[P-YB-15-5] 訪問リハビリテーション介入によってけいれん重積発作が予防可能か?
シングルケーススタディによる検討
Keywords:訪問リハビリテーション, ストレス, けいれん重積発作予防
【はじめに,目的】
てんかん患者にとって,てんかん発作は日常生活活動を狭小化させる大きな要因であり,再発を心配するあまり家に閉じこもりがちになってしまう患者も少なくない。てんかん発作を予防できることはてんかん患者のQOLの改善にとても重要なことと考えられる。海外では,てんかん患者に対する運動療法の有用性を報告している論文は多くみられる。しかし,わが国ではてんかん患者のリハビリ介入による発作予防の報告は少なく,生活期においては皆無である。そこで今回,訪問リハビリ介入によってけいれん重積発作が予防できた症例を報告する。
【方法,症例供覧】
父と母の三人暮らしの40代男性,生下時の二分脊椎による水頭症にて症候性てんかんを呈している。けいれん重積発作にて5ヶ月間入院。右上下肢の失調出現し,歩行困難となり自宅内移動は車椅子となる。退院直後より訪問リハビリ開始となる。
【結果,経過】
訪問リハビリは,立位・移乗動作の介助量軽減を目的に週3回40分間の介入となった。介入当初,血圧は170/110mmHg前後,MMT両下肢2~3,右上下肢・体幹の運動失調あり,立ち上がりや移乗は膝折れみられ,中等度介助であった。介入3ヶ月頃より,立位時の膝折れみられなくなり,足踏みが行えるようになった。立ち上がりや立位保持は手すりを用いて軽介助にて可能となった。介入6ヶ月頃より,血圧は150/100mmHg前後に改善,MMT両下肢3に向上みられた。立ち上がり,立位保持,移乗は手すりを使用して見守りレベル。ピックアップ歩行器を使用して5m中等度介助にて歩行可能となった。
【結論】
本症例はリハビリ介入期間中に数回小発作はみられたものの大発作は出現しなかった。本症例において,てんかん発作を誘発する大きな要因として精神的ストレスが考えられ,てんかん患者にとって,ストレスは発作を頻発させる促進剤のひとつと報告されている。しかし,定期的な運動は,発作予防に有用であり,運動はストレスに対する感度を減少させる効果があるとされている。従って,運動不足というのはてんかん発作を誘発する新たな要因とも考えられる。本症例は,けいれん重積発作を起こすことで不活動期間が増え,身体機能,ADL能力が低下し,それによって介護負担が増え,本人・家族ともにストレスが増加したと考えられる。しかし,訪問リハビリが介入したことで,徐々に筋力や耐久性が向上し,ADL能力や活動量が増加。家族の介護負担が軽減し,本人や家族のストレスが軽減できたことで,リハビリ期間中のけいれん重積発作が予防できたと考えられる。
てんかん患者にとって,てんかん発作は日常生活活動を狭小化させる大きな要因であり,再発を心配するあまり家に閉じこもりがちになってしまう患者も少なくない。てんかん発作を予防できることはてんかん患者のQOLの改善にとても重要なことと考えられる。海外では,てんかん患者に対する運動療法の有用性を報告している論文は多くみられる。しかし,わが国ではてんかん患者のリハビリ介入による発作予防の報告は少なく,生活期においては皆無である。そこで今回,訪問リハビリ介入によってけいれん重積発作が予防できた症例を報告する。
【方法,症例供覧】
父と母の三人暮らしの40代男性,生下時の二分脊椎による水頭症にて症候性てんかんを呈している。けいれん重積発作にて5ヶ月間入院。右上下肢の失調出現し,歩行困難となり自宅内移動は車椅子となる。退院直後より訪問リハビリ開始となる。
【結果,経過】
訪問リハビリは,立位・移乗動作の介助量軽減を目的に週3回40分間の介入となった。介入当初,血圧は170/110mmHg前後,MMT両下肢2~3,右上下肢・体幹の運動失調あり,立ち上がりや移乗は膝折れみられ,中等度介助であった。介入3ヶ月頃より,立位時の膝折れみられなくなり,足踏みが行えるようになった。立ち上がりや立位保持は手すりを用いて軽介助にて可能となった。介入6ヶ月頃より,血圧は150/100mmHg前後に改善,MMT両下肢3に向上みられた。立ち上がり,立位保持,移乗は手すりを使用して見守りレベル。ピックアップ歩行器を使用して5m中等度介助にて歩行可能となった。
【結論】
本症例はリハビリ介入期間中に数回小発作はみられたものの大発作は出現しなかった。本症例において,てんかん発作を誘発する大きな要因として精神的ストレスが考えられ,てんかん患者にとって,ストレスは発作を頻発させる促進剤のひとつと報告されている。しかし,定期的な運動は,発作予防に有用であり,運動はストレスに対する感度を減少させる効果があるとされている。従って,運動不足というのはてんかん発作を誘発する新たな要因とも考えられる。本症例は,けいれん重積発作を起こすことで不活動期間が増え,身体機能,ADL能力が低下し,それによって介護負担が増え,本人・家族ともにストレスが増加したと考えられる。しかし,訪問リハビリが介入したことで,徐々に筋力や耐久性が向上し,ADL能力や活動量が増加。家族の介護負担が軽減し,本人や家族のストレスが軽減できたことで,リハビリ期間中のけいれん重積発作が予防できたと考えられる。