第52回日本理学療法学術大会

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-09] ポスター(予防)P09

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-09-4] 静岡県理学療法士会 公開講座の活動報告について
地域のニーズと理学療法士の課題

山下 裕太郎1,4, 小山内 隆2,4, 和泉 謙二3,4 (1.JA静岡厚生連遠州病院リハビリテーション科, 2.熱川温泉病院リハビリテーション部, 3.共立蒲原総合病院リハビリテーション科, 4.一般社団法人静岡県理学療法士会)

キーワード:公開講座, 健康増進, 理学療法啓発

【はじめに,目的】

一般社団法人 静岡県理学療法士会(以下,県士会)は,3,000名を超える職能団体である。そして地域から信頼される団体を目指し,介護予防や健康増進に加え,社会貢献や理学療法の啓発を目的とした公益活動を展開している。今回,全国統一イベント「介護予防 健康増進キャンペーン」の一環として,地域住民に向けた公開講座を実施した結果,多くの反響が得られたためアンケート結果を含め報告する。

【方法】

平成18年に第1回公開講座が開始され,現在までに19回の公開講座が開催された。東西に長く広域に渡る静岡県では,開催地を東部地区,中部地区,西部地区の持ち回りとしている。第19回公開講座は浜松市のアクトシティ浜松で開催した。準備委員会は開催の1年3ヶ月前に立ち上げ,14名の理学療法士で準備を行った。今回のテーマは,主題「元気な暮らしをオイモトメル(老いも止める)」副題「転倒や認知症の具体的な予防運動を理学療法士がお伝えします」とし,転倒や認知症の予防に関する講演やリハビリ相談に加え,地域ボランティアの方々と共に実技を取り入れた浜松いきいき体操を実施した。浜松いきいき体操は県士会員が介入し,体操のプログラム立案や普及活動を行うご当地体操である。また,介護予防推進リーダーの活用促進のために,講義中には推進リーダーの活動報告や活動依頼書の説明も行った。

【結果】

参加者は過去最高の295名となり,会場には臨時に補助席を用意する等の対応となった。アンケートは236名からの回答が得られた。参加者の年齢層としては,70代,60代,80代の順で多い結果となった。満足度調査では,満足とやや満足の回答が,講演で94.9%,浜松いきいき体操で91.2%であり,満足度の高い結果となった。また,今後も介護予防や健康増進を目的とした公開講座等のイベントに参加したいという回答が98%であった。

【結論】

来場者数は過去最高であり,多くの反響が得られた。このことから,急速に進む高齢化に伴い,地域住民の健康意識への関心の高まりが感じられた。また,講演のみならず,共に行うご当地体操を取り入れた結果,会場には一体感が生まれ,高い満足度が得られたものと思われる。公開講座開催までの広報活動や来場者数の増加に伴い,理学療法士の認知度向上や地域住民のニーズを実感したことは今回の成果だと考える。しかし,公開講座は年1回のイベントであり,今回の結果からでは,来場した参加者の健康寿命延伸に寄与しているのかは不明である。よって,今後に繋げていくためには,地域ニーズに対応できる介護予防推進リーダーの育成や継続的な活動,リハビリ体操マネジメントやサロン活動等の推進が出来る理学療法士の養成を組織的に行っていく必要があると思われる。