The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-21] ポスター(予防)P21

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-21-3] 外科・泌尿器科混合病棟における排尿ケアチームの取り組みと課題

上村 幸子1, 末松 直子1, 楢原 貴雄1, 赤坂 聡一郎2 (1.労働者健康安全機構九州労災病院門司メディカルセンター中央リハビリテーション部, 2.労働者健康安全機構九州労災病院門司メディカルセンター泌尿器科)

Keywords:排尿ケア, ADL向上, 多職種介入

【はじめに,目的】

2016年度の診療報酬改定により新設された排尿自立指導料は,下部尿路機能障害を有する患者に対して,病棟でのケアや多職種チームによる下部尿路機能の回復のための包括的排尿ケアを評価するものである。尿道留置カテーテルを1日でも早く抜去し,尿路感染を防止するとともに,下部尿路機能を回復させ排尿自立を促すことを目的とされ,QOLの向上や健康寿命の延長に寄与することが期待されている。当院では,泌尿器科医師・看護師・理学療法士・事務職員からなる排尿ケアチームを発足させ,平成28年度6月より外科・泌尿器科混合病棟にて介入を開始した。そこで,本研究の目的を,チーム発足からの経過を調査し介入効果ならびに課題を検討することとした。

【方法】

対象は年6月~9月に当院外科・泌尿器科混合病棟(53床)に入院し排尿ケア介入を行った患者37例(男性21名,女性16名,平均年齢78.6±2.2歳)とし,死亡例,転科・転棟例は本検討から除外した。

カルテより,年齢,尿道留置カテーテル期間,在院日数,下部尿路機能障害の評価(以下LUTD),ADL評価(Barthel Index,以下BI)を後方視的に調査した。排尿ケア介入の効果の検討として,LUTD,BIの比較を開始・退院時で対応のあるt検定を用いて行った。さらに排尿ケア介入+疾患別リハ群28例(以下リハ実施群),排尿ケア介入のみの群9例(以下リハ非実施群)で2群に分類した。2群間の差の検定をMann-WhitneyのU検定を用いて行った。有意水準は5%未満とし,統計解析には,SPSS Ver.24.0を用いた。

【結果】

排尿ケア介入おいて,LUTDは開始時7.4±3.9点退院時5.0±3.2点,BIは開始時34.8±10.3点退院時73.9±32.0点と,共に有意な改善を認めた(p<0.01)。

開始時LUTDは,リハ実施群8.6 ±3.8点リハ非実施群4.4±2.6点,退院時LUTDは,リハ実施群3.0±2.6点リハ非実施群0.6±0.3点と,共にリハ実施群が有意に低かった(p<0.01)。開始時BIは,リハ実施群23.9±8.4点リハ非実施群68.3±31.7点 とリハ実施群が有意に低かった(p<0.01)。在院日数は,リハ実施群38.6±21.1日リハ非実施群17.1±6.6日とリハ実施群が有意に長かった(p<0.01)。

その他の項目においては,有意な差は認められなかった。

週1回のカンファレンスでは,排尿ケア実施継続の必要性の有無や,ADL向上に向けた排泄方法の提案,投薬の他,排尿ケアだけにとどまらず,栄養・全身状態,社会背景等含め,包括的に検討される。疾患別リハ未実施の患者も対象となるため,ADL低下が懸念される場合は,疾患別リハ開始の提案することも可能となった。

【結論】

排尿ケアチームの介入は,多職種での情報共有が図れ,ADL改善に貢献できることが示唆された。引き続き実際の介入内容の指標が明確になるよう検討し,患者のADL向上(低下の予防)に繋がるよう積極的な取り組みが求められる。