The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-19] ポスター(予防)P19

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-19-5] 回復期リハビリテーション病棟における整形疾患患者の栄養状態と日常生活動作改善との関連

小島 怜士1, 鈴木 啓介2, 宮内 良治1 (1.すずかけヘルスケアホスピタルリハビリテーション技術部, 2.国際医療福祉大学小田原保健医療学部理学療法学科)

Keywords:回復期リハビリテーション病棟, 栄養状態, 日常生活動作

【はじめに,目的】

回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)に入院する患者の多くは低栄養状態を呈していると報告されており,回復期リハ病棟は低栄養の好発地帯と言える。また施設入所要介護者を対象にした研究では,栄養状態が身体機能を介して日常生活動作(以下,ADL)に影響を与えると報告されている。ここで整形外科疾患患者の特徴として,その多くが高齢者であり身体活動量低下,筋力低下,認知機能低下などにより身体機能が低下することが挙げられる。さらに近年,低栄養状態によって身体機能低下を惹起する可能性が報告されている。低栄養状態が継続すると虚弱状態となり,転倒を引き起こすと考えられる。ADLを改善させる必要が高い回復期リハ病棟において栄養状態とADLとの関連性を明らかにすることは,機能を改善また予測するために重要であると考えられる。そこで,本研究では回復期リハ病棟における整形疾患患者の栄養状態とADL獲得との関連性を明らかにすることを目的とした。


【方法】

対象は整形疾患の診断を受け,当院に入院された54名(男性7名・女性47名,平均年齢80±8歳)とした。測定項目は,年齢,簡易栄養状態評価表(以下,MNA-SF,MNA),血清アルブミン値(以下ALB値),Short Physical Performance Battery(以下,SPPB),認知機能検査(以下,MMSE),機能的自立度評価表(以下,FIM),とした。各評価項目は入院時と退院時に測定を実施した。

統計学的検定は,FIM変化量と年齢,MNA-SF,MNA,ALB値,SPPB,MMSEとの関係をPearsonの相関係数を用いて検討した。さらにFIM変化量を従属変数をとし,これらの相関の得られた項目を独立変数とした重回帰分析のステップワイズ法を用いた。統計解析はIBM社製SPSS version23を用いて行い,有意水準は危険率5%未満とした。


【結果】

FIM変化量に対して入院時MNA,MNA-SF変化量,入院時MNA-SF,退院時MNA-SF,MNA-SF変化量,SPPB変化量において相関関係が認められた(p<0.05)。次に重回帰分析の結果,有意な関連要因として抽出された因子は,MNA-SF変化量(β=0.57,p<0.05),SPPB変化量(β=0.31,p<0.05)であった。


【結論】

本研究の結果から,ADL獲得に寄与する因子としてMNA-SF変化量,SPPB変化量が関係していることが明らかとなり,MNA-SF変化量とSPPB変化量が多い人ほどFIM変化量が多いという結果となった。そのため,栄養状態の改善や身体機能の改善が良い人ほどADLを獲得できる可能性が示唆された。要因として栄養状態の改善に伴い,身体機能が改善しADL獲得に繋がったと考える。身体機能とADL獲得の関連性は,先行研究において数多く記されている。しかし,今回の結果から栄養状態の改善もADL獲得に関連していることが示唆された。栄養状態とADL獲得の関連性が明らかとなったことで,理学療法を実施する上で,身体機能だけでなく栄養状態にも着目し介入する必要性を提言できたと考える。