[P-YB-15-3] 要介護高齢者における外出行動の多面的検討
Keywords:要介護高齢者, 外出, 自己効力感
【はじめに,目的】
高齢者の外出活動は,身体機能の維持・向上のみならず,社会活動にも直接的に繋がることからその重要性は知られている。外出活動の効果は要介護認定を受けた高齢者においても同様であるが,要介護高齢者は健常高齢者と比較して外出頻度や外出活動が減少し,その原因が異なることも報告されている。鈴川らは,要介護高齢者の町外への外出は階段昇降能力と関連があることを示した。しかし,外出活動には身体機能のみならず,心理的な要因や社会的背景も関連していることが推測され,要介護高齢者の外出活動を支援していくためにはそれらの要因との関連を明らかする必要であると考える。本研究では要介護高齢者の外出活動と関連する因子を多面的に評価した。
【方法】
北海道A市の在宅サービスを利用している要介護高齢者16名(平均年齢80.1±6.5歳,男性7名,女性9名)を対象とした。取り込み基準は,介助者や福祉用具の有無に関わらず歩行できることとした。除外基準は,認知機能低下の疑いがあること(MMSE<24),失語症を有することとした。測定項目は,年齢,性別,要介護度,通所サービスの有無とその回数,同居者の人数,外出頻度,Chair stand 5(CS5),motor fitness scale(MFS),主観的健康感,地域高齢者の外出に対する自己効力感尺度(SEGE)とした。主観的健康感は4件法で聴取し,数字が低いほど自分の健康状態を良好だと感じているという結果になる。また,外出頻度は外出活動が1週間あたり「毎日1回以上」,「2~3日に1回程度」,「週に1回程度」,「ほとんどない」の4件法により,本人または家族から聴取し,通所サービスの利用回数を引いた値を修正外出頻度とした。修正外出頻度により「毎日1回以上」または「2~3日に1回程度」に該当する者を外出群(6名),「週に1回程度」または「ほとんどない」に該当する者を非外出群(10名)として2群に分けた。外出頻度以外の測定項目について対応のないt検定を行い,群間の差を比較検討した。
【結果】
各測定項目の結果は,同居者の人数が外出群1.3±1.9人,非外出群1.6±1.6人,CS5が外出群14.2±2.0秒,非外出群27.8±12.6秒,MFSが外出群6.8±2.6,非外出群4.2±3.4,主観的健康感が外出群2.5±0.8,非外出群2.8±0.6,SEGEが外出群13.0±4.8,非外出群11.3±5.2であった。対応のないt検定の結果,CS5において外出群は非外出群と比較して有意に低い値を示したが,その他の測定項目では有意な差は認められなかった。
【結論】
結果から下肢筋力が外出頻度と関連している可能性が示唆された。一方で,同居者の人数以外の測定項目についても外出群の方が非外出群よりも良好な値を示した。要介護高齢者の外出行動を支援していくには,心理的な背景も考慮した上で介入していく必要があると考える。今後はより詳細な分析を行うために対象者数を増やし,多変量解析などを用いて検証を行う必要があると考える。
高齢者の外出活動は,身体機能の維持・向上のみならず,社会活動にも直接的に繋がることからその重要性は知られている。外出活動の効果は要介護認定を受けた高齢者においても同様であるが,要介護高齢者は健常高齢者と比較して外出頻度や外出活動が減少し,その原因が異なることも報告されている。鈴川らは,要介護高齢者の町外への外出は階段昇降能力と関連があることを示した。しかし,外出活動には身体機能のみならず,心理的な要因や社会的背景も関連していることが推測され,要介護高齢者の外出活動を支援していくためにはそれらの要因との関連を明らかする必要であると考える。本研究では要介護高齢者の外出活動と関連する因子を多面的に評価した。
【方法】
北海道A市の在宅サービスを利用している要介護高齢者16名(平均年齢80.1±6.5歳,男性7名,女性9名)を対象とした。取り込み基準は,介助者や福祉用具の有無に関わらず歩行できることとした。除外基準は,認知機能低下の疑いがあること(MMSE<24),失語症を有することとした。測定項目は,年齢,性別,要介護度,通所サービスの有無とその回数,同居者の人数,外出頻度,Chair stand 5(CS5),motor fitness scale(MFS),主観的健康感,地域高齢者の外出に対する自己効力感尺度(SEGE)とした。主観的健康感は4件法で聴取し,数字が低いほど自分の健康状態を良好だと感じているという結果になる。また,外出頻度は外出活動が1週間あたり「毎日1回以上」,「2~3日に1回程度」,「週に1回程度」,「ほとんどない」の4件法により,本人または家族から聴取し,通所サービスの利用回数を引いた値を修正外出頻度とした。修正外出頻度により「毎日1回以上」または「2~3日に1回程度」に該当する者を外出群(6名),「週に1回程度」または「ほとんどない」に該当する者を非外出群(10名)として2群に分けた。外出頻度以外の測定項目について対応のないt検定を行い,群間の差を比較検討した。
【結果】
各測定項目の結果は,同居者の人数が外出群1.3±1.9人,非外出群1.6±1.6人,CS5が外出群14.2±2.0秒,非外出群27.8±12.6秒,MFSが外出群6.8±2.6,非外出群4.2±3.4,主観的健康感が外出群2.5±0.8,非外出群2.8±0.6,SEGEが外出群13.0±4.8,非外出群11.3±5.2であった。対応のないt検定の結果,CS5において外出群は非外出群と比較して有意に低い値を示したが,その他の測定項目では有意な差は認められなかった。
【結論】
結果から下肢筋力が外出頻度と関連している可能性が示唆された。一方で,同居者の人数以外の測定項目についても外出群の方が非外出群よりも良好な値を示した。要介護高齢者の外出行動を支援していくには,心理的な背景も考慮した上で介入していく必要があると考える。今後はより詳細な分析を行うために対象者数を増やし,多変量解析などを用いて検証を行う必要があると考える。