[P-YB-07-5] 頭頸部がん患者に対する化学放射線治療前後での体組成および身体機能の変化
Keywords:頭頸部がん, 化学放射線治療, 身体機能
<はじめに,目的>
頭頸部がん患者に対する化学放射線治療(CRT)中は,倦怠感や骨髄抑制に伴う活動量低下及び口腔粘膜障害や嚥下障害などに伴う栄養不良によって,著明な体重減少を生じ二次性サルコぺニアの発生リスクも高まることが報告されているが,CRT前後における体組成及び上下肢筋力などの身体機能の変化については不明確である。そこで,本研究ではCRTを実施する頭頸部がん患者に対しての具体的なリハビリテーション栄養での介入方法を明らかにする目的で,CRT前後での体組成および身体機能評価を実施した。
<方法>
対象は,初回CRTを施行した頭頸部がん患者12例とした。治療前後での体組成は体成分分析装置(In body S10)を使用し,体重,体脂肪量および四肢筋量を算出した。身体機能として,等尺膝伸展筋力は徒手筋力計(アニマ社製μ-TAS)を用い,測定肢位は座位で膝関節90°屈曲位とし,右側で2回測定した。また膝伸展筋力の形態学要因となる大腿筋量を超音波診断装置(HITACHI EUB-8500)にて大腿長50%点で大腿外側部筋厚を測定した。神経学的要因の指標となる固有筋力指数は,単位筋断面積当たりの筋力値を算出した。CRT中の理学療法は下肢筋力強化(カーフレイズ,レッグエクステンションを10-15RM×1set),バランス訓練(片足立位保持を左右15秒間),自転車エルゴメーター(Brog11-13,10分間)実施した。統計解析は,SPSSver22.0にて治療前後での比較にWilcoxonの符号付順位和検定を用い有意水準は5%未満とした。
<結果>
CRT中の理学療法実施率は49.6±21.0%であった。治療前後での体組成変化は,体重が62.1±10.6から56.5±9.5kg,四肢筋量が19.8±3.6から18.5±3.7kg,体脂肪量が15.2±5.3から12.8±3.6kg,大腿外側筋厚が3.4±0.4から2.9±0.3cm,膝伸展筋力が32.8±9.0から28.9±7.3kgfとなり全て有意な低下を認めた(p<0.01)。しかし,固有筋力指数は0.9±0.2から1.2±0.4kgf/cm2となり有意な増加を認めた(p<0.01)。
<結論>
本研究結果よりCRT後に骨格筋および体脂肪量の低下が生じており,これは活動量低下による筋蛋白の異化や必要量に対する摂取エネルギー量の不足が影響したと考える。膝伸展筋力の低下は,CRT中の下肢筋力訓練により神経性要因の維持が可能であったため,筋形態学的要因である外側広筋の筋萎縮の影響が強く生じたと考える。このため,CRTを施行する頭頸部がん患者に対するリハビリテーション栄養の介入方法として,充足した栄養管理および院内での活動量向上による体組成維持と理学療法での神経性要因の向上を目的とした下肢筋力訓練が必要であることが示唆された。
頭頸部がん患者に対する化学放射線治療(CRT)中は,倦怠感や骨髄抑制に伴う活動量低下及び口腔粘膜障害や嚥下障害などに伴う栄養不良によって,著明な体重減少を生じ二次性サルコぺニアの発生リスクも高まることが報告されているが,CRT前後における体組成及び上下肢筋力などの身体機能の変化については不明確である。そこで,本研究ではCRTを実施する頭頸部がん患者に対しての具体的なリハビリテーション栄養での介入方法を明らかにする目的で,CRT前後での体組成および身体機能評価を実施した。
<方法>
対象は,初回CRTを施行した頭頸部がん患者12例とした。治療前後での体組成は体成分分析装置(In body S10)を使用し,体重,体脂肪量および四肢筋量を算出した。身体機能として,等尺膝伸展筋力は徒手筋力計(アニマ社製μ-TAS)を用い,測定肢位は座位で膝関節90°屈曲位とし,右側で2回測定した。また膝伸展筋力の形態学要因となる大腿筋量を超音波診断装置(HITACHI EUB-8500)にて大腿長50%点で大腿外側部筋厚を測定した。神経学的要因の指標となる固有筋力指数は,単位筋断面積当たりの筋力値を算出した。CRT中の理学療法は下肢筋力強化(カーフレイズ,レッグエクステンションを10-15RM×1set),バランス訓練(片足立位保持を左右15秒間),自転車エルゴメーター(Brog11-13,10分間)実施した。統計解析は,SPSSver22.0にて治療前後での比較にWilcoxonの符号付順位和検定を用い有意水準は5%未満とした。
<結果>
CRT中の理学療法実施率は49.6±21.0%であった。治療前後での体組成変化は,体重が62.1±10.6から56.5±9.5kg,四肢筋量が19.8±3.6から18.5±3.7kg,体脂肪量が15.2±5.3から12.8±3.6kg,大腿外側筋厚が3.4±0.4から2.9±0.3cm,膝伸展筋力が32.8±9.0から28.9±7.3kgfとなり全て有意な低下を認めた(p<0.01)。しかし,固有筋力指数は0.9±0.2から1.2±0.4kgf/cm2となり有意な増加を認めた(p<0.01)。
<結論>
本研究結果よりCRT後に骨格筋および体脂肪量の低下が生じており,これは活動量低下による筋蛋白の異化や必要量に対する摂取エネルギー量の不足が影響したと考える。膝伸展筋力の低下は,CRT中の下肢筋力訓練により神経性要因の維持が可能であったため,筋形態学的要因である外側広筋の筋萎縮の影響が強く生じたと考える。このため,CRTを施行する頭頸部がん患者に対するリハビリテーション栄養の介入方法として,充足した栄養管理および院内での活動量向上による体組成維持と理学療法での神経性要因の向上を目的とした下肢筋力訓練が必要であることが示唆された。