[P-YB-04-1] 介護予防教室終了後の1年間の追跡調査
キーワード:介護予防教室, 追跡調査, 介護保険認定の有無
【目的】二次予防事業対象者に対して介護予防を図るため,介護予防教室に関する研究は数多く紹介されている。筆者も3ヶ月間の教室を行い,運動器機能の向上を示した。しかし,短期的な教室において運動器機能の向上は認めるが,教室終了後の実態は不明のままで,実際に介護予防が図れているかは明らかとなっていない。短期的な調査だけでなく,教室終了後の長期的な経過を調査し,介護予防の実態を把握する必要があると考えた。今回は教室終了後に介護保険に認定したかを調査することを目的としてアンケートを実施した。【方法】対象は教室を終了し,1年経過している109名(男性32名,女性77名)とした。教室は1回90分間の運動器機能向上プログラムを週に1回の頻度で3ヶ月間実施した。栄養状態評価はMNA-SF,心理機能評価はGDS,生活空間評価はLSA,身体機能評価は体幹筋力,膝伸展筋力,10m歩行時間,TUGT,片脚立位時間を測定した。アンケート調査の項目は現在の介護保険認定の有無,教室終了後における運動習慣の有無および転倒発生の有無とした。【結果】109名へのアンケートの結果,76名より回答を得た(有効回答率69.7%)。現在の介護保険認定群は13名(17.1%:男性3名,女性10名),非認定群は63名(82.9%:男性9名,女性54名)であった。教室終了後に運動を継続していたのは認定群8名(61.5%:男性2名,女性6名),非認定群48名(76.2%:男性5名,女性43名)であり,転倒が発生したのは認定群4名(30.8%:男性0名,女性4名),非認定群12名(19.0%:男性2名,女性10名)であった。運動を継続していたが転倒が発生したのは認定群4名(50.0%:男性0名,女性4名),非認定群12名(25.0%:男性2名,女性10名)であった。教室終了後のMNA-SF,GDS,LSA,体幹筋力,膝伸展筋力,10m歩行時間,TUGT,片脚立位時間に有意差を認めた(p<0.05)。【結論】今回の教室は3ヶ月間と決められている。教室の目的は,QOLの改善,生活機能の向上により,要支援,要介護認定に移行する期間を引き延ばし,要介護にならないような高齢者を増やしていくことである。地域高齢者におけるADL障害の発生を追跡調査した研究では,年齢,下肢機能,身体活動,慢性疾患などが予測因子としてあげられている。本研究はADL障害の発生ではなく介護保険認定の有無で調査したが,教室終了後にMNA-SF,GDS,LSA,体幹筋力,膝伸展筋力,10m歩行時間,TUGT,片脚立位時間に有意差を認めた。小池らは教室の印象が以降の運動習慣に関係するとし,レクリエーションプログラムは重要な役割を担うと報告している。教室はアンケート結果からも,満足度は高く,今後も運動を継続していきたいという内容で,高齢者の健康増進に寄与できるものであると考えている。