The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-14] ポスター(予防)P14

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-14-1] 地域在住高齢者を対象とした8週間のダイナミックストレッチングプログラムが筋力,筋柔軟性,バランス,歩行能力に与える効果の検討

木元 裕介1,2, 佐竹 將宏2, 岩澤 里美2,3, 菊地 和人2,4, 鈴木 瞭平2,5, 皆方 伸1 (1.秋田県立脳血管研究センター, 2.秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座, 3.秋田県立リハビリテーション・精神医療センター, 4.国立病院機構あきた病院, 5.JA秋田厚生連雄勝中央病院)

Keywords:地域在住高齢者, ダイナミックストレッチング, エラストグラフィ

【はじめに,目的】

本研究の目的はダイナミックストレッチング(DS)プログラムを8週間行った際の,筋力,筋柔軟性,バランス,歩行能力に対する効果を検討することである。近年,スポーツ分野ではDSが注目されており,DSを8週間行うことで,筋柔軟性だけでなくジャンプ力が向上することが報告されている(Turki 2014)。著者らは過去にDSの肢位や運動速度を高齢者にとって行いやすいよう工夫し,優れた急性効果を有することを報告した。今回,地域在住高齢者がDSを日常的に8週間行った際の効果を検討し,それを報告する。

【方法】

対象はA市高齢者サークルから自由意思で参加した地域在住高齢者10名(平均年齢79.3±4.9歳,女性10名)とした。先行研究を参考に,DSプログラムは下肢の筋群に対して関節運動速度と回数を,10回/分(1回6秒)のゆっくりとした速度で12回自動運動を行った。具体的には,椅子座位をとりながら,膝関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法と足関節底背屈全可動域を自動運動する方法,つかまり立位をとりながら,股関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法と股関節内転外転全可動域を自動運動する方法,および膝関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法,以上の5種を1日1回行うものとした。測定はプログラム開始直前,開始から4週後,8週後に行い,測定項目は膝伸展筋力,握力,超音波エラストグラフィによる腓腹筋筋硬度,Timed Up and Go Test(TUG),片脚立位時間,5m通常・最大歩行時間とした。膝伸展筋力はベルト固定可能なハンドヘルドダイナモメーター(ミュータスF-1;アニマ社製)を用い,筋硬度は超音波診断装置(AVIUS;日立アロメディカ社製)のストレイン・エラストグラフィモードを用いた。統計処理はSPSS21.0を用い反復測定分散分析およびBonferroni法によりプログラム開始前後に有意差があるか検討した。

【結果】

DSプログラムの8週間中1日1回の実施率は平均83.5±19.3%だった。膝伸展筋力はプログラム開始直前と比較し8週後で有意に増加した(p=0.02)。腓腹筋筋硬度は,プログラム開始直前と比較し4週後と8週後に有意に向上し(いずれもp<0.01),さらに4週後よりも8週後が有意に向上した(p=0.03)。TUGはプログラム開始直前と比較して8週後に有意に所要時間が減少した(p=0.02)。5m最大歩行時間はプログラム開始直前と比較し4週後および8週後に有意に所要時間が減少した(それぞれp=0.02,p=0.03)。握力,片脚立位時間,5m通常歩行時間においては統計的有意差がなかった。

【結論】

先行研究より膝伸展筋力は地域在住高齢者の生活範囲や転倒予防に,筋柔軟性は血管柔軟性などに関連があるとされている。8週間のDSプログラムを日常的に行うことは地域在住高齢者の健康増進に寄与する可能性が示唆された。