[P-YB-07-4] 周術期消化器がん患者の身体活動量の推移
キーワード：消化器がん, 周術期, 身体活動量
【はじめに，目的】周術期の消化器がん患者は栄養障害や悪液質による筋力低下，さらに倦怠感が加わり身体活動量に影響している可能性がある。手術前後のがん患者の身体機能，栄養状態について検討した報告は見られるものの，身体活動量を合わせた報告は少ない。そこで本研究においては，当院で手術を行った消化器がん患者の身体活動量を入院前と退院後で比較し，栄養状態および運動機能，倦怠感との関連性について明らかにすることを目的とした。
【方法】2015年12月から2016年9月までに当院で手術を行った消化器がん患者（術式不問）の入院前と退院後の身体活動量，栄養状態，運動機能，倦怠感を評価。身体活動量は活動量計を用い，入院前受診時から入院までと退院から初回受診時まで，各期間内の歩数を調査した。栄養状態は体成分分析装置を用いて骨格筋量，体細胞量（BCM）を測定し，血液検査から血清総蛋白（TP），血清アルブミン値（以下Alb）を抽出した。運動機能はShort Physical Performance Battery（SPPB），握力，開眼片脚立位時間を測定した。倦怠感の指標にはCancer Fatigue Scale（CFS）を用いた。栄養状態と運動機能，倦怠感の評価は，入院前の受診時と退院後初回の受診時に行った。尚，術前からの歩行困難例，ADLに介助を要する例，PS3以上の例，活動量に影響を及ぼすような併存疾患を有する例，がん未告知例は除外した。統計処理は，それぞれの結果を入院前と退院後で比較しWilcoxonの符号付順位和検定を用い，有意水準は5%未満とした。加えて歩数と他の評価指標との相関関係について検討した。
【結果】基準を満たした20例（男性12例，女性8例，平均年齢70.85±8.66歳）が対象として抽出された。対象者の手術部位は，胃9例，胆嚢2例，小腸1例，結腸6例，直腸2例であった。入院前の歩数（mean±SD）は4209.5±2993.6歩，退院後は2507.0±2397.2歩であった（p=0.009）。入院前と退院後の比較では歩数，Alb値，握力，骨格筋量，BCM，片脚立位時間において，退院後に有意な低下を認めた。また，退院後の歩数と片脚立位時間に正の相関を認めた（r=0.49）。
【結論】消化器がん患者は術前から身体活動量の低下があり，術後に速やかな回復が期待できるものと予測していた。しかし今回の結果からは，退院後の方に身体活動量の低下があり，退院後早期には入院前の状態まで回復していないことが明らかとなった。入院前と退院後の比較において栄養状態，運動機能に退院後有意な低下を認めたことから，これらと身体活動量との関連性について検討した。その結果，退院後の歩数と片脚立位時間に相関を認め，歩数とバランス能力の関連性が示唆された。消化器がん患者の周術期理学療法は，退院後早期に身体活動量や運動機能が回復しにくいことを考慮した介入が必要と考える。
【方法】2015年12月から2016年9月までに当院で手術を行った消化器がん患者（術式不問）の入院前と退院後の身体活動量，栄養状態，運動機能，倦怠感を評価。身体活動量は活動量計を用い，入院前受診時から入院までと退院から初回受診時まで，各期間内の歩数を調査した。栄養状態は体成分分析装置を用いて骨格筋量，体細胞量（BCM）を測定し，血液検査から血清総蛋白（TP），血清アルブミン値（以下Alb）を抽出した。運動機能はShort Physical Performance Battery（SPPB），握力，開眼片脚立位時間を測定した。倦怠感の指標にはCancer Fatigue Scale（CFS）を用いた。栄養状態と運動機能，倦怠感の評価は，入院前の受診時と退院後初回の受診時に行った。尚，術前からの歩行困難例，ADLに介助を要する例，PS3以上の例，活動量に影響を及ぼすような併存疾患を有する例，がん未告知例は除外した。統計処理は，それぞれの結果を入院前と退院後で比較しWilcoxonの符号付順位和検定を用い，有意水準は5%未満とした。加えて歩数と他の評価指標との相関関係について検討した。
【結果】基準を満たした20例（男性12例，女性8例，平均年齢70.85±8.66歳）が対象として抽出された。対象者の手術部位は，胃9例，胆嚢2例，小腸1例，結腸6例，直腸2例であった。入院前の歩数（mean±SD）は4209.5±2993.6歩，退院後は2507.0±2397.2歩であった（p=0.009）。入院前と退院後の比較では歩数，Alb値，握力，骨格筋量，BCM，片脚立位時間において，退院後に有意な低下を認めた。また，退院後の歩数と片脚立位時間に正の相関を認めた（r=0.49）。
【結論】消化器がん患者は術前から身体活動量の低下があり，術後に速やかな回復が期待できるものと予測していた。しかし今回の結果からは，退院後の方に身体活動量の低下があり，退院後早期には入院前の状態まで回復していないことが明らかとなった。入院前と退院後の比較において栄養状態，運動機能に退院後有意な低下を認めたことから，これらと身体活動量との関連性について検討した。その結果，退院後の歩数と片脚立位時間に相関を認め，歩数とバランス能力の関連性が示唆された。消化器がん患者の周術期理学療法は，退院後早期に身体活動量や運動機能が回復しにくいことを考慮した介入が必要と考える。