The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-09] ポスター(予防)P09

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-09-2] 地域特定保健検査の検診参加者における運動の捉え方と身体機能の関連

甘利 貴志, 坂本 祐太, 松田 英樹, 村松 雅也, 小野 美奈 (笛吹中央病院リハビリテーション科)

Keywords:健康教室, 心身機能, 患者教育

【はじめに,目的】

笛吹市では,特定健康検査の保健指導において,特定の基準を満たした者に対し健康教室を実施している。メタボリックシンドローム対策であるチャレンジ脱メタボ教室(以下。脱メタボ教室)と動脈硬化予防教室において,当院のリハビリテーション科患者教育視点の運動プログラムを考案し実施した。各教室において,運動に対して消極的な捉え方をしている対象者の中には身体機能が低下している対象者が多くみられた。そのため,対象者の運動に対しての捉え方と身体機能に着目し,検討を行なった。

【方法】

健康教室は基準によって脱メタボ教室,動脈硬化予防教室に分かれ,希望者に当院で運動指導が行われた。

測定は身体組成測定(IN BODY720;バイオスペース社),身体機能測定に膝伸展筋力(Nm/kg),長座体前屈,Functional Reach Test(以下,FRT)を測定した。質問紙で運動に対する自信度と重要度のVAS(Visual Analog Scale)と運動の準備性(行動変容ステージ)の回答を得た。以上の項目を元に,運動を実施するためのカウンセリングを個別に30分実施した。脱メタボ教室と動脈硬化予防教室は対象者が異なることより,教室前の自信度と重要度の数値と身体機能の分析をそれぞれの健康教室ごとに行なった。

統計学的解析は,目的変数を各身体機能,説明変数を自信度,重要度としSpearmanの順位相関係数を用いて分析を行った。解析はJMP ver11.2を用いた。統計学的有意水準は5%とした。

【結果】

各教室の対象者は,脱メタボ教室にて16名(年齢63.4±9.8歳,男女比1:1,BMI25.7±2.9%,体脂肪率30.1±7.9%),動脈硬化予防教室にて11名(年齢65.5±9.4歳,男女比2:9,BMI23.5±3.3%,体脂肪率27.8±8.2%)となった。

身体機能では,脱メタボ教室,動脈硬化予防教室ともに膝伸展筋力,FRT,長座体前屈は低値であった。動脈硬化予防教室において,自信度と膝伸展筋力(rs=0.75,p<0.01),自信度とFRT(rs=0.76,p<0.01)で有意な正の相関を示した。脱メタボ教室では自信度,重要度ともに身体機能では有意差を認めなかった。

【結論】

本研究において,動脈硬化教室のみ自信度と下肢筋力,FRTに正の相関を示した。これより,自信度が低い対象者は下肢筋力やバランス能力が低下していることが示唆された。脱メタボ教室では有意差は認めなかった。したがって,重症化の疑いがある動脈硬化予防教室において,自信度が低い対象者には運動の動機づけに加えて身体機能向上も含めた教育を行い,行動変容を促していく必要があると考える。