[P-YB-15-2] 人工膝関節全置換術患者における歩行自立度と転倒セルフエフィカシーの関係について
Keywords:歩行自立度, 転倒セルフエフィカシー, 人工膝関節全置換術患者
【目的】高齢化に伴い人工膝関節全置換術(以下TKA)患者は増加の一途を辿っており,同時に医療費の増加も顕著となっている。そのため,入院期間の短縮に向けた取り組みや検討がなされている。院内における歩行自立度は入院期間に影響を及ぼす要因の一つとして考えられ,臨床では歩行自立度の判断が求められる。この時に身体機能が低い症例でも自らの身体機能を把握している症例は自立と判断しやすく,身体機能が高くても自らの身体機能以上の動作を行う症例は自立の判断に踏み切れないことがある。自らの身体機能の把握とそれに伴う行動は転倒セルフエフィカシー尺度(以下FES)による報告が散見されているが,TKA患者における歩行自立度との関係を検討した報告はみられない。今回はTKA患者の歩行自立度に影響を及ぼす因子を身体機能及び転倒セルフエフィカシーから探ることを目的とする。
【方法】対象は当院にて片側TKAを施行し術後3週で評価を行った22例とした。方法は各症例に対し年齢,FES,痛み(VAS),5m最大歩行時間,膝関節屈曲60°肢位での術側・非術側等尺性膝伸展・屈曲筋力,歩行自立度を評価した。歩行自立度は歩行補助具の有無や種類は問わずに評価実施時に最も自立度が高い移動手段で院内の移動が自立か自立以外の2群とした。上記の評価値に対し歩行自立度を従属変数,その他の評価値を独立変数としたロジスティック回帰分析をステップワイズ法を用いて検討した。
【結果】歩行自立が9例(平均年齢74.8±7.0歳),自立以外が13例(平均年齢77.0±8.4歳)であった。ロジスティック回帰分析の結果では歩行自立度に関連する変数としてFES得点のみが抽出された。モデルχ2乗検定はp<0.01,Hosmer-Lemeshow検定はp=0.55,判別適中率は77.3%で95%信頼区間は1.01-1.11であった。
【結論】今回の検討ではTKA患者における歩行自立度に影響を及ぼす因子としてFES得点のみが抽出された。歩行自立の判断には身体機能評価が必要不可欠であるが,時期や環境によって自らの身体機能とそれに見合った行動がとれるかどうかといった評価も重要な要素であることが示された。一方,筋力や痛み,歩行時間が今回の結果に反映されなかった理由として,杖歩行は監視だが歩行器歩行が自立していれば自立と評価したため関連する変数として抽出されなかったのではないかと考える。また,対象疾患が片側TKA後であったため上肢や非術側下肢による代償を行いやすいことも理由の一つとして考えられる。歩行自立の判断は曖昧な評価となりやすい要因の一つであるため,より客観的な評価が行えるように検討していきたい。
【方法】対象は当院にて片側TKAを施行し術後3週で評価を行った22例とした。方法は各症例に対し年齢,FES,痛み(VAS),5m最大歩行時間,膝関節屈曲60°肢位での術側・非術側等尺性膝伸展・屈曲筋力,歩行自立度を評価した。歩行自立度は歩行補助具の有無や種類は問わずに評価実施時に最も自立度が高い移動手段で院内の移動が自立か自立以外の2群とした。上記の評価値に対し歩行自立度を従属変数,その他の評価値を独立変数としたロジスティック回帰分析をステップワイズ法を用いて検討した。
【結果】歩行自立が9例(平均年齢74.8±7.0歳),自立以外が13例(平均年齢77.0±8.4歳)であった。ロジスティック回帰分析の結果では歩行自立度に関連する変数としてFES得点のみが抽出された。モデルχ2乗検定はp<0.01,Hosmer-Lemeshow検定はp=0.55,判別適中率は77.3%で95%信頼区間は1.01-1.11であった。
【結論】今回の検討ではTKA患者における歩行自立度に影響を及ぼす因子としてFES得点のみが抽出された。歩行自立の判断には身体機能評価が必要不可欠であるが,時期や環境によって自らの身体機能とそれに見合った行動がとれるかどうかといった評価も重要な要素であることが示された。一方,筋力や痛み,歩行時間が今回の結果に反映されなかった理由として,杖歩行は監視だが歩行器歩行が自立していれば自立と評価したため関連する変数として抽出されなかったのではないかと考える。また,対象疾患が片側TKA後であったため上肢や非術側下肢による代償を行いやすいことも理由の一つとして考えられる。歩行自立の判断は曖昧な評価となりやすい要因の一つであるため,より客観的な評価が行えるように検討していきたい。