[P-YB-11-1] 変形性膝関節症術後患者の退院時期に影響する因子の検証
―身体機能,疼痛関連因子,身体活動,生化学的指標―
Keywords:変形性膝関節症の術後, 在院期間, 患者教育
【はじめに,目的】変形性膝関節症の術後患者(以下,膝術後患者)の慢性痛は長期的なQOLに影響を与える。しかし,慢性痛の原因として術後持続痛の影響は6%であることから,術前の患者教育が必要となる。今後さらなる在院日数の短縮を考えると入院における早期からのADLおよびQOL向上が必要となる。しかし,膝術後患者の退院時期に影響する術前および術後の関連因子の検証は不十分で調査により術前および術後の理学療法の一助となる。本研究では,膝術後患者の退院時期に影響する因子を身体機能,疼痛関連因子,身体活動,生化学的指標から検証した。
【方法】当院にH27年4月~H28年10月まで入院し中枢性疾患,認知症を認めない全人工膝関節置換術(以下,TKA)および高位脛骨骨切り術(以下,HTO)を実施した膝術後患者84名(70.7±8.4歳)とした。対象の分類は,在院期間を3分位(早期群,中間群,遅延群)とした。説明変数は,術前の膝伸展筋力,Time up&go(TUG),疼痛は,安静時および歩行時のNumerical Rating Scale(NRS),Pain self-efficacy Questionnaire(PSEQ),Pain Catastrophizing Scale(PCS)の下位尺度とした。術後因子としては,直後の血液よりAlb値,血中総タンパク,CRPの調査,術後荷重開始1週間後の身体活動を三軸加速度計にて座位行動(≦1.5METs),軽強度(1.6~2.9METs),中強度(3.0~5.9METs)の時間(分)を調査した。その他の因子としてK/L Grade,術後合併症の有無(下肢静脈瘤および糖尿病),仕事,同居人の有無を調査した。交絡因子は,年齢,性別,術式(TKAかHTO)を調査し,単相関係数にてp<0.2,r<0.8の変数を説明変数とし選択した後,説明因子に対し交絡因子を強制投入した階層的重回帰分析を早期群,中間群,遅延群に対し実施し有意水準5%未満とした。
【結果】在院期間では早期群36(33-39)日,中間群45(43-46),遅延群53(49-54)で3群間に影響した因子は,反芻(crude:β=-0.459,95%IC:-0.506~-0.412. adjusted:β=-0.463,95%IC:-0.508~-0.418),血中総タンパク(crude:β=0.431,95%IC:0.004~0.858 adjusted:β=0.356,95%IC:-0.099~0.811)であった(R2=0.42)。
【結論】退院時期の関連因子には,術直後のalb値およびCRPは関連を認めず血中総タンパクおよびPCSの反芻が関連し,術後炎症以外の因子が関連していると考える。本研究により,入院前のタンパク質摂取を含めた栄養管理教育や破局化尺度を含めた疼痛に関する教育は退院時期の短縮化につながる可能性を示し,2025年の在院期間短縮に対応する理学療法の一助となる。
【方法】当院にH27年4月~H28年10月まで入院し中枢性疾患,認知症を認めない全人工膝関節置換術(以下,TKA)および高位脛骨骨切り術(以下,HTO)を実施した膝術後患者84名(70.7±8.4歳)とした。対象の分類は,在院期間を3分位(早期群,中間群,遅延群)とした。説明変数は,術前の膝伸展筋力,Time up&go(TUG),疼痛は,安静時および歩行時のNumerical Rating Scale(NRS),Pain self-efficacy Questionnaire(PSEQ),Pain Catastrophizing Scale(PCS)の下位尺度とした。術後因子としては,直後の血液よりAlb値,血中総タンパク,CRPの調査,術後荷重開始1週間後の身体活動を三軸加速度計にて座位行動(≦1.5METs),軽強度(1.6~2.9METs),中強度(3.0~5.9METs)の時間(分)を調査した。その他の因子としてK/L Grade,術後合併症の有無(下肢静脈瘤および糖尿病),仕事,同居人の有無を調査した。交絡因子は,年齢,性別,術式(TKAかHTO)を調査し,単相関係数にてp<0.2,r<0.8の変数を説明変数とし選択した後,説明因子に対し交絡因子を強制投入した階層的重回帰分析を早期群,中間群,遅延群に対し実施し有意水準5%未満とした。
【結果】在院期間では早期群36(33-39)日,中間群45(43-46),遅延群53(49-54)で3群間に影響した因子は,反芻(crude:β=-0.459,95%IC:-0.506~-0.412. adjusted:β=-0.463,95%IC:-0.508~-0.418),血中総タンパク(crude:β=0.431,95%IC:0.004~0.858 adjusted:β=0.356,95%IC:-0.099~0.811)であった(R2=0.42)。
【結論】退院時期の関連因子には,術直後のalb値およびCRPは関連を認めず血中総タンパクおよびPCSの反芻が関連し,術後炎症以外の因子が関連していると考える。本研究により,入院前のタンパク質摂取を含めた栄養管理教育や破局化尺度を含めた疼痛に関する教育は退院時期の短縮化につながる可能性を示し,2025年の在院期間短縮に対応する理学療法の一助となる。