[P-YB-05-5] 高齢化率が高い地域の通所型二次予防事業対象者の歩行持久性に影響を及ぼす因子の検討
Keywords:高齢化率, 二次予防, 歩行持久性
【はじめに,目的】現在,我が国の高齢化率は26.7%で,4人に1人が65歳以上の高齢者となっている。ある都道府県においては既に高齢化率が30%を超え,高齢者に対する様々な施策が緊急の課題となっている。我々も介護予防事業等に関わることが増えてきているが,その事業で全身持久力に関する評価を行うことは比較的少ない。最大酸素摂取量の測定は,高齢者では安全性の問題や高価な特定の機器などが必要とされる他,6分間歩行距離では時間や場所が必要とされるからである。そのため,二次予防事業を対象とした先行研究では,歩行持久性(以下,持久力)に関わる因子の検討をした研究は少なく,また地域特性を考慮した上での因子の検討についても少ない。そこで我々は高齢化率が高い地域の通所型二次予防事業対象者(以下,二次予防対象者)の持久力に影響を及ぼす因子の検討を行い,若干の知見が得られたのでここに報告する。
【対象及び方法】対象は高齢化率が30%を超えているA県B広域連合の平成28年度二次予防対象者である48名(男性6名,女性42名,平均年齢79.6±5.5歳,BMI23.7±2.7kg/m2)とし,測定に支障となる疾病又は障がいを有する場合は対象から除外した。方法は持久力の指標として3分間歩行距離(以下,3MD)を,身体機能の指標として握力,Timed up and go test(以下,TUG),2ステップテスト(以下,2ステップ値),足趾把持力体重比(以下,足趾把持力),30秒間椅子立ち上がりテスト(以下,CS-30),片脚立位時間,長座位体前屈,5m最速歩行時間(以下,5mMWS)を測定した。さらに過去1年間の転倒経験の有無や運動習慣の有無を聴取した。なお,2ステップ値は最大値を身長で除した値を採用した。その後,持久力に影響を及ぼす因子の検討を行うため,3MDを従属変数とし,身体機能指標8項目と転倒経験,運動習慣ならびに交絡因子(年齢,性別,BMI)を説明変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った。全ての有意水準は5%とした。
【結果】3MDの平均値は190.1±37.0m,握力は22.9±5.5kg,TUGは6.9±1.5秒,2ステップ値は1.1±0.2,足趾把持力は18.8±6.4%,CS-30は14.5±4.7回,片脚立位時間は25.9±21.3秒,5mMWSは3.2±0.7秒であった。3MDを説明する因子は5mMWS,2ステップ値,CS-30,転倒経験が抽出され,R2=0.788(p<0.01)であった。また,標準化偏回帰係数はそれぞれ5mMWSはβ=-0.443(p<0.01),2ステップ値はβ=0.307(p<0.01),CS-30はβ=0.236(p<0.01),転倒経験がβ=-0.221(p<0.01)であった。
【結論】高齢化率の高い地域の二次予防対象者の持久力には,歩行速度や下肢筋力,転倒経験が大きく影響していることが示唆された。戸坂らによると3MDは筋持久力を表す指標でもあると述べられており,本対象者においても山間部を含む地域に住む二次予防対象者であったことから,移動能力指標との関与が強く反映したのではないかと推察された。
【対象及び方法】対象は高齢化率が30%を超えているA県B広域連合の平成28年度二次予防対象者である48名(男性6名,女性42名,平均年齢79.6±5.5歳,BMI23.7±2.7kg/m2)とし,測定に支障となる疾病又は障がいを有する場合は対象から除外した。方法は持久力の指標として3分間歩行距離(以下,3MD)を,身体機能の指標として握力,Timed up and go test(以下,TUG),2ステップテスト(以下,2ステップ値),足趾把持力体重比(以下,足趾把持力),30秒間椅子立ち上がりテスト(以下,CS-30),片脚立位時間,長座位体前屈,5m最速歩行時間(以下,5mMWS)を測定した。さらに過去1年間の転倒経験の有無や運動習慣の有無を聴取した。なお,2ステップ値は最大値を身長で除した値を採用した。その後,持久力に影響を及ぼす因子の検討を行うため,3MDを従属変数とし,身体機能指標8項目と転倒経験,運動習慣ならびに交絡因子(年齢,性別,BMI)を説明変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った。全ての有意水準は5%とした。
【結果】3MDの平均値は190.1±37.0m,握力は22.9±5.5kg,TUGは6.9±1.5秒,2ステップ値は1.1±0.2,足趾把持力は18.8±6.4%,CS-30は14.5±4.7回,片脚立位時間は25.9±21.3秒,5mMWSは3.2±0.7秒であった。3MDを説明する因子は5mMWS,2ステップ値,CS-30,転倒経験が抽出され,R2=0.788(p<0.01)であった。また,標準化偏回帰係数はそれぞれ5mMWSはβ=-0.443(p<0.01),2ステップ値はβ=0.307(p<0.01),CS-30はβ=0.236(p<0.01),転倒経験がβ=-0.221(p<0.01)であった。
【結論】高齢化率の高い地域の二次予防対象者の持久力には,歩行速度や下肢筋力,転倒経験が大きく影響していることが示唆された。戸坂らによると3MDは筋持久力を表す指標でもあると述べられており,本対象者においても山間部を含む地域に住む二次予防対象者であったことから,移動能力指標との関与が強く反映したのではないかと推察された。