[P-YB-03-2] シルバーリハビリ体操指導士養成研修が受講生に与える影響
Keywords:シルバーリハビリ体操指導士, 介護予防, 自助
【はじめに,目的】
広島県尾道市の高齢化率は33.1%であり,広島県平均26.6%と比較しても高い状況にある。そのため,尾道市では平成25年度から住民参加型の介護予防事業である,シルバーリハビリ体操普及事業を実施している。シルバーリハビリ体操普及事業とは,平成16年度から茨城県で始まった事業で,まず介護予防体操を普及させるためのシルバーリハビリ体操指導士(以下,指導士)を地域在住高齢者の中から養成し,その後,体操指導を通じて地域在住高齢者の自助および互助を促し介護予防を図る取組みである。
本研究では,尾道市で実施している指導士養成研修受講生に対して運動・身体活動,健康心理学的特性および認知機能に関して調査を行い,養成研修が受講生に与える影響について検討を行った。
【方法】
対象は,尾道市が開催した「シルバーリハビリ体操2級指導士養成研修」の受講生17名(男性2名,女性15名,平均年齢66.8±4.9歳)とし,養成研修受講前と4週間の研修受講後に調査を行った。
運動・身体活動評価として,開眼片脚立位保持時間,握力,身体活動計(スズケン社製ライフコーダGS/ME)を用いた活動量を測定した。健康心理学的評価として,気分・不安障害の簡易スクリーニング調査票K6日本語版,高齢者の生きがい感評価K-I式,気分プロフィール評価POMS2短縮版,認知機能評価としてTouch Panel-type Dementia Assessment Scale(以下,TDAS)を実施した。
統計解析として正規性を認めた場合は対応のあるt検定,正規性を認めない場合はウィルコクソンの符号順位和検定を行い,有意水準は5%とした。
【結果】
運動・身体活動評価において,受講前の開眼片脚立位保持時間の中央値は50.6秒,受講後は60.0秒であり,受講前に比べ受講後に有意に増加した(P=0.0409)。握力,身体活動量(運動量,総消費量,歩数,活動時間)については受講前後で有意差は認めなかった。健康心理学的評価において,受講前のPOMS2短縮版の「怒り~敵意」の中央値は44.0点,受講後は40.0点となり,有意に減少した(P=0.0042)。K6日本語版,K-I式,POMS2短縮版のその他の項目では受講前後で有意差は認めなかった。認知機能評価のTDASについても受講前後で有意差は認めなかった。
【結論】
本研究では指導士養成研修が受講生に与える影響,つまり自助効果について検討を行った。その結果,受講前後で開眼片脚立位保持時間とPOMS2短縮版の「怒り~敵意」について改善を認めた。指導士養成研修は1回5時間,週2回の実技を交えた研修会を計8回,4週間かけて実施している。今回は研修時間以外の過ごし方の調査は行っていないが,本研修終了後には指導する立場になることを受講生自身も自覚していることから,研修時間以外に体操の実践や練習を行っている可能性も考えられた。今後は,研修時間以外の行動変容に関する調査や,研修終了後の中長期的な変化についても検討を行っていきたい。
広島県尾道市の高齢化率は33.1%であり,広島県平均26.6%と比較しても高い状況にある。そのため,尾道市では平成25年度から住民参加型の介護予防事業である,シルバーリハビリ体操普及事業を実施している。シルバーリハビリ体操普及事業とは,平成16年度から茨城県で始まった事業で,まず介護予防体操を普及させるためのシルバーリハビリ体操指導士(以下,指導士)を地域在住高齢者の中から養成し,その後,体操指導を通じて地域在住高齢者の自助および互助を促し介護予防を図る取組みである。
本研究では,尾道市で実施している指導士養成研修受講生に対して運動・身体活動,健康心理学的特性および認知機能に関して調査を行い,養成研修が受講生に与える影響について検討を行った。
【方法】
対象は,尾道市が開催した「シルバーリハビリ体操2級指導士養成研修」の受講生17名(男性2名,女性15名,平均年齢66.8±4.9歳)とし,養成研修受講前と4週間の研修受講後に調査を行った。
運動・身体活動評価として,開眼片脚立位保持時間,握力,身体活動計(スズケン社製ライフコーダGS/ME)を用いた活動量を測定した。健康心理学的評価として,気分・不安障害の簡易スクリーニング調査票K6日本語版,高齢者の生きがい感評価K-I式,気分プロフィール評価POMS2短縮版,認知機能評価としてTouch Panel-type Dementia Assessment Scale(以下,TDAS)を実施した。
統計解析として正規性を認めた場合は対応のあるt検定,正規性を認めない場合はウィルコクソンの符号順位和検定を行い,有意水準は5%とした。
【結果】
運動・身体活動評価において,受講前の開眼片脚立位保持時間の中央値は50.6秒,受講後は60.0秒であり,受講前に比べ受講後に有意に増加した(P=0.0409)。握力,身体活動量(運動量,総消費量,歩数,活動時間)については受講前後で有意差は認めなかった。健康心理学的評価において,受講前のPOMS2短縮版の「怒り~敵意」の中央値は44.0点,受講後は40.0点となり,有意に減少した(P=0.0042)。K6日本語版,K-I式,POMS2短縮版のその他の項目では受講前後で有意差は認めなかった。認知機能評価のTDASについても受講前後で有意差は認めなかった。
【結論】
本研究では指導士養成研修が受講生に与える影響,つまり自助効果について検討を行った。その結果,受講前後で開眼片脚立位保持時間とPOMS2短縮版の「怒り~敵意」について改善を認めた。指導士養成研修は1回5時間,週2回の実技を交えた研修会を計8回,4週間かけて実施している。今回は研修時間以外の過ごし方の調査は行っていないが,本研修終了後には指導する立場になることを受講生自身も自覚していることから,研修時間以外に体操の実践や練習を行っている可能性も考えられた。今後は,研修時間以外の行動変容に関する調査や,研修終了後の中長期的な変化についても検討を行っていきたい。