[P-YB-18-3] 入院患者における転倒恐怖感に及ぼす要因についての検討
キーワード:転倒恐怖感, 高齢者, 筋力
【はじめに,目的】
近年,高齢者の転倒に関する因子として転倒恐怖感があげられている。転倒恐怖感は日常生活のみならず社会交流や余暇活動等の活動を制限し,結果としてQOLを低下させるという報告がある。したがって,転倒恐怖感を軽減させることで,高齢者のQOLの向上に繋がるのではないかと考える。これまで,地域高齢者を対象とした転倒恐怖感に対する報告は多くなされているが,入院患者において転倒恐怖感に影響を及ぼす因子の報告は少ない。本研究は,入院患者における転倒恐怖感へ影響を及ぼす関連因子を検討することを目的とした。
【方法】
平成28年4月~8月の間に当院にてリハビリテーションを実施し退院した65歳以上で,Barthel Indexの歩行項目10点以上の高齢者106名を対象とした。このうち,認知症患者(Mini Mental State Examination<21点),退院時の評価欠損患者,退院先が自宅以外に該当した74名を除く32名(男性9名,女性23名,平均年齢87.1歳)を対象とした。転倒恐怖感の評価には日本語版Fall Efficacy Scale(以下FES)を用いた。FESは10項目からからなる活動を転倒することなく行う自信の程度を評価する尺度である。FESとの関連性を検討する因子として退院時の大腿四頭筋筋力,握力,Timed Up & GO Test(以下TUG),Functional Reach Test(以下FRT),Short physical performance Battery(以下SPPB)およびFunctional Independence Measure(以下FIM)の運動項目を評価した。統計学的解析はPearson積率相関関係数またはspearmanの順位関係数を用い,FESと各評価項目の関係性を検証した。危険率5%未満をもって,有意差ありと判定した。
【結果】
対象者の疾患の内訳は整形外科26名,外科4名,内科2名であった。FESは大腿四頭筋筋力(ρ=0.42,P<0.05),および握力(ρ=0.43,P<0.05)と有意な相関を認めた。しかし,TUG(ρ=-0.27),FRT(r=0.15),SPPB(ρ=0.18),およびFIMの運動項目(ρ=0.19)との間には有意な相関を認めなかった。
【結論】
地域高齢者を対象とした先行研究によると,転倒恐怖感に関連する因子は筋力,歩行能力等であると報告されている。入院患者を対象とした本研究の結果においても,転倒恐怖感と筋力が関係していることが示された。入院中から筋力向上を図ることは必要なことであり,転倒恐怖感においても筋力に着目することが重要であると考える。
近年,高齢者の転倒に関する因子として転倒恐怖感があげられている。転倒恐怖感は日常生活のみならず社会交流や余暇活動等の活動を制限し,結果としてQOLを低下させるという報告がある。したがって,転倒恐怖感を軽減させることで,高齢者のQOLの向上に繋がるのではないかと考える。これまで,地域高齢者を対象とした転倒恐怖感に対する報告は多くなされているが,入院患者において転倒恐怖感に影響を及ぼす因子の報告は少ない。本研究は,入院患者における転倒恐怖感へ影響を及ぼす関連因子を検討することを目的とした。
【方法】
平成28年4月~8月の間に当院にてリハビリテーションを実施し退院した65歳以上で,Barthel Indexの歩行項目10点以上の高齢者106名を対象とした。このうち,認知症患者(Mini Mental State Examination<21点),退院時の評価欠損患者,退院先が自宅以外に該当した74名を除く32名(男性9名,女性23名,平均年齢87.1歳)を対象とした。転倒恐怖感の評価には日本語版Fall Efficacy Scale(以下FES)を用いた。FESは10項目からからなる活動を転倒することなく行う自信の程度を評価する尺度である。FESとの関連性を検討する因子として退院時の大腿四頭筋筋力,握力,Timed Up & GO Test(以下TUG),Functional Reach Test(以下FRT),Short physical performance Battery(以下SPPB)およびFunctional Independence Measure(以下FIM)の運動項目を評価した。統計学的解析はPearson積率相関関係数またはspearmanの順位関係数を用い,FESと各評価項目の関係性を検証した。危険率5%未満をもって,有意差ありと判定した。
【結果】
対象者の疾患の内訳は整形外科26名,外科4名,内科2名であった。FESは大腿四頭筋筋力(ρ=0.42,P<0.05),および握力(ρ=0.43,P<0.05)と有意な相関を認めた。しかし,TUG(ρ=-0.27),FRT(r=0.15),SPPB(ρ=0.18),およびFIMの運動項目(ρ=0.19)との間には有意な相関を認めなかった。
【結論】
地域高齢者を対象とした先行研究によると,転倒恐怖感に関連する因子は筋力,歩行能力等であると報告されている。入院患者を対象とした本研究の結果においても,転倒恐怖感と筋力が関係していることが示された。入院中から筋力向上を図ることは必要なことであり,転倒恐怖感においても筋力に着目することが重要であると考える。