横断的に検討した。結果として,中年期からの運動継続群は非継続群に比して5m最大歩行速度・TUGにおい成績良好であった。このことから中年期からの継続的な運動習慣を有している高齢者においては,高齢期の身体機能が高く維持されることが示唆された。